ニンニク/Garlic4 中国料理とにんにく  中国料理でもニンニクは頻繁に使われますが,「中国名菜譜」で主に使われているのは「ネギ」「生姜」で,にんにくはその1/4.高級料理にはあまり使われないのかもしれません.一方,戦後に中国料理を受け入れた日本では,戦前はほとんど用いなかったにんにくを好んで使うようになっていて,「NHK今日の料理」のレシピでは,「中国名菜譜」の2倍以上のニンニクが用いられ,「しょうが」「ネギ」の1/2を越えています.そして,中国では使われない餃子にもにんにくを使用するように.

スパイス(スパイス&ハーブ)について,まとめています(すでに取り上げたシソ目シソ科のハーブは省きます).

 

スパイス(スパイス&ハーブ)34

ニンニク/Garlic4 中国料理とにんにく

 

世界に出回っているニンニクの70%以上は中国産.

https://en.wikipedia.org/wiki/Garlic

そして中国料理でもニンニクは頻繁に使われるスパイス/ハーブです.

 

Garlic and Ginger: Chinese Cooking Staplesという記事では,次のように解説しています.(DeepL翻訳 一部抜粋)

https://www.thespruceeats.com/garlic-and-ginger-chinese-cooking-staples-695008

https://www.thespruceeats.com/garlic-and-ginger-chinese-cooking-staples-695008

中国ほど食に情熱を傾ける文化も珍しいが,アジア料理にはニンニクとショウガの2つの食材が欠かせない.新鮮な生姜の独特な酸味は煮込み料理から炒め物まであらゆる料理に使われ,ニンニクの刺激的な風味は中国全土の料理に登場する.

ニンニクの歴史

ニンニクは常に私たちの想像力をかき立ててきたが,それはおそらくその治癒力が広く信じられていたからだろう.ニンニクはまた,孔子が編纂した中国の古典『詩経』(紀元前12世紀から7世紀にかけての詩人たちの作品を集めたもの)など,いくつかの古典文学にも登場している.

タマネギと同じ仲間のニンニクの起源をたどるのは難しい.ロシアのシベリア砂漠が原産地で,その後アジア,地中海,そして最終的にはヨーロッパに広まったとする専門家もいる.しかし,その発祥地がどこであれ,中国では紀元前3000年までにはニンニクを使っていたという.

中国料理におけるニンニク

ニンニクの刺激的な香りは,四川料理や北方料理によく登場する.四川料理はその煽情的なスパイスで有名だ.あまり知られていないが,中国の北方地域では,厳しい冬のために栽培期間が短く,北方人は料理の味付けにニンニクやネギを含むタマネギ科の植物を利用している.これらは一般論であり,ニンニクもショウガも中国全土の料理に含まれている.もちろん,これらの香辛料はどちらも炒め物の油の風味付けに使われる.

Dry Garlic Spareribs https://www.thespruceeats.com/dry-garlic-spareribs-695219

Garlic Broccoli Stir-fry https://www.thespruceeats.com/sauteed-broccoli-482862

 

 

このように,中国全土で使われているニンニクですが,ヨーロッパと同様,高級な伝統的なレシピでは,トップは「ネギ」「生姜」で,ニンニクの使用頻度は少ないというデータもあります.

川口幸大 食文化研究 No.17 1~13 2021 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfcj/17/0/17_1/_pdf)によれば,

中国名菜譜(1957 年から中国政府によって編纂が 進められた計 11 冊から成る料理書で、北京、広東、四 川をはじめ各地の料理の作り方を紹介している)に掲載されている1252件のレシピのうち,48.0%にショウガが.48.6%にねぎが使われているのに対し,ニンニクが使われているのは12.1%にすぎません.

 

残念ながら,現在の中国本土日常食でのショウガとニンニクの使用については調べられませんでしたが---

現在,ウェブ上の「NHK 今日の料理」に紹介されている「中華料理+しょうが」のレシピは284品,「中華料理+にんにく」は164品.現在の日本人が好む(とおもわれている)中華料理では,ショウガとニンニクの差は大分小さくなっています.

ちなみに,NHK今日の料理で.「中華料理+しょうが+ニンニク」は,100品.ニンニクを使った中華料理の約2/3は,ショウガと併用されているようです.

https://www.kyounoryouri.jp/search/recipe?keyword=ショウガ,ニンニク,中華

 

なお,上記の川口幸大氏による研究論文は,「料理の友」「今日の料理」の年代別のレシピの検討から,日本人による中華料理の受容の変遷をたどっています.

その中にあるニンニクに関わる記述を以下に転載しますが,

戦前の日本人は,中華料理でもニンニクをほとんど受け入れてこなかったものが,戦後,特に1990年代以降,急激に増加し,「中国名菜譜」における使用(12.1%)をはるかに上回る(27.5%)ようになっています.

(川口幸大 食文化研究 No.17 1~13 2021 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfcj/17/0/17_1/_pdf

そして,中国ではニンニクを用いない餃子のレシピにも,日本ではニンニクを使っている!

 

 

 

川口幸大 食文化研究 No.17 1~13 2021  より

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfcj/17/0/17_1/_pdf

きょうの料理』において注目すべき点は,にんにくの使用率が1990年代から大きく増加して全体で3位につけ,21.5%の料理で使われていることである.

対照的 に,にんにくは戦前の『料理の友』では 2.1%しか使われておらず,また『中国名菜譜』では5位,使用率は 12.1%だから,その多用は戦後日本の中華料理の特徴であるといえる.

 

『中国名菜譜』においては[水餃子]はもちろん,[鍋貼]と呼ばれる焼餃子系の料理のレシピにもにんにくは使われていないが,『きょうの料理』の餃子レシピではにんにくを使用することが珍しくない.

https://www.kyounoryouri.jp/recipe/10405_パリパリ焼きギョーザ.html

中国にはない,この戦後のにんにくと餃子の組み合わせについては,日本ではにんにくを食べるとスタミナがつくと考えられており,戦後の空腹の時代にうまくヒットしたとされる.

他方で,にんにくはむしろにおい消しとの説もあるが,戦後のラーメンをはじめ,中華料理 はスタミナやカロリー,エネルギーを連想されることが多く,この傾向が家庭での中華料理にも影響していると言えよう.

 

 

ニンニクを使った中国料理 日本語・英語・中国語での検索

https://www.google.com/search?ニンニクを使った定番中国料理

 

https://www.google.com/search? Typical Chinese dishes using garlic

 

https://www.google.com/search?使用大蒜的典型中国菜肴