秋を詠んだ短歌 フラワーセンターに涼しい風が吹き始め,萩,彼岸花の花,銀やんまの産卵風景も見ることができました. 春はただ花のひとへに咲くばかり物のあはれは秋ぞまされる よみ人知らず  張りみちてしかもあえかにうるみもつ秋よ人ならばこひて死なまし 太田水穂  秋はもののひとりひとりぞをかしけれ空ゆく風もまたひとりなり 若山牧水  父のごと秋はいかめし/母のごと秋はなつかし/家もたぬ子に 石川啄木  天国のペンキ屋バケツに蹴つまづきニッポンの野山目のさめる秋 石川信男

やや涼しい風が吹くようになった今日.

大船フラワーセンターへ,秋みつけに行って来ました.

 

正面のディスプレーはカボチャ.ハロウィーンまで続けるのでしょう.

何となく緑がうすくなった感があるものの,木々の紅葉はまだ.クスノキ,マツは常緑樹ですが.

ソメイヨシノにだけは,所々黄葉した葉が見え,落ち葉もかなりありました.

 

中央の花壇は,夏と同じで,特に秋らしい花は見られず.

秋桜といってもキバナコスモスは,夏からしっかり咲いています.

 

園内で見られたハクセキレイとギンヤンマ.

ギンヤンマはつがいでハナショウブの葉に止まっています.

調べてみると,ギンヤンマは,雄と雌が一緒につながったまま,産卵するそうです.

ただ休んでいるだけではなく,産卵の場面を撮ることができたようですね.

 

所々に,秋定番の花々が咲いていました.

ヒガンバナ

ハギ.

ススキ.



秋を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記)

 

春はただ花のひとへに咲くばかり物のあはれは秋ぞまされる よみ人知らず 拾遺集

 

水色の空のここかしこ白き雲のうきただよふもめでたし秋は  佐佐木信綱 常磐

 

張りみちてしかもあえかにうるみもつ秋よ人ならばこひて死なまし  太田水穂 螺鈿

 

食堂の黄なる硝子をさしのぞく山羊の眼のごと秋はなつかし  北原白秋 桐の花

 

秋はもののひとりひとりぞをかしけれ空ゆく風もまたひとりなり  若山牧水 独り歌へる

 

父のごと秋はいかめし/母のごと秋はなつかし/家もたぬ子に  石川啄木 一握の砂

 

秋いつかわれの心を占めぬらむ身さへ澄みゆくこことするかな  吉井勇 人間経

 

秋さびしもののともしさひと本(もと)の野稗(のびえ)の垂穂(たりほ)瓶にさしたり  古泉千樫 青牛集

 

かなしむな秋の清きにやしなひて流るるみづの明日の日を待て  前川美佐雄 積日

 

この秋はせんべいを焼くどんづまりわが血を濃くし生きねばならず  坪野哲久 北の人

 

天国のペンキ屋バケツに蹴つまづきニッポンの野山目のさめる秋  石川信男 太白光

 

秋はざくろの割れる音して神の棲む遊星といふ地球いとしさ  山中智恵子 神木

 

雲や秋昔ながらの母はいてわれは閻浮の水のみており  馬場あき子 桜花伝承