旧優生保護法をめぐる訴訟 原告側が逆転勝訴 大阪高裁判決(NHK)  当たり前の請求です. 裁判で認められるのは当然のこと. しかし,一審では憲法違反は認めても賠償請求は退けるという判決が相次ぎました. おぞましいとか言いようがない旧優生保護法.少しでもそのおぞましさを軽減していってほしいものです.

優生保護法による強制不妊手術に対する損害賠償請求が,大阪高等裁判所で初めて認められました.

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旧優生保護法の不妊手術で国に賠償命令 全国で初めて 大阪高裁 | NHKニュース

旧優生保護法訴訟、国の賠償責任を初認定 大阪高裁が逆転判決 | 毎日新聞

旧優生保護法をめぐる訴訟 原告側が逆転勝訴 大阪高裁判決:朝日新聞デジタル

 

 

当たり前の請求です.

裁判で認められるのは当然のこと.

しかし,一審では憲法違反は認めても賠償請求は退けるという判決が相次ぎました.

おぞましいとか言いようがない旧優生保護法.少しでもそのおぞましさを軽減していってほしいものです.

 

 

以下,主にNHK報道 旧優生保護法の不妊手術で国に賠償命令 全国で初めて 大阪高裁 | NHKニュース 

の要約です.

 

▽提訴から第一審判決まで.

2018年1月30日,知的障害を理由に不妊手術を強制された宮城県の60代女性が「重大な人権侵害なのに,立法による救済措置を怠った.旧法は憲法違反だ」として,国に1100万円の損害賠償を求める訴訟を,仙台地裁に起こし,その後,同様の提訴が相次ぎなされました(全国の9か所の裁判所).

2019年以降,仙台,東京,大阪,札幌,神戸で合わせて6件の判決が言い渡され,このうち4件は旧優生保護法憲法違反とする判断したものの,この4件も含め6件すべてが原告の訴えを退けました.

このうち5件は,改正前の民法に規定されていた「除斥期間(*)」を適用したものでした.

 

▽大阪高裁訴訟内容

訴えを起こしていたのは,関西に住む,聴覚障害のある80代の夫と70代の妻の夫婦と,病気の後遺症による知的障害のある70代の女性の3人.

昭和40年代に旧優生保護法に基づく不妊手術を強制され,子どもを産み育てる権利を奪われたとして,国に合わせて5500万円の賠償を求め提訴.

 

▽一審判決

1審はおととし,不法行為を受けたあと賠償請求できる権利のある20年の「除斥期間」が提訴の時点で経過していたとして,訴えを退けていた.

 

▽22日の2審判決(大阪高等裁判所,太田晃詳裁判長)

1審の判決を取り消し,国に合わせて2750万円の賠償を命じた.

 

憲法違反.強い人権侵害

「同意のないまま不妊手術を受けさせられ,生命をつなぐという人としての根源的な願いを絶たれた.旧優生保護法のもと,一方的に『不良』との認定を受けたに等しく,非人道的で差別的ならく印ともいうべき状態で,権利の侵害は平成8年に法律が改正されるまで続いた」

「特定の障害がある人などを一律に『不良』であると断定すること自体,非人道的で,個人の尊重という憲法の基本理念に照らし容認できない.」

「旧優生保護法は,子を産み育てるかどうか意思決定する自由などを侵害し,明らかに憲法に反する.非人道的で差別的であり,人権侵害の程度は強い」

 

除斥期間(*)”の適用は著しく正義・公平の理念に反する

「国が障害者に対する差別・偏見を正当化し,助長してきたとみられ,原告らは訴訟を起こすための情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあった.除斥期間の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する」

⇒1審の判決を取り消し,国に合わせて2750万円の賠償を命じた.

 

除斥期間

毎日新聞

 権利関係を早期に確定させるため,一定期間行使されない権利は自動的に消滅するという法律上の概念.不法行為による損害賠償請求権が20年で消滅すると定めた民法の条文について,最高裁は1989年に除斥期間とする初判断を示して定着した.当事者の認識に関係なく進行する.

一方,「著しく正義,公平の理念に反する」場合,適用を制限できるとの最高裁判例(**)もある.

 

**昭和27年に生後5か月で国の政策による予防接種を受け,副作用で重い障害が残った男性が,22年後に国に賠償を求めた裁判で,最高裁判所が「男性は障害の影響などで長年,裁判を起こせなかった.その原因を作った加害者が賠償を免れる結果は,著しく正義,公平の理念に反する」として,予防接種から20年を過ぎたあとでの賠償請求を認めた.

 

以下は参考資料,サイト

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旧優生保護法に基づく不妊手術強制、初の提訴 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/01/31/024738

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/03/23/002158

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/05/30/010252

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/06/10/004835

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/06/11/002340

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/06/12/001311

旧優生保護法は議員立法で成立した.提案したのは,参院議員の谷口弥三郎氏や衆院議員の太田典礼氏(日本安楽死協会/現日本尊厳死協会・初代理事長)ら産婦人科医だった./ 谷口氏が旧法に基づく人工妊娠中絶の指定医団体として設立したのが日本母性保護医協会だった.「優生利権」を日母が独占した./ 一方で「自己決定」という衣をまとい,出生前に胎児の異常の有無を調べて選択的に中絶する「新たな優生」が登場した.科学の名の下に・旧優生保護法を問う /3 毎日新聞2018年6月6日 - yachikusakusaki's blog

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/06/14/001209

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/06/15/000404

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/06/30/004551

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/07/01/022443

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/07/25/004406