ウェブ上のニュースで,「新規感染者は日本が世界最多」を報じています. 7月22日にトップに躍り出て以来,2位との差は開くばかり.「総数」ばかりか,人口当たりの新規感染者数も,主要国ではトップになろうとする勢い.感染者数を抑えるという方向で国・都道府県が動く気配は全くなし.「これから先、今までで一番最悪の被害を生むかもしれないという心配を持っています」「デンマーク国立血清学研究所の論文では、BA.5の入院リスクは、ワクチン3回接種済みの場合、BA.2と比べて1.78倍に」岡秀昭教授

ウェブ上のNHKニュースその他で,「新規感染者は日本が世界最多」を報じています(資料1)

WHOの報告を受けたものを,そのまま記事にしたもの.

 

しかし,先ほど確認した「NHKニュースワオッチ9」「テレビ朝日 報道ステーション」では,「世界最多」のニュースは取りあげられませんでした.

何故?大したニュースではないと思ったから?

私が何人かの知り合いに伝えたところ,皆びっくりしていましたが---

 

そもそも,世界最多になったことは,遅くとも月曜日には確認できていたはずです.私が気がついたぐらいですから.

yachikusakusaki.hatenablog.com

 

今日のデータも改めて出しておきます.

 

何日に世界一になったのかを確かめたところ,7月22日にトップに躍り出たようです.

そして2位との差は開くばかり.暫くは日本の独壇場になる気配ですね.

他の国々がピークを打った感のある中,日本・韓国は急速に感染者数を増加させています.

 

そして,人口が大きく関係する「総数」ばかりか,人口当たりの新規感染者数も,名前をよく聞く国々の中ではトップになろうとする勢いです.

世界で最も感染リスクが高い国の称号も手に入れそうです.

 

このような局面であるにもかかわらず----

 

国はもとより,感染対策の前面に立っているはずの都道府県知事には,感染者数を抑えるという方向で動く気配が全く見えません.(資料2)

全国知事会議での発言」:

「自分で検査して自宅療養で病院負担を減らす」「そのための検査キットが足りない」(診察拒否/不能=既に医療崩壊を認めている!?「自分で検査して自宅療養」できる人は何割いるでしょうか?初めての経験なのに!)

感染症法2類を5類に変更,すれば,保健所/病院負担が減る.経済活動が止まらない」⇒意味が分かりません.そもそも、感染爆発下で論じる事項ではないでしょう.医療崩壊しそうなことに対する知事さんの言い訳でしょうか?)

「感染者の『全数把握』は見直しの必要がある。負担を軽減するため『定点把握』に移行すべきだ」(=感染者を数えない??????⇒そうすれば世界一がバレない??? 「コロナ隠し」にしかならないでしょう.善意に解釈すれば「一定の合理性」は認められるものの,実数を知らされ続けてきた多くの国民には意味が理解できず,どれだけ感染しているか分からなくなって不安と混乱を招くだけでしょう.過去との比較もできなくなるし,基礎データの軽視は禍根を残すこと確実)

「国産飲み薬?」(今要請すべきことでしょうか???それに国産ができたら死亡者を抑えることができるのでしょうか?ファイザーのかなりよくできた薬があるのに.バイデンさんも飲みました)

「高齢者の外出を控えてください」(感染して重症化するのは活動的な高齢者のせい??大阪府は今度こそ高齢者施設のクラスターを起こさないのでしょうね)

 

大まかに言って,以上の全国知事会の意見は「自助」と「役所・病院の負担を減らせ」といっているだけで「感染を減らせ」とは全く言っていないことがお分かりかと思います.

また,一定の自助は必要でしょうが,医療へのアクセスを拒否してはいけません.役所・病院の負担を減らすことは大切ですが,なすべき仕事を止めて感染実態を隠蔽することに結びつく提言ばかりのようにも思います

 

口先では高齢者・基礎疾患を有する人の死亡を抑えると言っていますが---

ここまで増えてしまった感染者数を減らさないで,重症者・死亡者を減らすことができると,本当に思っているのでしょうか?

高齢者・基礎疾患を有する人は,経済活動の活性化のために犠牲になってくれと言っているように聞こえます.

そのような社会的な要請があるせいでしょうか.既に高齢者は人工呼吸器の治療を望まなくなっています(=望まないような圧力下にある?)(資料3)

 

先のブログで書いたことをくり返します.

現状を見ると,遅ればせながらですが「行動制限」=緊急事態宣言発令等に踏み切っても良いのでは?

国民の過半数は支持するでしょう.

それができないならば,「接触機会を減らす」ことの重要性をもっと強くアナウンスすべきでは.感染リスクの高い「夏祭り」どうする? これまでにない感染拡大で何が起き得るのか?   2年半の新型コロナ対策で痛感した政治の力 「科学が政治に曲げられない社会を」

何もしないで,学校の夏休みによるクラスター減だけを当てにした現状(資料4)のように見えますが,子どもたちは部活・キャンプ等で大忙しですよ.

