“「科学に耳を傾けまやかしをやめ,五輪は中止されなければならない」五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ.カネ,カネ,カネだ」” The New York Times By Jules Boykoff “日本政府は主権まで放棄したわけではない 「日本政府は損切りし,IOCには『略奪するつもりならよそでやれ』と言うべきだ」" ワシントン・ポスト by Sally Jenkins 英紙フィナンシャル・タイムズ「日本の政治家は五輪開催のリスクをとるのは『国民の責務』と説得できるのか」

東京五輪「中止する時がきた」米有力紙が相次ぎ掲載 かつての五輪選手も批判

東京新聞 TOKYO Web 2021年5月12日 20時17分

https://www.tokyo-np.co.jp/article_photo/list?article_id=103786&pid=333154

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 【ワシントン=金杉貴雄】東京五輪パラリンピックに関し,米有力紙で中止を求める評論が相次いでいる.

ニューヨーク・タイムズは11日,新型コロナウイルスの感染危機の中では大惨事となる恐れがあるとして「中止する時がきた」との寄稿を掲載した.(⇒1)

 寄稿したのは,五輪問題に詳しい米パシフィック大のジュールズ・ボイコフ教授(政治学).米五輪代表にもなった元プロサッカー選手.東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長(当時)が女性蔑視発言をした際はNBCテレビへの寄稿で辞任を求め,大きな影響を与えた.

 ボイコフ氏は「スポーツイベントはスーパースプレッダー(一大感染源)であってはならない」と題した今回の寄稿で,世界的な公衆衛生の危機の中では「科学に耳を傾けまやかしをやめ,五輪は中止されなければならない」と主張した.

 五輪がごり押しされるのは「主な理由は3つ.カネ,カネ,カネだ」と指摘.「そのカネのほとんどはアスリートではなく,大会を運営,放映,スポンサーする人々に流れこんでいる」と強調し,「五輪の主催者は,公衆衛生のために自らの利益を犠牲にするつもりはない」と批判した.

 日本ではワクチン接種が人口の2%未満で,60%の人が開催に反対しているとも指摘.「カネより重要なのは家族,友人,公衆衛生だ.大惨事となる恐れがある時,スポーツの見せ物は価値がない」と断じた.

 

 5日にはワシントン・ポスト紙がコラムで,国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長を,新型コロナ禍で開催国を食い物にする「ぼったくり男爵」と非難し日本に五輪中止を促した.(⇒2)

サンフランシスコ・クロニクル紙も3日,日本を含め世界でワクチン接種が進んでいない中で「五輪は開催されるべきではない」とのコラムを掲載した.

 

 

 「リスクを受け入れるのは,97%がワクチン未接種の国民」

英紙「日本の政治家は五輪開催のリスクをとるのは『国民の責務』と説得できるのか」

2021.5.11

Text by COURRiER Japon

https://courrier.jp/news/archives/244852/?utm_source=feature_ctc&utm_medium=textlink&utm_campaign=articleid_244435

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東京五輪の開催が迫るなか,各国のメディアからコロナ禍のなかでの五輪開催をめぐり批判的な意見が相次いでいる.

米紙「ワシントン・ポスト」がIOCのバッハ会長を“ボッタクリ男爵”と揶揄し,国際オリンピック委員会IOC)を糾弾した記事(該当記事の全訳)は日本でも大きな話題になった.(⇒2)

 

このたび,英国の経済紙「フィナンシャル・タイムズ」にも「五輪という大きなギャンブルを推し進める日本」「五輪敢行という政治的決断は,国民の意思とは相反する」と題された東京特派員レオ・ルイスによるオピニオン記事が掲載された.

 

悩むまでもなく「必要」?

 

記事を執筆したのは,同紙のアジア・ビジネス・エディターのレオ・ルイス記者.

記事は,日本政府が東京などを対象とする緊急事態宣言の期限を5月31日まで延長.これに伴い,市民は「不必要な」外出をしないように求められるといった内容で始まる.

