古事記/植物

ガガイモ(カガミ)5 植物としてのガガイモとその仲間たち1 ガガイモがイケマ属とされたのはごく最近のことのようです.キョウチクトウ科に分類されたのはその少し前.ガガイモは毒性があるとの記載が見つかるものの,複数のサイトで「食べられる」とされています.しかし,レシピを検索しても見つかりませんでした. 大部分の日本人は,まだ,半信半疑なのでしょうか?薬効(強精薬・腫れ物等への塗り薬)もあるとされていますが,実際に使っている方は?どれほど使われていたかも?

昨日までは,“植物をたどって古事記を読む” シリーズとして, ・「長さ10センチのガガイモの実でできた船(アメノカガミ船)に乗って現れたスクナビコナにまつわる話題」や ・「ガガイモの名称と漢字」を取り上げてきました. 今日・明日は,締め括りとして…

ガガイモ(カガミ)4 名称と漢字 ▽「かがみ」は,ガガイモの古名. 日本国語大辞典“かがみ”には,「ガガイモの古名」と明記してあります. ▽かがみ(かかみ)は羅摩.ガガイモも羅摩と書きます. さらに,羅摩をカガミイモと読んでも,ラマと読んでも良い. ▽ガガイモの語源はよく分かっていないが,最も信頼できそうな語源は: 「カガミイモ⇒ガガイモ」(大言海) ▽カガミ(⇒カガミイモ⇒ガガイモ)がなぜカガミ「イモ」と呼ばれるようになったのか?不明です.  “植物をたどって古事記を読む”シリーズ

“三浦祐介訳・注釈 口語訳古事記[完全版]文藝春秋” をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. オホクニヌシ(オホナムヂ, アシハラノヨコヲ)の国づくりを助けたスクナビコナ. 小人神で,現れたときに乗っていたのがアメノカガミ船(天之…

ガガイモ(かがみ)3 「ガガイモの実でできた船(アメノカガミ船)に乗ってきた小人神はスクナビコナ」と知っていたクエビコ.挿話の最後で正体が明かされます.「足を歩ませることはできぬが,何から何までこの世のことをお見通しの神である“山田のソホド”」 であると.ソホドは「案山子」の意(古語).そして僧都の古形ともなっています.カカシには,多くの民俗学的な研究がありますが,“神である山田のソホド”とどのようなつながりがあるのかは,調べきれませんでした. “植物をたどって古事記を読む” 

オホクニヌシ(オホナムヂ)の国づくりを助けたスクナビコナ. 長さ10センチのガガイモの実でできた船(アメノカガミ船)に乗り, ガガイモ - Wikipedia “ヒムシの皮をそっくり剥いで,その剥いだ皮を衣に着て依り来た”「小さい大地の神」.小人神でした. …

ガガイモ(カガミ)2 長さ10センチのガガイモの実でできた船(アメノカガミ船)に乗ってきたスクナビコナ.誰も,この神の名前を知りません. そこで,「クエビコがかならずや知っておりましょう」と進言したのが,タニググ.タニグクはヒキガエルのこと.祝詞によれば,地の果てを支配する神.万葉集でも,「たにぐく のさ渡る極み」詠まれ,「ヒキガエルが這って行く地の果てまで」の意を表しているとのことです.“植物をたどって古事記を読む” ガガイモ

“三浦祐介訳・注釈 口語訳古事記[完全版]文藝春秋” をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. 取り上げている植物は “ガガイモ(かがみ)” オホクニヌシ(オホナムヂ,アシハラノヨコヲ)の国づくりを助けたスクナビコナ. 長さ10センチの…

ガガイモ(かがみ)オホクニヌシ(オホナムヂ)が国を作り固めるとき,力を合わせた神がいました. 名はスクナビコナ. “アメノカガミ船”に乗ってやって来て,国づくりを助け,“ふっと常世の国に渡ってしまわれた” と挿話のような形で語られています.カガミは,ガガイモのこと.10センチほどのガガイモの実を二つに割ると船のような形をしています.スクナビコナは小さな大地の神の意をもつ子人神でした.  “植物をたどって古事記を読む”  

