「パンデミックに翻弄され,人の移動が制限されている今,海外から数万人を呼んで,感染拡大は抑えられるのか.開催の可否まで念頭に,詳細にリスク分析・評価しているはず,と思うのは当然だ.ところが,そうした専門家チームの存在は,見当たらない」青野由利 分科会・舘田委員「東京で緊急事態宣言が出されている状況の中で,オリンピックができるとは思わないし,やってはいけない」FNN  IOCジョン・コーツ副会長「宣言下であってもなくても,答えはイエスだ」毎日新聞

 

五輪のリスク評価は?

青野由利

毎日新聞 2021/5/15 東京朝刊

土記 <do-ki>

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 「ライアンってば,日本の実情を知った上で言ってるの?」

 世界保健機関(WHO)の定例会見でおなじみのマイク・ライアンさんの言葉に,思わず突っ込みを入れたくなった.

 五輪開催の安全について聞かれ,「IOC(国際オリンピック委員会),東京都,日本政府は,最善のリスク管理について正しい判断を下すと信じている」と述べていたからだ.

 本当ならいいけど,実態は?

 

 菅義偉首相は,五輪開催と国民の命や暮らしの両立,中止や延期の判断について何度も聞かれている.でも,「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ,国民の命と健康を守っていく」という観念的な答えを繰り返すだけ.

 報道陣など選手以外に来日する数万人の行動の管理は現実的か,と問われても,「選手にはワクチンが提供される.選手や大会関係者と一般の国民が交わらないようにする.選手は毎日検査する」.

正面から答えない.

 何を聞かれても同じ答えなのは官僚が作ったメモを読んでいるから? とすれば,官僚も具体的な答えを持っていないのだろうか.

 

 世界がパンデミックの大波に翻弄(ほんろう)され,人の移動が制限されている今,海外から数万人を呼んで,感染拡大は抑えられるのか.

大会組織委員会,東京都,日本政府が連携し,開催の可否まで念頭に,詳細にリスク分析・評価しているはず,と思うのは当然だ.

 ところが,そうした専門家チームの存在は,見当たらない.

 先月末,組織委が感染防止策を助言する専門家の初会合を開いたが,これは五輪開催が前提.では,専門家集団の新型コロナ対策分科会は? こちらは政府から頼まれていない,ということらしい.

 

 会長の尾身茂さんは,今週の参院内閣委員会で,主催者の最終判断に必要なリスク評価として,次の3点を挙げた.

選手以外の大会関係者が会場外で行動することも含めた感染リスク,

会場の外の人流や接触機会が増えることによる感染リスク,

大会期間中の医療への負荷.

 ここから浮かぶのは,選手や会場内はともかく,それ以外も含めたリスク評価が不十分,ということだろう.だとすれば,政府は分科会に評価を依頼した方がいい.

 

 それにしても,「絶対に開催する」(コーツ副会長)とか,「開催されれば日本の世論も支持するはず」(アダムス広報部長)とか,IOC幹部のひとごとのような発言には,がっかりだ.

 自国での開催でもそんなふうに言える?

 

(専門編集委員

 

 

 

“緊急事態”での東京大会 政府専門家 開催に疑問

5/22(土) 7:46配信

フジテレビ系(FNN)

news.yahoo.co.jp

政府の分科会の舘田委員は,東京で緊急事態宣言が出ている状況では,東京オリンピックパラリンピックを開催できるとは思えないとの考えを示した.

 

分科会・舘田委員「東京で緊急事態宣言が出されている状況の中で,オリンピックができるとは思わないし,やってはいけない.ただ,ステージが下がってきて,3になり2になりという形がみられたときに,どういうふうなやり方,開催の仕方があるのか(検討する)」

 

また,舘田委員は,東京大会がどのような状況なら開催できるのか,感染を抑えるためにどういう対策が必要なのか,早々に判断しなければいけないとの考えを示した.

 

 

宣言下で東京五輪 できる?できない? 分かれる専門家とIOC

毎日新聞 5/21(金) 22:18配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/1683e9c888b0e48316abee30b47a8aa14935ad96

 緊急事態宣言下で東京オリンピックパラリンピックは開催できるか――.21日,開催の可否を巡り,感染症対策の専門家と国際オリンピック委員会IOC)の見解が分かれた.

 

 専門家らで構成する政府の基本的対処方針分科会の舘田一博東邦大教授は21日,報道陣に個人的な見解として「東京で緊急事態宣言が出されている状況で五輪ができるとは思わないし,やってはいけないというのがみんなのコンセンサス」と述べた.

 

 この発言についての見解を問われ,IOCのジョン・コーツ副会長は世界保健機関(WHO)からのアドバイスIOCが組織委とまとめた感染防止対策「プレーブック(規則集)」を挙げて,「感染対策を講じることで宣言下であってもなくても,答えはイエスだ」と反論し,開催は可能との認識を示した.

 大会組織委員会橋本聖子会長も「医学・科学の知見を結集して安全安心な大会を開催する.医療に支障をきたすと厳しいので徹底的に策を講じる」と訴えた.

【岩壁峻】

 

 

 

何ファースト? 「宣言下でも東京五輪」 強気発言で火に油のIOC

深掘り 岩壁峻 倉沢仁志 小林悠太 田原和宏 円谷美晶 松本晃

毎日新聞 2021/5/22 19:21(最終更新 5/22 20:19) 有料記事

mainichi.jp

 

 

「意地でも五輪,で成功するのか」 自民,地方の幹部も疑問の声

毎日新聞 2021/5/22 21:14(最終更新 5/22 22:03)

mainichi.jp

 

 

東京新聞2021年5月22日朝刊

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news.yahoo.co.jp

5/22(土) 22:36

デイリースポーツ

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は22日、国際ホッケー連盟のオンライン総会での声明で、7月23日に開幕する東京五輪について、予定通り開催されると宣言した。

「東京がようやく間近に迫った今、最後のカウントダウンが始まった。この困難な時期に、私たちはリカバリー、団結、多様性について、強いメッセージを送る必要があります。東京はトンネルの終わりに光を放つだろう」と主張し、「五輪の夢を実現するために誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない。アスリートは間違いなく彼らの五輪の夢を実現することができます」と、語った。