はい,本日のテーマは,私おすすめの
『精進料理』. Buddhist Cuisine
COOL JAPAN~発掘!かっこいいニッポン~ - NHK
【出演】慶応義塾大学院教授…中村伊知哉,【司会】鴻上尚史,リサ・ステッグマイヤー,【語り】日高のり子,中井和哉
パトリック(コンゴ),ルイ(中国),ユーリ(ブラジル),ヘザー(アメリカ),ニコラ(フランス),シニパー(タイ),フラビオ(イタリア),クリスティアン(イギリス)
クールジャパン『精進料理』Buddhist Cuisine 4
続いては,アメリカのヘザーさんがお寺の精進料理を体験しました.
静岡県にある禅の修行道場.
ヘザー(アメリカ)「精進料理は食べたことがあるけど,お寺のは初めてよ.本物の精進料理が食べられるなんて楽しみだわ」
現在,30人ほどの僧侶が,日々,修行をしています.
朝,5時から行われる読経や掃除など,日常生活の全てが修行なんです.
修行僧たちが食べるのが精進料理.
朝食はおかゆと香の物.食事中は一切言葉を発しません.
ヘザー(アメリカ)「どういう意味が?」
修行僧「食べることっていうのも,修行の一つ.おかゆのありがたさ,お米のありがたさ.昆布だったり,梅干しだったり,ありがたさを感じるという修行でございます」
昼と夜は,一汁一菜.御飯とみそ汁におかずが一品.
調理の一切を取り仕切るのが,典座(てんぞ)の小金山泰玄(たいげん)さん.
日常生活も修行と捉える禅宗では,調理も修行の一つとされています.典座は,住職を補佐する1人で,修行経験が深く,信任の厚い人が選ばれます.
現在,4人の修行僧が典座を補佐.
一般客も含め,およそ100人分の料理を作ります.
https://serai.jp/tour/369115 精進料理|可睡斎体験|可睡斎
精進料理は,飛鳥時代,仏教の伝来と共に日本に入ってきました.当時は,簡単な調理法で,味付けも塩や酢だけの素朴なものでした.
鎌倉時代に入ると,植物油を使った揚げ物や,葛をつかった胡麻豆腐など,調理法も進歩.
時代共に変化してきました.
ヘザー(アメリカ)「精進料理で大切なことは何ですか?」
小金山典座「動物の命もあります.植物も命があります.その大切な命を頂くのに,一生懸命,典座(てんぞ)はつくるということ」
午前8時.
小金山さん.昼食に準備にとりかかります.
献立は,ジャガイモのコロッケ.使うのは,オクラやレンコン.
オクラの中心部分は客用の天ぷらに.僧侶用は,ヘタに近い部分だけ.野菜の切れ端を混ぜ込むコロッケなんです.
小金山典座「食べれるものは,きれいに,捨てずに生かすということですよね」
レンコンは皮を剥き,細かく切ってコロッケへ.
皮も捨てません.四角く切って油で揚げます.食べられる部分は,余すことなく調理します.
(スタジオ「お〜」「すごいな」)
精進コロッケは,野菜を無駄なく使うことが出来る料理.命を頂くという思いが生み出した献立です.
精進コロッケのお昼御飯
:(見たところ;沢庵一切れが添えられた御飯.油揚げ入りのみそ汁.精進コロッケ・サツマイモ・ビーフンorそうめん状の煮物?)
修行僧たちに好評です.
修行僧A「おいしかったです」ヘザー(アメリカ)「ははは」
修行僧A「肉・魚は,基本的に食べられないんですけど,やっぱり,そうやって,まあ,ちょっとああいうものっていう,あの,食感が変わったものが出てきますと,やっぱり,私たちは,うれしいですね」
修行僧B「修行僧は,1日が,本当に,もう忙しくて,食事しか楽しみがないので」
修行の一つとはいえ,楽しみになっているんですね.
ヘザーさんも頂きました.
ヘザー(アメリカ)「おいしいわ.もっと味気ないものと思ってたけど,とても味わい深いわ」
小金山典座「たかが食べ物,されど食べ物.それをどれだけ生かして,皆さんのお口に運ぶかということ」
典座が作るお寺の精進料理.いかがですか?