“三浦祐介訳・注釈 口語訳古事記[完全版]文藝春秋” をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. ガガイモ(かがみ) 八十の神々を追い払い遠ざけ,葦原の中つ国(=地上世界)の主となったオホクニヌシ(オホナムヂ,アシハラノヨコヲ). …

ヒオウギ(ぬばたま),アカネ(あたね),ススキ.この三つの植物が詠み込まれたオオクニヌシの歌.スセリビメの返歌と並べてみると,なかなか素敵な歌であることがよく分かります.“色ごとにかけても並ぶ神はいないほど” と書き記されたオホクニヌシ.歌は,女性の気持ちを射抜いたもの. さすがです.“植物をたどって古事記を読む”  

“三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋” をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. ヒオウギ(ぬばたま),アカネ(あたね),ススキ. たのしい万葉集: 緋扇(ひおうぎ)を詠んだ歌 ヒオウギ(ぬばたま)|東アジア植物記|サカタのタ…

ぬばたま “植物をたどって古事記を読む” アカネとススキが詠み込まれたオホクニヌシの歌. この歌に,もう一つの植物が詠み込まれていることを見落としていました.「ぬばたま」.ヒオウギの黒い実のことです.「黒」や「夜」,またその他の「黒」をイメージさせる言葉を導きます.“ぬばたまの くろきみけしを まつぶさに 取りよそひ おきつとり むな見るとき はばたきも これはふさはず”.

“三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋” をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. アカネとススキが詠み込まれたオホクニヌシ(ヤチホコ)の歌. この歌に,もう一つの植物が詠み込まれていることを見落としていました. しかも冒頭…

アカネとススキ “植物をたどって古事記を読む”  古事記では,オホクニヌシ(ヤチホコ)が,妃のスセリビメ(スサノヲの娘)に送る歌の中で登場.アカネ: 山の畑に 蒔いたアカネを臼で搗(つ)き 染め粉の汁で 染めた衣を すきもなく 粋に着こなし.ススキ :山のふもとの ひと本(もと)ススキよ 首をうなだれ お前が泣くさまは---. 

“三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋” をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. 今日取り上がるのは アカネとススキ 名前はよく知られたこの二つ. アカネ. 植物としてはなじみがなくても,あかね色は聞いたことがある色名. アカ…

ムクノキ3 ムクは椋ではない.「椋」の本来の意味はチシャノキ .ムクノキのもう一つの漢字は樸樹.むらがりしげる樹?/ そして,ホオノキは朴の木ではない. / さらにエノキは榎ではない.この話題は続けようと思えば,どこまでも続けられそうです.

“三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ” として,ムクノキを取り上げてきましたが,その過程で寄り道して調べた番外編が,今日の話題. 題して 「ムクは椋ではない」 椋の木・樸樹から連想した…

ムクノキ2 オホクニヌシは,椋の実のおかげで,「葦原の中つ国を統(す)べ治め」ることができた?? “スサノヲが倒れた室屋の垂木の一つ一つに結びつけられたおのが髪の毛をほどいているすきに,オホナムジとスセリビメは,遠く遠く逃げることができたのじゃった.” “ そこでオホナムジは,その生太刀(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)とをもって,八十(やそ)の神がみを追い払い遠ざけての,坂の屋根ごと追いつめ,河の瀬ごとに追い払(はろ)うて,葦原の中つ国を統(す)べ治め,はじめて国を作りたもうたのじゃ.”

“三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. ムクノキ2 オホクニヌシは,椋の実のおかげで,「葦原の中つ国を統(す)べ治め」ることができた?? ムクノキ(椋の木) - 庭木図鑑 植木ペディア y…

ムクノキ1 古事記に出て来るのは,ムクノキ自体ではなく,椋の実.「黒く熟してしわの寄った実は,干し柿のようで甘くて美味しい」スサノヲに試されたオオクニヌシは,スサノヲの頭のムカデを取り除こうとするのですが,機転を利かせたスサノヲの娘が椋の実と赤土を食べることをすすめます.

