生姜/生薑を詠んだ短歌 和の薬味を代表するショウガ.遅くとも平安時代には栽培され,現代でも豚生姜焼きは若者が好きな料理の代表の1つ.インド・中国料理にも欠かせません.古名ははじかみ. 花のみな散りての後にからくしてのこれるものははじかみの花 藤原頼宗  寂しさに耐へてあらめと水かけて紅き生薑の根をそろへけり 北原白秋  妻が洗ふうすくれなゐの秋生姜はじかみ見つつ心入り組む 前川佐美雄  白き花さきておぼろに見えながら生姜畑は黄に枯れんとす 佐藤志満 

シソ(紫蘇),ミョウガ(茗荷)と並んで,和の薬味を代表するショウガ(生姜・生薑).

https://recipe-book.ubiregi.jp/articles/yakumi-yakuwari/

https://www.hakko-blend.com/food/challenge/14.html

ショウガの漢字,生姜/生薑のうち,本来一字でショウガの意味を持つのは後者の「薑」.現代では中国でもショウガを表す漢字は「姜」になっていますが.

 

ショウガ目ショウガ科ショウガ属の植物.

同じ属にミョウガ,ショウガ科には,ウコン(ターメリック),カルダモン,ガランガルなどがあります.

 

インド,中国をはじめ,世界各国,特にアジア・アフリカの国々の重要な香辛料,香味野菜の一つですね.

世界の生産量は1位がダントツでインド.以下,ナイジェリア,中国,東南アジア各国がつづきますhttps://en.wikipedia.org/wiki/Ginger

インド料理,中華料理にショウガが欠かせないのはご存じのとおり.

https://recipe52.com/indian-ginger-chicken/

https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1850007776/

 

日本では,高知県が他を引き離して1位.以下,熊本,千葉,宮崎県がつづきます.

(作物統計調査

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500215

 

歴史的に見ると---

中国戦国時代(紀元前475年~221年)の『論語』に,孔子が毎日食べていたとの記録があり,https://en.wikipedia.org/wiki/Ginger

漢方医学,インド伝統のアーユルヴェーダ医学でも重要な生薬とされてきました.

日本でも,生薬として知られ(生薬の時は生姜をショウキョウとよびます),また,最も古くから栽培されていた香味野菜の1つです.奈良時代以前に伝わっていた可能性があり 料理書にみる中国,朝鮮,日本料理中のショウガ利用比較 平安時代延喜式(905-27)には食品として栽培されていたことが記載されています. ショウガ Zingiber officinale Roscoe (ショウガ科) 今月の薬草 社団法人日本薬学会  

日本の古名は「クレノハジカミ」.室町時代には「ハジカミ」「ショウガ」が併用されていましたが,現代ではハジカミは葉ショウガをさす言葉として残っています.(精選版日本国語大辞典

 

冒頭で「薬味」としてのショウガを強調した書き方をしましたが----

ご存じのようにショウガを使った日本人の味覚に合う料理は多岐にわたります.

https://www.nichireifoods.co.jp/media/28353/

https://www.kyounoryouri.jp/contents/55452

https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/709222/

https://www.kyounoryouri.jp/contents/55452

https://www.ebarafoods.com/recipe/cla_foods/yasai/15.html

https://www.kikkoman.co.jp/homecook/search/recipe/00001935/

https://www.google.com/search?生姜ドレッシング

https://www.google.com/search?ショウガタレ

https://www.google.com/search?生姜甘酢漬け

 

生姜の花を日本で見ることは少ないものの,咲かないわけではありません.

https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_detail&target_c_diary_id=346706

(広く出回っているジンジャーリリー,ジンジャーなどと呼ばれている花は,ハナシュクシャ/ヘディキウム属).

 

 

生姜を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

花のみな散りての後にからくしてのこれるものははじかみの花  藤原頼宗 入道右大臣集

 

寂しさに耐へてあらめと水かけて紅き生薑の根をそろへけり  北原白秋 雀の卵

 

生薑畑にしやがみゐたりし小女子のまがなしく沾(ぬ)れし赤き唇(くち)見き  尾山篤二郎 白圭集

 

妻が洗ふうすくれなゐの秋生姜はじかみ見つつ心入り組む  前川佐美雄 捜神

 

白き花さきておぼろに見えながら生姜畑は黄に枯れんとす  佐藤志満 水辺

 

生姜の葉ただひと度の水霜にみな葉を垂れぬこの静まりよ  土屋正夫 折蘆