1. 在宅療養基本に体制整備!?  「新型コロナに感染した“軽症者”は入院できなくなった」ことを,政府用語ではこのように表現するらしいのです. 何というまやかし.「“重症患者やリスク高い人以外 自宅療養基本に体制整備” 首相」(NHK) 宅療養基本に体制整備!?   2. 「ワクチンでは感染拡大は抑えられない」(意訳) 「イスラエル 3回目のワクチン接種実施へ 感染再拡大で」(NHK) 

テレビはNHKも民放もオリンピック中継一色.

ニュース番組の時間も削り,しかもニュース番組の中でもオリンピックが主役.

 

そんな中,二つの気になるニュースが報道されました.

一つ目はツイッターなどでは大きく取り上げられているようですが,二つ目はそれほどでもありません.一つ目に劣らず重要なニュースだと思いますが---.

そして,問題なのは,どちらの報道も内容をぼやかしたり重要な点から目をそらせたりする伝え方がなされている点.

視聴者をむやみに脅かすことは避けなくてはなりませんが,ニュースの本質はしっかり伝えてもらう必要があります.

 

1. 「医療崩壊がはじまった」(意訳) 

「“重症患者やリスク高い人以外 自宅療養基本に体制整備” 首相」(NHK)*

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210802/k10013176831000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001

この標題を見れば,一瞬,より良い診療態勢に移行したようにも思ってしまいますが----

在宅療養基本に「体制整備」!? 

「新型コロナに感染した“軽症者”は入院できなくなった」ことを,政府用語ではこのように表現するらしいのです.

何というまやかし.

せめて,医療崩壊同然の有様となったことへのお詫びの言葉ぐらい添えられていてもいいように思います.

なお,首相は「重症化リスクを7割減らす画期的な治療薬」についてもふれたようですが,現場の医師は,現在の逼迫した診療体制下では,この抗体カクテル療法はほとんど役に立たないと証言しています.

https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/saitama-med-covid-19-3

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/07/31/235213

この発言もまやかしに限りなく近いように思います.

 

そして,さらに問題なのは,この首相発表を解説抜きにそのままながすテレビ局.

どこかの大新聞の社説に「緊急事態拡大 緩みは五輪のせいではない」とありましたが,オリンピックを擁護するなら,せめて次のように書き換えてもらいたいものです.

「緊急事態拡大 緩みは五輪のせいではない.マスコミ報道のせい」

 

2. 「ワクチンでは感染拡大は抑えられない」(意訳)

イスラエル 3回目のワクチン接種実施へ 感染再拡大で」(NHK)**

f:id:yachikusakusaki:20210803002237j:plain

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210730/k10013169361000.html

 

3回目のワクチンが必要かどうかもそれなりの話題ですから,一番目のニュースほどひどい内容というわけではありません.

 

しかし,首相官邸は「ワクチン接種の加速」で現在の日本の感染爆発を乗り切れると考えている(考えていた?)ようで,首相会見でもそのような発言がありました.

現時点の報道としては,イスラエルの感染拡大を,現在の日本に引きつけ,「一旦感染が拡大すればワクチンでは抑えられない」ことに重点を置き,感染抑制は国民の行動変容にかかっていることを強調する内容とすべきではなかったでしょうか?

 

“重症患者やリスク高い人以外 自宅療養基本に体制整備” 首相

NHK NEWS WEB  2021年8月2日 19時06分 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210802/k10013176831000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001

新型コロナウイルスの医療提供体制をめぐり,菅総理大臣は,関係閣僚会議で,重症患者や重症化リスクの高い人には,必要な病床を確保するとともに,それ以外の人は,自宅療養を基本とし,症状が悪化すれば,すぐに入院できる体制を整備する考えを示しました.

 

2日夕方,総理大臣官邸で開かれた関係閣僚会議で,菅総理大臣は,感染者が症状に応じて必要な医療を受けられるよう,方針を取りまとめたと明らかにしました.

 

そのうえで,重症患者や重症化リスクの特に高い人には,確実に入院してもらうよう,必要な病床を確保するとともに,それ以外の人は,自宅での療養を基本とし,症状が悪化すれば,すぐに入院できる体制を整備する考えを示しました.

 

また,血液中の酸素飽和度を測る「パルスオキシメーター」を配付し,地域の診療所が往診などで丁寧に状況を把握できるよう診療報酬を拡充するほか,家庭内感染のおそれがある人などには健康管理体制を強化したホテルを活用すると説明しました.

 

さらに「重症化リスクを7割減らす画期的な治療薬について,50代以上や基礎疾患のある方に積極的に投与し,在宅患者も含めた取り組みを進める」と述べました.

 

そして,菅総理大臣は,3日にも,医師会や病院関係者に協力を要請するとして「感染者数が急増する中で,医療提供体制を機能させることが最大の課題であり,自治体と連携しながら,政府として全力を尽くす」と強調しました.

 

また,国民に対し「改めて,不要不急の外出や大人数での飲食を控えていただき,感染防止に協力をお願いしたい」と呼びかけました.

 

 

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イスラエル 3回目のワクチン接種実施へ 感染再拡大で

NHK NEWS WEB  2021年7月30日 14時06分 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210730/k10013169361000.html

中東のイスラエルではインドで確認された変異ウイルスの影響で新型コロナウイルスの感染者が再び増加し,高齢者が重症化するケースも目立っています.このためイスラエル政府は2回のワクチン接種を終えている60歳以上の人に対し,来月から3回目の接種を行うことを決めました.

イスラエルでは16歳以上の8割以上が2回の接種を終えていますが,先月下旬以降インドで確認された変異ウイルス「デルタ株」による感染が広がって1日の新規感染者が2000人を超え,ワクチン接種を終えた高齢者が重症化するケースも目立っています.

こうした事態を受けイスラエル政府は29日,専門家の意見を踏まえファイザーのワクチンを2回接種をした60歳以上の人に対し,来月1日から3回目の接種を行うことを決めました.

記者会見したベネット首相は「2回目の接種をしてから5か月以上たった人が対象になる」と明らかにしました.

イスラエルでは先月中旬までは新規感染者が1桁となる日もあり規制の緩和が進んでいましたが,感染の拡大を受けて政府は屋内でのマスクの着用を再び義務づけたほか,水際対策も強化するなど危機感を強めています.

ワクチン接種をめぐってはイギリス政府も70歳以上の高齢者や医療従事者など感染のリスクが高い人を対象に,ことし9月から3回目の接種を始める計画を明らかにしています.

 

加藤官房長官「3回目の接種の必要性 よく検討する必要ある」

以下略