“三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. https://www.amazon.co.jp 今日取り上げるのは椋. ムクドリではなく--- 椋の木1 ムクノキを実際に見たという,確かな記憶がありません.恥ずかしい…

ガマ(蒲)2 八十の神がみとオホナムヂ(オホクニヌシ)は,稲羽のヤガミヒメを妻に娶りたいと思い,稲羽の国へ出かけます. //「その水辺に生えている蒲の穂を取り,その穂を敷き散らして,その上にお前の身を転がし横たわっていれば,お前の体は元の膚のごとくに治るだろう」//このウサギは,ただのウサギではなく,神だったのだと種明かしされる.ウサギ神によって,王になるための,女(稲羽のヤガミヒメ)を得るための資格試験. “植物をたどって古事記を読む”シリーズ(17)

“三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. https://www.amazon.co.jp 取り上げるのは,ガマ(蒲). 昨日も話題としました.蒲1http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/09/02/00125…

ガマ(蒲)1 ガマ(蒲)は以前は「カマ」.その語源ははっきりしていません.形声文字「蒲」は植物・ガマを指す漢字で,複合語食品名,蒲鉾・蒲焼きは穂に似ていたためと言われています.穂の種の数は約35万.隙間なく並んで穂の軸について一部の種が抜けると,隣り合った綿毛の種が次々と開き,軸から外れて飛び出していきます.ガマの薬効はガマの花粉・蒲黄にあると言われてきました.オオクニヌシが用いたのは,まだ成熟していない花の段階のガマの穂ということになります.

鎌倉おんめさま(大巧寺 だいぎょうじ)の庭には,今年も水鉢の中で育ったガマ(多分 コガマ)が穂をつけていました. たった一つだけでしたが. ガマについては,昨年も取り上げましたが, http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/10/18/022045 …

カガチ/ホオズキ(2) 「その目はアカカガチのごとくに赤く燃えて---」古事記の時代から,日本人に親しまれてきたホオズキ.浅草寺ほおずき市には,今も多くの人々が集っています. 今年,主催者予想の段階で55万人/二日間.起源は明和年間(1764〜72)で,四万六千日縁日の一大イベント.京都清水寺の千日詣りでもホオズキが飾られていましたが,何か特別な意味がある?/ ホオズキ属はトウガラシ属と近縁.食べられるホオズキも何種かあります.植物をたどって古事記を読む(16)

“三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. カガチ/ホウズキ(1) スサノヲは,また尋ねて, 「そやつの姿はどんなか」と問うと 「その目はアカカガチのごとくに赤く燃えて,植物をたどって古事…

カガチ/ホオズキ(1) スサノヲは,また尋ねて, 「そやつの姿はどんなか」と問うと 「その目はアカカガチのごとくに赤く燃えて,体一つに八つの頭と八つの尾があります.また,その体には,コケやヒノキやスギが生え,その長さは谷を八つ,山の尾根を八つも渡るほどに大きく,その腹を見ると,あちこち爛(ただ)れていつも血を垂らしております」 と答えたのじゃ. 植物をたどって古事記を読む(15)

カガチ/ホオズキ(1) “三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. 今日取り上げるのは,ホオズキ. 古事記ではカガチという古名で, “その目はアカカガチのごとくに赤く燃えて” と,あのヤマタ…

五穀(2) 五穀という言葉は,続日本紀(732)に現れるそうです.諸説あるようですが,古事記と日本書紀も含め,米・麦・粟・豆は共通.黍(きび)を入れるか,稗(ひえ)をいれるか,小豆を入れるかの違い.ただし,麦が大麦なのか小麦なのかがはっきりしません.いずれにせよ,日本では米が特権的な地位を占めてきましたが,古代では,麦・粟・豆(大豆/小豆)もとても大切な食料と見なされていたことがうかがえます. 植物をたどって古事記を読む(14)