 

だがここで筆者は「不必要な(unnecessary)」という言葉の定義を,昨年のパンデミック発生以来,日本政府は個人や民間の解釈に委ねてきたと指摘.そうしたなかで国民は,子供のピクニックや本屋に行くことが,厳密に「必要」なのかどうか悩まなければならなくなったと書く.だが一方,「政府は,馬術,サーフィン,卓球のトーナメントは『必要』な活動と定義することを,それほど困難とは感じていないようだ」とし,ここには特に3つの問題点がある,としている.

 

国民を説得できるのか?

 

筆者が指摘した問題点の1つ目は,日本はパンデミック下の五輪開催の必要性を主張することで,開催国としての役割は責務と宿命で定められている,という考え方に大きく寄りかかってしまっていること.

この点に関し,「見えない魔物に振り回された1年を経て,国民の熱意は下がった」とし,筆者はこう問いかける.

「日本のカリスマ的リーダーは,97%がワクチンを接種していない国民に,大会のリスクを受け入れるのは,IOCのような超国家的組織ではなく,国民の責務だと説得することができるだろうか?」

「また,何百人もの医師や看護師のスキルが一般市民ではなく,大会のために使われるのが最善だと説得できるだろうか?」

 

2つ目は五輪が終わっても長期にわたって,日本政府が信頼性を低下させる危険性があるということだ.

「日本の指導者たちは,どのように受け取られたかはさておき,水球棒高跳びよりも有権者を常に大事にしてきた,と納得させることに今後数ヵ月,数年を費やすリスクがある」としている.

 

そして何よりも「がっかりな」3つ目の問題点は,五輪を「必要」なイベントとして扱えば,「つまらない雑用」と化してしまうこと,だという.

 

いかめしい安全性への誓約,無観客となる可能性の高さ,世界有数のエキサイティングな都市を訪れる選手たちへの厳しい制限など,大会準備に関わる文言には「どのように楽しい大会になるのかという説明が一切含まれていないように感じられる」としている.

そして,開催するという決断は,国民に負担を強いることになるが「楽しい大会に」という姿勢が明確に示されなければ,その負担は「重すぎる」かもしれない,と記事を結んでいる.

 

「歴史に残る愚行」コメントも

 

このオピニオン記事に対し,同紙のウェブサイトには約40件のコメント(5月10日現在)が寄せられている.

なかには「非常に偏った記事.ギャンブルとはほど遠い」と,記事を批判するようなコメントもある.その理由として「日本人は性質的にも文化的にも,社会的距離やその他のルールを尊重するのに何の問題もない.最悪のケースでは,一時的に患者数は増えるだろうが,集中治療室(ICU)での治療や死亡には至らないだろう.このイベントの象徴的な重要性を考えれば,支払う価値のある代償」などと記されている.

 

だが大多数のコメントが,「日本政府の意向通りに行われるかどうかにかかわらず,将来的に,この五輪は,歴史に残る愚行となるだろう.それを防ぐために日本国民が行動することを望む」と,五輪の強行開催について疑問を呈する内容だ.

「日本政府が五輪を開催しようと考えていること自体が信じられない.そうだとしたら,強欲なIOCに匹敵するほどの大いなる無責任」という厳しい意見もあった.

クーリエ・ジャポンでも紹介した米紙「ワシントン・ポスト」の東京オリンピックの開催について,日本政府に中止を促す記事を「その理路整然とした論調でメディアに取り上げられ,注目を集めた」として紹介しながら「国際社会からも反対の声が上がっている今,開催を中止するしかない」とするコメントもあった.

 

 

東京五輪】「強行はオリンピック精神への裏切り」感染症の世界的権威が開催反対を表明

5/2(日) 20:30配信

東スポWeb

https://news.yahoo.co.jp/articles/842fad31c8af830595d19d5e9a430a2e1ed6be2c

 

 感染症の世界的権威が新型コロナ禍での東京五輪開催に反対を表明した.

