秋の日・秋の陽を詠んだ短歌2 秋の大船フラワーセンターの花壇には,コスモスの他,ペンタス,ブルーサルビア,センニチコウが.プラタナスなども茂り,来園者を癒やしてくれています. 秋の日となりなむときに かたらはむ.裏戸をとぢて かへり寝よ.をとめ 釈迢空  フラスコの透明に似し秋日(しゅうじつ)のわれの歩みに従(つ)きて来る山 葛原妙子  もの言へば声みな透る秋日ざしわれの怒りもはかなくなりぬ 中城ふみ子  処女(をとめ)にて身に深く持つ浄き卵(らん)秋の日吾の心熱くす 富小路禎

昨日訪れた秋の大船フラワーセンター.やはりコスモスが主役の花と言って良いかと思いましたが---

そのほかに,ペンタスブルーサルビア

ケイトウセンニチコウが華やかに花壇を彩っていました.

よしず張りの部屋には,しっかりと育てられた大輪の菊も.

 

人目を惹くのは,色とりどりの花たちですが,大船フラワーセンターには,かなり大きくなった樹木が茂っていて,来園者を癒やしてくれています.

クスノキプラタナス

ケヤキトチノキ

 

ソメイヨシノは,ほぼ葉を落としていて,残った葉が秋の風情を感じさせてくれました.

 

バラ園のバラ.

春の賑やかさにはとうてい及ばないものの,多くの株が花をつけていて,楽しませてくれています.

 

秋の日・秋の陽を詠んだ短歌2 

(古今短歌歳時記より)

 

秋の日となりなむときに かたらはむ.裏戸をとぢて かへり寝よ.をとめ  釈迢空 釈迢空短歌綜集

 

脱穀の音遠くきこえゐて見下しの吉良の家群に秋日あまねし  木俣修 呼べば谺

 

秋の日向を軋りゐるのは牛ぐるま遠き日の夢の老いゆくまでも  前川佐美雄 大和

 

フラスコの透明に似し秋日(しゅうじつ)のわれの歩みに従(つ)きて来る山  葛原妙子 橙黄

 

円柱のあひだあひだの秋日踏み石だたみ古りし廻廊を行く  佐藤佐太郎 冬木

 

秋日かげ照り入るここのかそけくて幹の蟬がらに指ふれてみつ  加藤克巳 青の六月

 

もの言へば声みな透る秋日ざしわれの怒りもはかなくなりぬ  中城ふみ子 乳房喪失

 

秋の陽の背に温(ぬく)くしてかへりくる帰りてなさんこと多きか今日も  上田三四二 遊行

 

秋の陽は乾きするどし山の尾に如意輪堂の甍かがやく  岡野弘彦 秋の家族

 

処女(をとめ)にて身に深く持つ浄き卵(らん)秋の日吾の心熱くす  富小路禎子 未明のしらべ