五穀(2) “三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. https://www.amazon.co.jp 五穀(1) 高天原を追放されたスサノヲは,食べ物をオホゲツヒメに乞います.オホゲツヒメは,鼻・口・尻から…

五穀(1) 高天原を追放されたスサノヲは,食べ物をオホゲツヒメに乞います.オホゲツヒメは,鼻・口・尻から食べ物を出し,作り調えますが---「わざと穢(けが)して作っておるのだと思うての,すぐさま,オホゲツヒメを斬り殺してしもうたのじゃ」「二つの目には稲の種が生まれ,二つの耳には粟が生まれ,鼻には小豆が生まれ.陰(ほと)には麦が生まれ,尻には大豆(まめ)がうまれたのじゃった」 植物をたどって古事記を読む(13) 

五穀(1) “三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. https://www.amazon.co.jp 今日取り上げるのは,五穀. 神代篇 其の三では,高天原を追放されたスサノヲは,食べ物をオホゲツヒメに乞いま…

ササ / 小竹 アメノウズメが手草(たぐさ/たくさ)として,手に持って踊るササ.篠とも表されるヤダケ・メダケの種類と考えられます.ササを手にもって踊ることがある伝統歌舞が現代にも残っています.神楽です.「御神楽」の「採物(とりもの)」としてササが認められ,また,「里神楽」巫女舞でも同様です.ただし,現在は,ほとんどの場合,榊が用いられているようですが.植物をたどって古事記を読む(12)

古事記,岩戸隠れの物語にある5つの植物を取り上げてきましたが, 最後は ササ 小竹. アメノウズメが手草(たぐさ/たくさ)として,手に持って踊ります. “三浦祐介著 口語訳古事記” アメノウズメが,天の香山(かぐやま)の天のヒカゲを襷(たすき)にして…

マサキ/マサキノカズラ(テイカカズラ)天のマサキをかずらにして頭に巻いての マサキノカズラは,古今集に記さている植物で,テイカカズラの古名.古事記と同時代の万葉集に,“まさき”や“マサキノカズラ”は出てきません.万葉集では,“つた”と詠まれている植物がテイカカズラだろうと言われていますが----.テイカカズラの名前の由来は,能の「定家」説が広まっていますが----.テイカカズラという名前をガーデニングショップで見ることはほとんどありませんが,ハツユキカズラはよく見かけます.テイカカズラの園芸種

古事記,岩戸隠れの物語にある五種の植物のうち, ヒカゲ/ヒカゲノカズラ マサキ/マサキノカズラ(テイカカズラ) は,“神懸かりする”アメノウズメ”の体を飾り, ササ 小竹 はアメノウズメの手に. “三浦祐介著 口語訳古事記” アメノウズメが,天の香山(か…

ヒカゲノカズラ2 古事記では “神懸かりする”アメノウズメの体を飾っていたヒカゲノカズラ. 現代でも正月飾りに,また,神社の縁起物に用いられ,ヒカゲノカズラを必須アイテムとする祭礼も行われています.しかし,古事記と同時代の万葉集の歌をみると,古代日本では,ヒカゲノカズラは必ずしも神に結びつく植物ではなく,ごく普通に髪飾りなどに用いられていたと思われます.人はよし 思ひ止むとも 玉かづら 影に見えつつ 忘らえぬかも 万葉集 巻二 149  倭姫皇后

万葉集におけるヒカゲノカズラ ヒカゲノカズラ ヒカゲノカズラ - Wikipedia 古事記では “神懸かりする”アメノウズメの体を飾っていたヒカゲノカズラ. 現代でも正月飾りに,また,神社の縁起物に用いられ,ヒカゲノカズラを必須アイテムとする祭礼も行われて…

