菜の花を詠んだ短歌2  菜の花に蝶もたはれてねぶるらむ猫間のさとの春のゆふぐれ 香川景樹  百草(ももくさ)の萌えいづる庭のかたはらの松の木陰に菜の花咲きぬ 正岡子規  蝶ひらひらゆくへのどかに風わたる菜の花一里の春の日ぬるき 金子薫園  群青の入江の潮に菜の花の山はいちめんの夕日の反射 太田水穂  菜の花の乏しき見れば春はまだかそけく土にのこりてありけり 長塚節  青麦の菜種の花の霞みあひ富士ありげなる野のけはいなり 四賀光子

昨日出かけた大船フラワーセンターには,少なくとも4種類の早咲きの桜が植えられています.

昨日紹介したハルメキと玉縄桜は,それぞれ数本〜十数本あって,楽しませてくれました.

もう2種類は,大寒桜と寒緋桜.

ただ,大寒桜は二株あるのですが,花の色・形が異なるように見えました.沢山花を咲かせていた木は,寒緋桜に近く,「実生とあったので,寒緋桜に近い形質が強く現れた?」と思わせる花姿でした.もう一本の方は,ネット上で紹介されている花に近い---

もう一本の大寒

寒緋桜

 

昨日紹介しなかった花で,今見頃なのは,ユキヤナギ,ボケ.どちらも小さい木で余り目立ちませんが,ボケは数種類まとめてあるのでお薦め.

 

そして,桜とともに誰もが春を感じる花,菜の花

 

菜の花を詠んだ短歌2

(古今短歌歳時記より)

菜の花を詠んだ短歌は,一昨年既に取り上げたので,

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/04/10/235842

今回は二回目になります.歌は重なります.

 

此の園の春に胡蝶やあくがれむ朝なゆふなの花にほふころ  村田春海 琴後集

 

菜の花に蝶もたはれてねぶるらむ猫間のさとの春のゆふぐれ  香川景樹 桂園一枝

 

かつがつも実になりゆきてゆく春の末ばかりにも残る菜花(なのはな)  大隈言道 草径集

 

百草(ももくさ)の萌えいづる庭のかたはらの松の木陰に菜の花咲きぬ  正岡子規 竹の里歌

 

蝶ひらひらゆくへのどかに風わたる菜の花一里の春の日ぬるき  金子薫園 片われ月

 

群青の入江の潮に菜の花の山はいちめんの夕日の反射  太田水穂 鷺・鵜

 

眼に入るはすべての菜の花行く汽車の行きのまにまに黄に渦巻くも  窪田空穂 冬日ざし

 

菜の花の乏しき見れば春はまだかそけく土にのこりてありけり  長塚節 長塚節歌集

 

青麦の菜種の花の霞みあひ富士ありげなる野のけはいなり  四賀光子 朝月