落葉を詠んだ短歌1 寒さが際立つ中,鎌倉寿福寺まで.常緑樹がほとんどの境内に中,イチョウは黄色い葉を落としていました. 山おろしの月に木の葉を吹きかけて光にまがふ影を見るかな 西行  流れゆく木の葉のよどむ江にしあれば暮れてののちも秋の久しき 源実朝  落葉して月の色のみしろがねのうてなさびたるよるの木枯(こがらし) 小沢蘆庵  石にまどひ木の根にまどひ落葉らはおのがまにまにたむろせるのみ 伊藤左千夫  真冬日のひたと射し照る落葉山越えいそぎつつ心は散らず 若山牧水

 

寒い1日でした.

大阪では,木枯らし一号が吹いたそうで,明日は更に冷え込むようです.つい最近夏日だったので,寒さが際立ちますが,ようやく晩秋らしくなったということですね.

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231111/k10014254891000.html

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20231111/2000079487.html

 

午後,鎌倉寿福寺へ散歩.

鎌倉五山第3位.源義朝の旧邸跡に,政子が栄西を招いて建立した,由緒ある寺院.

喫茶養生記」が寺の宝物.https://www.trip-kamakura.com/place/168.html

 

小さいけれど,樹形のととのったセンリョウ.実が見事に色づいていました.

 

 

常緑樹が多いお寺ですが,境内の隅のイチョウが,紅葉が進んでいました.

海に面した鎌倉の旧市街地は紅葉/黄葉があまりきれいではありません.しかし,イチョウは潮風に強いのか,樹上のもの,落葉ともに比較的きれいな黄葉が見られます

 

その他の落葉は,「枯れ葉」といった趣.

所々に混ざっている赤い葉は,常緑樹クスの落葉.今はあまり落ちてきませんが,春過ぎにはかなり沢山見られます.

「常緑樹が落葉樹と同じように葉の入れ替わる」ということに全く気づいていませんでした.植物好きの友人に馬鹿にされるまで.

「上質の腐葉土を作ろうと思ったら,常緑樹の落ち葉をあつめることだ」と,その友人は言っていましたっけ.



落葉を詠んだ短歌1

(古今短歌歳時記より)

鴨鳥の遊ぶこの池に木の葉落ちて浮かべる心我が思はなくに  丹波大女娘子(たにわのおかめおとめ) 万葉集 巻四 七一一

折口信夫万葉集」 あなたは,そんなにわたしを疑ひなさるが,わたしは,そんな鴨の泳いでいる池に,木の葉がういてゐる様な,うはついた心を,起こしたことはありません)

 

山おろしの月に木の葉を吹きかけて光にまがふ影を見るかな  西行 山家集

 

流れゆく木の葉のよどむ江にしあれば暮れてののちも秋の久しき  源実朝 金槐集

 

落葉して月の色のみしろがねのうてなさびたるよるの木枯(こがらし)  小沢蘆庵 六帖詠草

 

石にまどひ木の根にまどひ落葉らはおのがまにまにたむろせるのみ  伊藤左千夫 左千夫歌集

 

落葉する前の樹木のしづかなるさびしきこころわが夜に来ぬ  金子薫園 草の上

 

真冬日のひたと射し照る落葉山越えいそぎつつ心は散らず  若山牧水 くろ土

 

秋ふかき村の小さな墓地中の胡桃の木より落葉しやまず  斎藤茂吉 遠遊