ヒカゲ/ヒカゲノカズラ1 ヒカゲは,“神懸かりする”アメノウズメ”の体を飾っていました.“アメノウズメが,天の香山の天のヒカゲを襷にして肩に掛けての” ヒカゲノカズラを飾る風習は,現代にもしっかり息づいていています.▽掛蓬莱,▽京都上賀茂神社の縁起物「卯杖」,▽ 奈良市率川神社「三枝祭」では,ヒカゲカズラを頭に飾った舞姫が ▽京都伏見稲荷大社大山祭では,神職の方々がヒカゲノカズラを首に掛けた装束で拝礼します.植物をたどって古事記を読む(10)

古事記,岩戸隠れの物語にある植物は五種. (以前のブログでは,ササ小竹を入れ忘れていましたので訂正しました) ハハカ/ウワミズザクラ マサカキ/サカキ(榊) ヒカゲ/ヒカゲノカズラ マサキ/マサキノカズラ(テイカカズラ) ササ 小竹 すでにこのブログ…

マサカキ/サカキ2 古事記の時代のサカキは,「常緑樹の総称」でした.岩岩戸隠れの場面で用いられた “マサカキ”(サカキ)は,「天の香山に生え」「根つきのままにこじ抜いて」こられたもの.オモヒカネは「タマノオヤがつくった,八尺の勾玉の五百箇のみすまるの玉飾り」や「アマツマラとイシコリドメがつくった八尺の鏡」を「取り垂らし」ますが,八尺の勾玉と鏡は,後にアメニキシクニニキシアマツヒコヒコホノニニギに与えられます.植物をたどって古事記を読む(9)

現在のサカキ かつては,ツツジ目ツバキ科の植物と見なされていましたが--- 現在はモッコク科(ペンタフィラクス科)のサカキ属に分類されています. モッコク科とツバキ科は系統樹の上ではかなり離れているようですが--- ツツジ目 - Wikipedia かつては,花…

マサカキ/サカキ 岩戸隠れの物語では,ハハカ/ウワミズザクラの他に三種の植物が登場 します.マサカキ/サカキ(榊),ヒカゲ/ヒカゲノカズラ,マサキ/マサキノカズラ.サカキはモッコク科,サカキ属,サカキ C. japonicaで,現代でも玉串や神棚へのお供えに.しかし, 古事記の時代のサカキは現在のサカキのみを指す言葉ではなく「常緑樹の総称」を意味していたとのことです!--天の香山(かぐやま)に生えている大きなマサカキを根つきのままに.植物をたどって古事記を読む(8)

昨日,一昨日,古事記の植物として取り上げた「ははか/うわみずざくら」. アマテラスが岩戸に隠れた「岩戸隠れ」の際に行われた「占い(太占)」で用いられていました. そして,この岩戸隠れの物語では,他に四種の植物が登場します. マサカキ/サカキ(榊…

ははか / うわみずざくら(2) 「うわみぞざくら」の変化した語で,昔,材の上面にみぞを刻んで占いに用いたことによる(日本国語大辞典).太占の薪として用いられていました.古事記では,この太占が,オモヒカネがアマテラスを岩戸から出すため“一芝居”のさなかに行われています.ここで行う意味が私にはやや分かりづらい.この“一芝居”がうまくいくかどうかを占っているようにも見えますし,太占自体も“一芝居”の一部であるようでもありますし---.植物をたどって古事記を読む(8) 

ははか(2) “三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. 昨日に引き続き,ハハカ. ハハカは,植物「うわみずざくら(上溝桜)」の異名. ウワミズザクラ - Wikipedia ウワミズザクラ(上溝桜)…

ははか / うわみずざくら(1) 北海道西南と本州、四国、九州の山野に自生するスモモ属(サクラ属)の植物.紅葉が美しく,中国では実が珍重されていた. 神代篇その二 ----- つぎには,アメノコヤネトフトダマを呼び出しての,天香具山に棲む大きな男鹿の肩骨をそっくりぬきとっての,天香具山に生えておった天のハハカを取ってきての,その男鹿の肩骨をハハカの火で焼いて占わせての---- :占いに用いられていました.植物をたどって古事記を読む(7) 

