ショウガ/Ginger1 日本の生姜 ショウガは5000年前から栽培されていたと言われています.孔子が食べていたとの記載も.生姜・乾姜などの生薬として? 日本への渡来時期は不明.平安時代には食品・薬用として栽培されていました.室町時代にはショウガとハジカミの名前が併用されていたとのこと.日本ではほとんど生で食べられますが,葉ショウガ,新ショウガ,ひねショウガとバリエーションは豊富ですね.ショウガ属にはミョウガも含まれ,ショウガ科にはウコン(ターメリック),カルダモン,ガランガルがあります.

スパイス(スパイス&ハーブ)について,まとめています(すでに取り上げたシソ目シソ科のハーブは省きます).

 

スパイス(スパイス&ハーブ)27

ショウガ/Ginger 1 日本の生姜

ショウガは,最も古くから栽培されていたスパイス&ハーブの一つ.

日本では生で使われるのが大部分ですが,乾燥して粉末としてものも売られていて,世界に広まっているそうです.

原産地は,インド,南アジア,もしくは中国南部と推定されていますが,野生種がみつかっていないこともあって,特定されていません.

5000年前の「オーストロネシア語族(台湾から東南アジア島嶼部、太平洋の島々、マダガスカルに広がる語族)のカヌーに植物本体が用いられていたことから,この時期にはすでに栽培されていたと考えられますhttps://en.wikipedia.org/wiki/Ginger

 

一方,中国戦国時代(紀元前475年~221年)の『論語』に,孔子が毎日食べていたとの記録があり,これが最古の文献的な記述と言われています.https://en.wikipedia.org/wiki/Ginger

 

孔子は,生姜を薬として用いていたことを示しているのでしょうか?

生姜は現在も生薬「ショウキョウ(生姜):生のまま乾燥」や「カンキョウ(乾姜):蒸してから乾燥」の材料としても用いられています.

ともに,風邪や芳香性健胃,鎮吐の改善を目的として,葛根湯や半夏瀉心湯などの漢方処方に配剤.

 ショウガ Zingiber officinale Roscoe (ショウガ科) 今月の薬草 社団法人日本薬学会  

 

日本には,8世紀初頭以前,大和時代までには伝わっていたと推定もありますが 料理書にみる中国,朝鮮,日本料理中のショウガ利用比較 ),根拠はやや曖昧.

魏志倭人伝に薑(きょう)の名で載る」とのことですが.https://kotobank.jp/word/ショウガ-78870

 

平安時代中期に編纂された延喜式(905-27)には食品として栽培されていたことが記載されています.

 ショウガ Zingiber officinale Roscoe (ショウガ科) 今月の薬草 社団法人日本薬学会  

 

ショウガの古名はクレノハジカミ.

日本国語大辞典によれば

⑴古名は、クレノハジカミ.室町時代にはシャウガとハジカミが併用されていた.
⑵根生姜と葉生姜があるが、江戸後期には,葉生姜のことを特にハジカミと呼ぶようになっていた.

古事記にあるハジカミをショウガとする説がありますが,一般的にはサンショウを指すとされています.ショウガがハジカミと呼ばれるようになるのは室町時代というのが上記日本国語大辞典の記述)

 

なお,漢字では生薑と生姜が用いられます.薑は漢語でショウガの意味で,こちらが本来の漢字と思われますが,書くのはほとんどムリ?

姜は部族の名前で,なぜ,この漢字が用いられるのかは調べきれませんでした.単に,音が一致していたから?

 

葉ショウガ(ハジカミ)

新しょうが小指くらいの大きさになった時に,葉をつけたまま出荷されるものをいいます.

後述の新生姜やひね生姜は,大ショウガ(品種としては土佐一など)を用いますが,葉ショウガ専用の品種として小ショウガの金時・谷中などがあります.

https://www.pref.chiba.lg.jp/ryuhan/pbmgm/zukan/yasai/hashoga.html

 

新ショウガとひねショウガ

ショウガの栽培では,春に種ショウガを植えるそうですが,収穫は一般的には秋.

その頃には「“5次茎”ぐらいまで形成される」そうです.

https://ginger-factory.net/recipe/?p=15122

収穫してすぐの生姜が新ショウガです.

ガリとしてお寿司屋さんで食べるのはこの新ショウガ.現在はハウス栽培されて春からの収穫が可能で,新ショウガとして出荷される多くはハウス新生姜とのこと.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/05/15/001838

 

温度,湿度に注意して,新ショウガを二ヶ月ほど保管したものが,薬味に使われる根ショウガ(ひね生姜)になります.

https://weathernews.jp/s/topics/202206/140065/

 

植物としてのショウガ

ショウガは,

ショウガ目 Zingiberales,ショウガ科 Zingiberaceae,ショウガ属 Zingiber,ショウガ Z. officinale.

 

スパイスとして利用するのは根ではなく,茎が変化した塊茎.じゃがいもと同じですね.

辛味成分としては「ジンゲロール」が主ですが,最も辛い成分は「ショウガオール」:ショウガオールは,ジンゲロールが脱水したもので,加熱,乾燥や精油の長期保存により生成するとのこと.

http://stu.isc.chubu.ac.jp/bio/public/Food_Nutr_Sci/labo/tsuda_lab/research/research04.html ショウガ辛味成分の化学

香り成分は「シネオール」,「シトロネラール」,「ジンギベロール」,「ジンギベレン」など,抗菌性は「ジンゲロン」であるといわれています.

https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1811/01.html

 

日本の気候では,ショウガの花が咲くことはほとんどありませんが,赤い美しい花を咲かせるようです.

Zingiber officinale flower

日本では,近縁のジンジャーリリー(ハナシュクシャ 日本では「ジンジャー」とも呼ばれている!)を見かけますが,花の形としては似ているように思います.

https://sakata-tsushin.com/oyakudachi/lesson/flower/post_15.html

 

ミョウガは同じショウガ属,そして,ウコン(ターメリック),カルダモン,ガランガル,などがショウガ科の植物になります.

 

ショウガ目にまで広げると,カンナ,バナナ,バショウも含まれます.