アルテミス.
ギリシャ神話で,最も好きな女神でした.あまりギリシャ神話を知らないときには.
多くの方も,狩猟用の弓と矢筒を持った若い女神に引きつけられずにはいられないでしょう.
しかし,ギリシャ神話を読み進めるにつれ,この女神の残忍さ,執念深さも見えてくる.その点では双子の兄もしくは弟 (*)アポローンと同じですね.アポローンもギリシャ神話で最も敬愛されている美男の神ですが,残忍さも持ち合わせています.
(*日本では一般的に兄妹とされていますが,英語ではbrother&sisterで,アポローンが兄か弟かは,多くの場合はっきり書かれていません.しかし,母レートーが,はじめにアルテミスを産み,アポローンの出産の際にはアルテミスが助産婦として助けたという物語が残されており,この神話からは,アルテミスが姉,アポローンは弟になります)
今後,何回かに分けてアルテミスについてまとめていこうと思っていますが,初回の今日はネット上に見られるアルテミスの解説をいくつか以下にならべて,終わることにします.
Britannica(DeepL翻訳)
Artemis | Myths, Symbols, & Meaning | Britannica
アルテミスは,ギリシャの宗教において,野生動物,狩猟,植生,貞節,出産の女神であり,ローマ人はディアナ(ダイアナ)と同一視していました.
アルテミスは,ゼウスとレートーの娘であり,アポロの双子のシスターです.地方の人々の間では,アルテミスはお気に入りの女神でした.
アルテミスの性格や役割は地域によって大きく異なりますが,どのような形であっても,その背後には野生の自然の女神が存在し,通常はニンフを伴って山や森,沼地などで踊っていました.アルテミスはスポーツマン(狩猟,魚釣り,競走のような野外スポーツをする人)の理想を具現化した存在であり,獲物を仕留めるだけでなく,獲物,特に若い獲物を保護する役割も担っていました.
アルテミスへの崇拝は,おそらく古代ギリシャ以前にクレタ島やギリシャ本土で盛んに行われていたと思われます.しかし,アルテミスの地元のカルトの多くは,他の神々の痕跡を残しており,しばしばギリシャ語の名前が付けられていたことから,ギリシャ人はアルテミスを採用する際に,自分たちの自然の神々とアルテミスを同一視したと考えられます.例えば,アポローンの処女のシスターであるアルテミスは,エフェソスの多乳のアルテミスとは全く異なります.
theoi.com(DeepL 翻訳)
https://www.theoi.com/Olympios/Artemis.html
アルテミスはオリンポスの狩猟,荒野,野生動物の女神です.アルテミスは出産の女神でもあり,結婚するまでの女児の保護者であり,双子の兄アポローンは同様に男児の保護者でもありました.アルテミスは女性や少女を,アポローンは男性や少年をターゲットにしていましたが,この二人の神は共に突然の死や病気をもたらす存在でもありました.
古代美術では,アルテミスは通常,狩猟用の弓と矢筒を持った少女や若い乙女として描かれました.
日本大百科全書(ニッポニカ)
ギリシア神話の処女神.ゼウスとレト(レートー)の娘.アポロン(アポローン)の双子の妹.
ローマ神話ではディアナと同一視されている.若くて美しい彼女は狩りを好み,弓矢で武装して山野を駆け鹿(しか)を追う.その矢はときに人間にも向けられ,産褥(さんじょく)の女に苦痛のない死をもたらす.
またこの女神は執念深く,犠牲者は多い.母親レトを侮辱したニオベに対しては,その娘たちを殺戮(さつりく)することで報い,レトを犯そうとしたティティオスをも射ち殺した.さらに女神の怒りを買った巨人の狩人(かりゅうど)オリオンは,女神が贈ったサソリの毒で死に(*),水浴するアルテミスの裸身を見たアクタイオンは鹿に変身させられ,犬の餌食(えじき)とされた.アガメムノンは女神を挑発したため,ボイオティアの港市アウリスで娘イフィゲネイアを犠牲に捧(ささ)げねばならなかった.
アルテミスは,アルカディア,スパルタ,ラコニアなどの古代ギリシアのすべての山間地域で崇拝された.もっとも有名な神殿はエフェソスにあり,多数の乳房をもつその女神像には,アジア的な地母神の影響が認められる.
またアルテミスは,一般に月の擬人化として解釈されているが,その信仰はすべてが月に関連するわけではなく,野獣を支配する女神としての性格も濃厚で,さらにタウリスのアルテミス像のように,人身御供(ひとみごくう)を要求するという恐ろしい一面も備えている.
[小川正広]
*アルテミスとオリオーンの物語には,幾つかのヴァージョンがあり,オリオーンはアポローンの嫉妬により殺すように仕向けられたとする物語もある.
yachikusakusaki.hatenablog.com