自宅療養の真意 斎藤美奈子
東京新聞 2021年8月4日 本音のコラム
撤退を転進,全滅を玉砕といいかえて,国民の目をあざむいたこの国の過去を思い出す.
政府は二日,新型コロナウイルス感染症の診断方針を転換すると発表した.
「重症患者や重症リスクの高い方以外は,自宅療養を基本とし,症状が悪くなれば入院できる体制を整備する」
なんてこったい.
アメリカで内科医をしている安川康介さんは,ツイッターで中等症とは
「肺炎が広がり,多くの人にとって人生でいちばん苦しい状態,重症は「助からないかもしれない」状態と説明している.(*)
また,政府が方針転換したのは医療崩壊寸前だからだし,自宅療養は事実上の放置に近い.
以上を勘案すると,先の発表はつぎのように変換できる.
「危篤に近い状態にある方以外は,死ぬほど苦しくなっても自宅放置.症状が悪くなっても入院できるとは限りません」
いわば政府のお手上げ宣言.国民の命は守れないと公言したに等しい.
三日各紙も一面トップで伝えている.
読売新聞は発表通り「『入院重症者ら限定』に転換」.
東京新聞は踏み込んで「中等症も自宅療養」.(**)
毎日新聞「入院患者以外は原則自宅」は意味不明.当たり前ですよね.それ.
しかしながら,産経新聞の一面トップは五輪ネタで「村上『銅』,朝日新聞は「高齢者2回接種75%」だった.
両紙は新聞と名乗るの,もうやめれば?
文芸評論家
2021.8.4
(*)
https://twitter.com/kosuke_yasukawa/status/1417233749079732227
(**)
新型コロナ禍の記事で、一面が埋まっています。
— 東京新聞ノコト@チョウカンヌから移行 (@choukanne) 2021年8月3日
「中等症も自宅療養」
「都内自宅療養 1万2000人」
「都協力金先払い 申請低調」
人々の命と暮らしを守るために、一面で伝えなければならない記事を選択した結果です。#新型コロナ#中等症 #自宅療養 #協力金 pic.twitter.com/uSbWy6IZbt
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「政府は、五輪と感染拡大防止を同時にやろうとして収拾がつかなくなり、ケツをまくって逃げた」
— Choose Life Project (@ChooselifePj) 2021年8月3日
政府は昨日、これまで原則入院としていた中等症患者の一部について、自宅療養にする事を決めました。多くの患者が治療を受ける機会を失いかねない中、コロナ治療にあたってきた倉持仁医師は#Tokyo2020 pic.twitter.com/Om56ND1j41
これ事実上の棄民政策では……。https://t.co/OyehsPDsYp pic.twitter.com/vM9DOi41dR
— 津田大介 (@tsuda) 2021年8月2日
ひとりごと:「なんでこんな状態になってるんだ。ワクチン4割で下がるんじゃないのか」となじったそうですが封建的な体制を敷いていてマトモなInputを得ないからですよ。
— Hiroshi Nishiura (@nishiurah) 2021年8月4日