「とてもおいしそうですね」
「実際に見てきたヘザーさん.いかがでしたか?」
ヘザー(アメリカ)「とてもすばらしかったわ.今までいろいろな店で精進料理を食べたけど,日本のお寺で食べたり,典座に話を聞く機会がなかったの.
すばらしいものを作るだけではなく,無駄を出さずに作ることが大切だといっていたの.すべて美しかったわ」
「なるほどね.お寺の精進料理ですけど,どう思いますか?」
パトリック(コンゴ)「すばらしいね.コンゴでは,母が芋の皮を剥くと捨てちゃうけど,無駄なく使ってしかも健康的というのがよかったよ」
「クリスティアンはどうですか?」
クリスティアン(イギリス)「一般客にはよいところを出して,自分たちは残った野菜を工夫していたのがよかったわ」
「なるほどね.そうですか.フラビオはどうですか?」
フラビオ(イタリア)「イタリアの神父や修道女もきちんとした食事をしているんだ.それは,長年受け継がれている伝統的な食事で,世代を重ねることでよいものになっているんだよ」
「VTRの中で,動物の,もちろん,命をいただくっていうのはあるんだけど,植物でさえ,植物の命もいただくっていう考えを,お坊さんがしてましたですけど,この考え方は理解できる?」
ほぼ全員「もちろん」「オフコース!理解できる!」
フラビオ(イタリア)「それは,宗教的な考えではなく,食べ物に対する思いだからね.無駄にしないというのは,どんな人にも理解できるはずだよ」
ニコラ(フランス)「例えば,自分の庭で野菜を育てたことがあれば理解できるよ.育つ過程が見えるからね.
ただ,一つだけいいたいのは,日本は果物の皮を剥いて捨てるよね.リンゴとか.桃とか,ブドウもね」
「面白いけど,えっ,何だったっけ?リンゴと---」
ニコラ(フランス)「桃」「桃は食べられない」「ピーチ食べる?」
ニコラ(フランス)「もちろん」「本当?」
ヘザー(アメリカ)「食物繊維たっぷりよ」ニコラ(フランス)「ビタミンも豊富だし」
「マジかよ!」
ほぼ全員「食べるよ」
「これ,すっごい面白いんだけど.
日本人は食べ物をすごく大切にして,無駄なく食べるって言いながら,お前ら,皮,食べないじゃねえかって--
イチジクは剥くだろ.いくらなんだって」
フラビオ(イタリア)「いや,食べられるよ.新鮮なら食べられるよ」
「何の質問だっけ.このお寺の精進料理はウケると思いますか?」
フラビオ(イタリア)「イタリア人にはレストランよりウケると思うよ.伝統的なものが好きだからね.何世代も受け継がれてきたものに魅力を感じるんだよ」
「どうですか?パトリック」
パトリック(コンゴ)「聖職者や僧侶が作ったものに.魅力を感じるね.コンゴに仏教とは少ないけど,お寺の料理は魅力的だと思うよ」
「なるほど.秋葉原とか,さっきのカフェと,このお寺だったら,どっちの方がツーリストは---?」
(ほぼ全員)「テンプル」「テンプル」---
「テンプル---.テンプルだと思う人.(ほぼ全員)あっ,テンプル.ああ,そう.なんだ,まだ観光資源があるじゃないか.ここに.はあ〜」
「秋葉原も捨てがたいけど.秋葉原だもんね.お買い物ついでにっていう」
フラビオ(イタリア)「秋葉原は何かと便利だし」
「だって,座禅とかね,この番組で昔特集して」「特集ってありましたね」「ありました.そこで,精進料理食べるって言うのは,文句ないわけだ」「ねえ」
「さあ,中村さん.いかがですか?」
中村「『いただきます』っていう言葉は,日本独特の表現ですけど,それは,食材の命を感謝していただく.肉,魚だけじゃなく,植物も命あるものだ,ありがたいっていう気持ちですけれども.
同時に,精進料理,作る方もですね,手間をいとわない,全て手作業で,今,その手間っていうのが,食材への感謝もあれば,お供えをする仏様のこと,あるいは,食べて下さる皆さんのことを考えるっていう大事な時間なんですよね.これって,食べる方も作る方も,スピリットが込められているというのが,精進料理っていうことだと思いますね」
「なるほどね」