夕ばえ・夕焼けを詠んだ短歌  浜辺に到着すると,太陽はちようど沈んだところでした.空には茜雲,水面もあかく染まつていました. 白雲もゆうやけ雲も暮れ色にいろ消えゆくも日は入りぬらし 正岡子規  夕映えの雲あかくしてそことなく浜なでしこの安房の国見ゆ 与謝野晶子  夕焼小焼大風車のうへをゆく雁が一列鴉(からす)が三羽 北原白秋  ゆうやけの/たちまち暗き 夜となりぬ。/山黒々と/雨たれてをり 釈迢空  夕茜内浦凪ぎをわたりきて汀さざなみくれないに染む 加藤克巳

夕方散歩で,海まで行って来ました.

 

途中の花屋さんには,秋を代表する園芸植物の花が,美しく店先に並べられていました.

 

コスモス.

宿根アスタービクトリア,エリカ,カルーナ.

 

浜辺に到着.

太陽は,ちょうど沈んだところでした.

空には,淡い茜色の雲が浮かび,沈んだばかりの太陽の光は海まで届いて,水面を赤く染めていました.

 

 

夕映え,夕焼けを詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

雲にうつる日影の色もうすくなり花の光の夕ばえの空  藤原為顕 玉葉

 

白雲もゆうやけ雲も暮れ色にいろ消えゆくも日は入りぬらし  正岡子規 正岡子規全歌集

 

夕焼け空焦げきはまれる下にして氷らんとする湖(うみ)のしづけさ  島木赤彦 切火

 

夕映えの雲あかくしてそことなく浜なでしこの安房の国見ゆ  与謝野晶子 佐保姫

 

飛騨の空にあまつ日おちて夕映のいづかなるいろを月てらすなり  斎藤茂吉 つゆじも

 

夕焼小焼大風車のうへをゆく雁が一列鴉(からす)が三羽  北原白秋 雲母集

 

ゆうやけの/たちまち暗き 夜となりぬ。/山黒々と/雨たれてをり  釈迢空 春のことぶれ

 

夕茜みつつ来りて土手のうへの枸橘(からたち)の枝やさしかりけり  佐藤佐太郎 歩道

 

夕茜内浦凪ぎをわたりきて汀さざなみくれないに染む  加藤克巳 石は叙情す