今日は,「秋の夕(ゆうべ)」「秋の夕暮(ゆうぐれ)」の短歌を取り上げようと昨日から決めていたのですが----
厳しい残暑がつづきます.
東京は真夏日.西日本は猛暑.9月の最高気温を示したところもあるようです.
https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2022/09/14/19478.html
「きょう14日の日本列島は、広く晴れて、西日本は厳しすぎる残暑となりました。最高気温は、九州や四国で36℃を超えた所があり、東京都心も32.3℃まで上がりました。熱中症にご注意ください。
鎌倉の夕方7時の気温は28℃でした.気温だけ見れば,やや過ごしやすいようにも思えますが,湿度がなんと84%!
この蒸し暑さでは,「秋の夕暮」に思いをはせることが,なかなかできません---
古今短歌歳時記によれば,
新古今集の寂蓮・西行・定家の「三夕(さんせき)の歌」が名歌だが,この頃に秋の夕暮の季節感が定着したといわれる.「秋の夕(ゆうべ)」「秋の夕暮(ゆうぐれ)」はその後も幾多の歌集におびただしい数の例歌が絶えないのである.
そこに添えられる景物は萩・尾花・鹿・虫・鶉などであり,また紅葉や風などである.
表白される心情は,「あはれ」をはじめ,さびし・うし・うれへ・かなしなどであり,物思いや人恋しさがあり,涙も誘われるといったふうである.
秋の夕(ゆうべ)・秋の夕暮(ゆうぐれ)を詠った短歌
(古今短歌歳時記より)
わが背子が宿なる萩の花咲かむ秋の夕はわれを偲はせ 大原真人今城 万葉集 巻二十 四四四四
(楽しい万葉集 あなた様の家の庭の萩の花が咲いた秋の夕には,私を偲んでください.)
浅茅生(あさぢふ)の秋の夕ぐれなく虫は我がごとしたにものやかなしき 平兼盛 後拾遺集
さびしさに宿を立ち出でて眺むれば何処も同じ秋の夕暮 良暹 後拾遺集/小倉百人一首
寂しさはその色としもなかりけり真木立つ山の秋の夕暮 寂蓮 新古今集
心なき身にもあはれは知られけり鴨立つ沢の秋の夕暮 西行 山家集/新古今集
見わたせば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮 藤原定家 新古今集
ながめやる心もたえぬわたのはら八重の潮路の秋のたそがれ 源実朝 金槐集
ながめじと思ふ心もこりはてずあはず年経る秋の夕暮 藤原家隆 続後撰集
ものごとにうれへにもるる色もなしすべてうき世を秋の夕ぐれ 永福門院 玉葉集
恨みても鳴きても野ベの蛬(きりぎりす)いけむかたなき秋の暮かな 宗良親王 梨花集
ながむればかなしき物としりながら猶うとまれぬ秋の夕ぐれ 藤原隆信 新続古今集
うしとてもいかがはすべき心もて入りにし山の秋の夕ぐれ 小沢蘆庵 六帖詠草
旅人の涙ばかりはとどまらぬ関のわら屋のあきのゆふぐれ 香川景樹 桂園一枝
おどけたる一寸法師舞ひいでよ秋の夕(ゆふべ)のてのひらの上 与謝野晶子 佐保姫
かすがの に おしてる つき の ほがらかに あき の ゆふべ と なり に ける かも 会津八一 鹿鳴集
網の目に閻浮提金(えんぶだごん)の仏ゐて光りかがやく秋の夕ぐれ 北原白秋 雲母集
いづくにか乳の声きこゆこの古き大きなる家の秋の夕ぐれ 若山牧水 みなかみ
憐みをたまふときけば秋ゆふべかそかにとほく慕ひゐむかも 木俣修 凍天遠慕
秋夕べ人ゐぬ山に友と来て馬酔木の梢わたる風きく 田谷鋭 ミモザの季
眉けぶる秋の夕べの反(かえ)り陽(ひ)に人ゆきて小さきことばとどまる 馬場あき子 飛花抄
鶺鴒鳴(せきれいなく)-白露-次候-七十二候-第四十四候 (2023年:9月13日~9月17日)
https://koyomil.com/sekireinaku/
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/4610.html
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1525.html
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1412.html
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/02/05/235819