 ニュージーランドの大手メディア「スタッフ」は,感染症スペシャリストとして有名なオタゴ大学のマイケル・ベイカー公衆衛生学教授が東京五輪の中止を勧告したと報じた.(⇒3)

 

 ベイカー教授はまず新型コロナ禍での開催による危険性を指摘.世界中から選手や関係者が集まるため「私たちはここで何が危機にひんしているのかを認識すべきだ.ニュージーランド政府が確固たる方針を取ることを本当に望む.誰かがこれだけ明白なことをはっきり言う必要がある」と感染症を専門とする立場から東京五輪の中止または再延期を切実に訴えた.

 

 そして開催を強行すれば「オリンピック精神への裏切り」と厳しく断じる.「高所得国はアスリートに高い安全性を保証することができるかもしれないが,低所得国のアスリートが参加する場合はどうか.特に予防接種を受ける場合,それはぜい弱な人々からワクチンを奪うことを意味する」と国の状況によって五輪への準備に大きな格差ができてしまうと指摘.

 

「五輪はグローバルな一体感とフェアプレー精神によって祝福されることを目的としている.低所得国はパンデミックによって荒廃している.そこにフェアプレー精神はない」と糾弾した.

 

 そして,もはや公平性のない東京五輪に参加しようとしている自国に向けて「ニュージーランドオリンピック委員会は道徳的な羅針盤を完全に失ったのか.このような状況で五輪開催を支持する彼らは,どうやって国民に顔向けするのか.それは完全に間違ったことだ.私には正当化すべき理由がまったく分からない.絶対にばかげている」と猛批判を展開.多くの人々の生命を危険にさらす東京五輪の暴走をなんとか食い止めようと悲痛な叫びを上げている.

 

 ついに感染症の世界的権威からも開催反対の声が上がった東京五輪組織委員会や東京都は,世論と同様に専門家からの忠告も無視し続けるのだろうか.

 

 

⇒1

https://www.nytimes.com/2021/05/11/opinion/cancel-olympics.html

A Sports Event Shouldn’t Be a Superspreader. Cancel the Olympics.
The New York Times  May 11, 2021
By Jules Boykoff

(冒頭部分 和訳 by DeepL)

スポーツイベントは,スーパー・スプレッダーであってはなりません.オリンピックの中止を.

2021年5月11日

ジュール・ボイコフ

(ボイコフ氏は,オリンピックを研究する政治学者.著書に "Power Games: "A Political History of the Olympics ")

 

東京オリンピックが大変なことになっています.国民の約60%が今夏の開催に反対し,国民の2%未満しか,新型コロナウイルスの予防接種を受けていない日本では,1年延期されて7月に開催予定のオリンピックが政治的な火種となっています.

 

国際オリンピック委員会,地元のオリンピック組織委員会,日本の与党は,パンデミックの状況下でも大会を開催しなければならないと主張しています.1月に日本で新型コロナウイルスの感染者が急増した際,国際オリンピック委員会トーマス・バッハ会長は,「東京オリンピックが7月23日に開催されないと信じる理由は何もない」と述べました.さらに,「プランBはありません」とも述べました.

 

多くの観客にとって,オリンピックの最大の魅力は,世界中から様々なスポーツの選手が集まり,一堂に会して競い合うという,他に類のない非日常性にあります.しかし,世界的な公衆衛生上の危機の際には,これが致命的な結果をもたらす可能性があります.

 

科学に耳を傾け,この危険な茶番劇を止める時が来ました.

東京オリンピックは中止しなければなりません.

でも,オリンピックの蒸気機関車はどんどん進んでいます.主な理由は3つあります.お金,お金,お金.そして,はっきりさせておきたいのは,そのお金のほとんどは,アスリートではなく,大会を管理,放送,スポンサーする人たちに流れているということです.

