紫蘇を詠んだ短歌 紫蘇と荏胡麻は互いに変種の関係にあります.青紫蘇の香成分は荏胡麻にはありません. 畠なかに手もてわが扱(こ)く紫蘇の実のにほいの清しきころとなりにし 島木赤彦  土の上に紫蘇のこまかき花ちりて秋の日かげのこまやかに照る 結城哀草果  食うすくつつしみ暮すわが家に青紫蘇の葉は人が貰ひにくる 橋本德寿  ふるさとの紫蘇の実のにほひ頻り恋ひ頻り恋ひゐる雨の降る日に 前川佐美雄  紫蘇の葉を揚げておりたり都市の空薄れて夏はきわまりゆけり 馬場あき子 

和風の薬味の代表,アオジソ.

https://www.suntory-kenko.com/column2/article/9227/

https://www.google.com/search?紫蘇の花

https://www.google.com/search?紫蘇の実

梅干しになくてはならないアカジソ.

https://www.google.com/search?赤紫蘇

 

多くの日本人は,シソが大好きなのではないでしょうか.

栽培も簡単(きれいな葉を採ろうとしなければ)

庭でもコンテナでも嫌というほど生えてきてくれますアメリカのサイトを見ていたら,"invasive"と注意喚起されていました)

 

レシピサイトを見れば,それぞれ,様々な料理への利用法が沢山みつかります.

https://www.google.com/search?青じそレシピ

https://www.google.com/search?赤紫蘇の使い方

 

シソは,最近「健康に良いω3油」として完全復活した感のあるエゴマ(荏胡麻)と,(species)としては同じ,

見た目は,エゴマアオジソはほぼ同様です.エゴマにはアオジソの香成分(ペリルアルデヒド)がないので,香での区別は簡単ですが.

https://www.pharm.or.jp/flowers/post_42.html

 

シソは,エゴマの変種としての学名がつけられ,学名としてはアオジソとアカジソの区別はしないのが一編的な表記

牧野富太郎博士は細かく変種の名前をつけていますが 

https://hosho.ees.hokudai.ac.jp/tsuyu/top/plt/mint/perilla/fru.htm

 

エゴマ:Perilla frutescens 

(Perilla frutescens var frutescens )

シソ(アカジソ,アオジソ) Perilla frutescens var. crispa

 

シソ科の中では,欧米のよく知られたシソ科のハーブ(セージ,ローズマリーオレガノ,タイム,ハッカ)とは,すこし離れた系統に分類されています.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/07/20/235813

なお,シソは生薬としても用いられますが,その場合はアカジソが基本.

https://www.takeda.co.jp/kyoto/area/plantno117.html

https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/003386.php

漢字「紫蘇」の「蘇」は,一字でもシソの意味を持ちます.「よみがえる」の意味もありますが,これが生薬としてのシソと関連づくのかどうかはよく分かりません.

伝説としては「中国の後漢の時代、若者が蟹の食べ過ぎで食中毒を起こしたとき、華佗(中国の名医)がしその薬草を煎じ紫の薬を作り、それを用いたところ、若者はたちまち回復した」ことからとしているサイトもありますが,語源としてどこまで認められているのか不明(少なくとも私が調べた範囲の事典辞書には記載がありません).

蘇 (角川字源)

意味

❶しそ。シソ科の一年生草本。「紫蘇」

❷くさ。類草。

❸草をかる。

❹よみがえる(よみがへる)。いきかえる。同甦

 

 

紫蘇を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

畠なかに手もてわが扱(こ)く紫蘇の実のにほいの清しきころとなりにし  島木赤彦 太虚集

 

こころよき刺身の皿の紫蘇の実に秋は俄かに冷えいでにけり  長塚節 長塚節歌集

 

紫蘇の花咲けりともわが思はぬに土にこぼるるむらさきの花  吉植庄亮 寂光

 

土の上に紫蘇のこまかき花ちりて秋の日かげのこまやかに照る  結城哀草果 まほら

 

食うすくつつしみ暮すわが家に青紫蘇の葉は人が貰ひにくる  橋本德寿 桃園

 

家裏の石むら明るく差すひかりかすかに紫蘇の花も咲きつつ  山口茂吉 高清水

 

ふるさとの紫蘇の実のにほひ頻り恋ひ頻り恋ひゐる雨の降る日に  前川佐美雄 植物祭

 

紫蘇ひと本新居の庭の炎天のひかりのなかに寂しさ保つ  宮原阿つ子 黒曜

 

餅の夜はきのふにすぎてふり出でし小雨はしその花の上に消ゆ  遠山繁夫 雨の洗へる

 

紫蘇の穂の枯れしが粉となりて落つ香さやかなり吾のてのひら  千代国一 冷気湖

 

紫蘇の葉を揚げておりたり都市の空薄れて夏はきわまりゆけり  馬場あき子 飛花抄