ははか(1) “三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”をテキストとした “植物をたどって古事記を読む”シリーズ. https://www.amazon.co.jp 今日取り上げるのは,ハハカ. ハハカと聞いて植物を思い浮かべる人は,古事記に精通した方のみでしょう. 精…

フジ5 古事記でハルヤマノカスミヲトコが藤の花が咲いた弓矢を立てかけた「厠」は,古代,「異界から神が依りつく場」「人と神(おそろしきもの)とが交わる場」とされていました!「その花の咲いた弓と矢をおとめが入っていった厠(かわや)の戸に掛けておいたのじゃ. そうすると,出てきたイヅシヲトメはその花を見て心引かれ,手に持って家に入ろうとする時に,カスミヲトコは花に包まれた姿で,おとめの後ろに付いて行き,そのまま屋(や)の中に入ったかと思うと,すぐさまおとめを抱いてしもうた」 植物をたどって古事記を読む(6) 

古事記人代篇其の五の物語では, イヅシヲトメを妻にしようと,ハルヤマノカスミヲトコがおとめの家に着くと,着ていた着物と持っていた弓矢は藤の花で覆われます. 着物は藤蔓(ふじづる)で織り縫ったもので,弓矢は藤蔓でつくられたものでした. http://y…

フジ4 ハルヤマノカスミヲトコが藤衣を身につけと藤の弓矢を持ってイヅシヲトメの元に向かいますが,これはケチで意地悪な兄にけしかけられたのも一因.藤の衣や弓矢をつくって弟を送り出した母は,弟ハルヤマノカスミヲトコのみをかわいがっているようです. 三浦祐介氏の解説によれば,これは「伝承の形式」とのこと. 植物をたどって古事記を読む(5)

前回取り上げたように yachikusakusaki.hatenablog.com 古事記に描かれる藤は,はじめ,藤蔓(ふじづる)として登場します. (人代篇その五 応神天皇(ホムダワケの大君)の章.) 伊豆志(*)の八前(やまえ)の大神の娘イヅシヲトメを妻にしようと出立す…

フジ3 古事記でフジが登場するのは伊豆志の八前(やまえ)の大神の娘イヅシヲトメを巡る兄弟の確執にまつわる物語.弟ハルヤマノカスミヲトコは,イヅシヲトメを妻にしようと,母が藤蔓(ふじづる)から「織り縫った」衣などを身につけイヅシヲトメの家に向かいます.「古代では,フジのツルの繊維を衣にすることが行われていたので,フジの花が選ばれている」と三浦祐介は解説しています. 植物をたどって古事記を読む(4):シリーズの一つとして,改めてフジを取り上げました.

藤は万葉集にも多く取り上げられ,古代より愛でられた花. 古事記にも登場することは,このブログでもとりあげ,その現代語訳も掲載しましたが--- http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/05/05/024941 重なる部分がかなりあることを承知の上で,…

葦2「それなのに止めることはできなかったのじゃな,そのまま秘め処にまぐわいなされての,なんと,お生みになった子は,骨なしのヒルコよ.この子は葦船に入れて流し棄ててしまわれた----」 “植物をたどって古事記を読む”(3)

古事記神代編の冒頭部,ウマシアシカビヒコヂ,アメノトコタチの二柱の神があらわれる様子を形容する言葉 「泥の中から葦牙(あしかび 葦の芽)のごとく萌えあがってきた」 の中で使われた“アシ 葦”. 次にアシが出現するのは,「葦船」. 最初の子生みに失…

葦1「泥の中から葦牙(あしかび)のごとく萌えあがってきたものがあっての,そのあらわれ出たお方を,ウマシアシカビヒコヂと言うのじゃ」“植物をたどって古事記を読む”(2)

「古事記」は,序文および上・中・下の3巻よりなる現存最古の歴史書. 植物という観点から見たとき,この古事記に記載されている植物は,文字として残されている最古の花,草,樹木等と言えるでしょう. “三浦祐介著 口語訳古事記[完全版]文藝春秋”の巻末…