I.O.C.は約10億ドルの準備金を保有していると言われていますが,夏季大会はI.O.C.の重要な資金源であり,コロナウイルスでさえもオリンピックの権力者たちを説得してそれを閉じさせようとはしていません.オリンピック主催者は公衆衛生のために自分たちの利益を犠牲にすることを望んでいないのです.

(以下略)

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました.

 

⇒2

courrier.jp

2021.5.7

日本政府は主権まで放棄したわけではない

米紙「日本政府は損切りし,IOCには『略奪するつもりならよそでやれ』と言うべきだ」

ワシントン・ポスト(米国)

Text by Sally Jenkins

 

米有力紙「ワシントン・ポスト」が東京オリンピックの開催について,日本政府に中止を促す記事を掲載した.執筆したのはサリー・ジェンキンス.スポーツジャーナリストとして数々の賞を受賞するなど,スポーツを愛する書き手の一人だ.

すでに記事の内容の一部は「ぼったくり男爵」というキャッチーな肩書きとともに日本でも報じられているが,世界に向けて発信された記事の全訳をここに掲載する.

クーリエ・ジャポンワシントン・ポストと契約を交わしており,同紙の記事を頻繁に掲載しています.過去の一覧はこちら

 

国際オリンピック委員会IOC)のフォン・ボッタクリ男爵と金ぴかイカサマ師たちの間では,いつの間にやら,日本を自分たちの足置き台として使おうということで決まっていたようだ.

 

だが,日本は五輪開催に同意したとき,主権まで放棄したわけではない.東京での夏季五輪開催が国益を脅かすのなら,日本の指導者たちはIOCに対し,略奪はよその公国へ行ってしてくれと言うべきである.

 

中止はつらい.だが,それが弊風を正すことにもなるのである.

 

フォン・ボッタクリ男爵,別名トーマス・バッハIOC会長とそのお供の者たちには悪癖がある.それは自分たちをもてなすホストに大散財をさせることだ.まるで王族が地方にお出ましになったとき,そこの小麦が食べ尽くされ,あとに残るのが刈り株だけになるときのような話だ.

 

日本国民の72%が,このパンデミックの真っ只中に国外から1万5000人のアスリートや五輪関係者をもてなすのは嫌であり,乗り気になれないと言っているのだ.それなのに五輪マスト・ゴー・オンと横柄に言い張れるIOCの神経はいったいどうなっているのか.

 

その答えは,IOCの権力の源泉であるオリンピックの開催都市契約にある.これはIOCがいかに高圧的な組織であり,なぜ五輪開催都市が深刻な負債を抱えることになるのかを明らかにする文書である.

 

そこでは「医療サービス」に7ページが割かれており,開催国は五輪関係者として資格認定を受けた人全員に対し,「無料」で医療を提供しなければならないとされている.現地の病院に五輪関係者専用の病室を用意することもそこには含まれる.東京の組織委員会によれば,IOCの要求に応じるために約1万人の医療スタッフを振り向けなければならないという.

 

先週は8人の聖火リレー関係者の新型コロナウイルス感染が判明した.全員マスクを着用していたという.日本国内のワクチン接種率は2%に達していない.日本医療労働組合連合会医労連)書記長の森田進が,医療資源が大きく目減りする見通しに憤慨したのも無理はない.

 

森田は談話でこう述べている.

「患者と看護師のいのちや健康を犠牲にしてまでオリンピック開催に固執しなければならないのかと,強い憤りを感じる」

 

もし日本が大会中止を決定したら

日本の指導者たちがすべきなのは損切り,しかもいますぐの損切りである.

 

(以下略)

続きは⇒https://courrier.jp/news/archives/244435/

「東京五輪は中止すべき」と提言した米紙にコメント続々 1200件以上寄せられた声の中身 | クーリエ・ジャポン

 

⇒3

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