 

 

埼玉医科大学総合医療センター感染症専門医・岡秀昭教授(資料3)

高齢者の特徴は、高齢者施設でクラスターが起きていて、一度に複数の患者が運ばれてくることです。

これは今、方々でクラスターが起きていることの現れではないかと思います。

これから先、今までで一番最悪の被害を生むかもしれないという心配を持っています。

 

ここ数日の間に複数の論文が発表されました。

デンマーク国立血清学研究所の論文では、BA.5の入院リスクは、ワクチン3回接種済みの場合、BA.2と比べて1.78倍になると。( Hansen et al   https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4165630 )

BA.5はBA.2に比べて、感染力が強くなっているだけではなく、重症化しやすい恐れがあります。

 

 

(資料1)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220728/k10013739871000.html

www3.nhk.or.jpWHO “新規感染者は日本が世界最多” 1週間当たり約97万人

2022年7月28日 19時02分 新型コロナ 国内感染者数

WHO=世界保健機関は27日、新型コロナウイルスの新規感染者数の報告書を発表しました。今月24日までの1週間当たりの新規感染者数は日本が、およそ97万人と世界で最も多くなっています。(以下略)

 

 

(資料2)

全国知事会議 “コロナ 感染症法上扱い見直し含め対策転換を” | NHK | 新型コロナウイルス

全国知事会議 “コロナ 感染症法上扱い見直し含め対策転換を”

2022年7月28日 16時15分 新型コロナウイルス

全国知事会議が、28日から奈良市で、3年ぶりに対面形式で始まりました。新型コロナの感染が急拡大する中、社会経済活動を維持するため、新型コロナの感染症法上の扱いを季節性のインフルエンザと同じ扱いに見直すことも含め、これまでの対策を転換すべきだという意見が相次ぎました。

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神奈川県の黒岩知事は「いつまでも『2類相当』では実態と合わず、社会経済活動が止まってしまう」と、季節性のインフルエンザと同じ「5類」に見直すべきだと訴えました。

また、北海道の鈴木知事が「オミクロン株は99%が軽症であることを踏まえ、議論を進めていく事が重要だ」と指摘したほか、千葉県の熊谷知事も「感染者の『全数把握』は見直しの必要がある。負担を軽減するため『定点把握』に移行すべきだ」と述べました。

一方、東京都の小池知事は「入院者数が増加する中、4回目のワクチン接種の対象拡大や国産の飲み薬の後押しをお願いしたい」と述べました。

そして、全国知事会として、ワクチンの3回目や4回目接種の促進を図ることや、検査キットの安定的な供給、それに新型コロナの感染症法上の取り扱いについて検討することなどを国に求める緊急提言をまとめました。

-----後略

 

 

(資料3)

テレ朝ニュース

「“BA.5は重症者少ない”期待は裏切られ…」20万人感染…現場医師に医療の現状を聞く

コロナ患者の治療にあたっている埼玉医科大学総合医療センター感染症専門医・岡秀昭教授に聞きます。

----中略

(Q.入院する患者の特徴はありますか?)

私どもの所は大学病院で、重症化リスクのある方を中心に依頼されます。そのため、おおよそ半数は80〜90代の高齢者になります。

高齢者の特徴は、高齢者施設でクラスターが起きていて、一度に複数の患者が運ばれてくることです。

これは今、方々でクラスターが起きていることの現れではないかと思います。

ただ、高齢者ばかりではありません。むしろ重症になる方は、30〜50代が多いです。

なぜかというと、積極的に人工呼吸器などの治療を希望される方が多いからです。

今いる4人の重症者はいずれも30〜50代で、基礎疾患があることが多いですが、残念ながらワクチン接種を1回も受けていなかったり、2回までの接種にとどまっている方が多いです。

 

ワクチンを打っていない方は、オミクロン株といえども、両方の肺が真っ白になる重症の肺炎を起こし得ます。

しっかりワクチンを打っている方は、重症化しても従来のパターンではなく、誤嚥性肺炎を起こしたり、脱水症や食事が取れなくなる、全身の衰弱のような形になります。

ワクチンを打っていない場合は、重い肺炎を起こすことに注意が必要だと思います。

 

(Q.2週間前に出演していただいた際に『重症化予防効果があるワクチンが広く打たれ、治療薬も投与している。“重症者が増えない”淡い期待をしている。ただ、感染者数が増えれば持ちこたえられない可能性も』と話していました。淡い期待は裏切られている状況ですか?)

現実としては裏切られている可能性が高くなってきました。

何よりもこれから先、今までで一番最悪の被害を生むかもしれないという心配を持っています。

BA.5は、感染力が強くなることは2週間前にも分かっていましたが、入院リスクについてはよく分かっていませんでした。

入院リスク、つまり重症化リスクが高くなるのであれば、大変なことになると心配していました。

 

ここ数日の間に複数の論文が発表されました。

デンマーク国立血清学研究所の論文では、BA.5の入院リスクは、ワクチン3回接種済みの場合、BA.2と比べて1.78倍になると。

ポルトガルからも、死亡率が上がるのではないかという報告が出ています。

BA.5はBA.2に比べて、感染力が強くなっているだけではなく、重症化しやすい恐れがあります。

今後、次第に重症者が増え、医療がひっ迫し、最後には亡くなる方も増えるのではないかと心配しています。

 

(資料4)

高齢者福祉施設でのクラスターが頻発しています.オミクロンに変わって以来,学校でのクラスター発生も多く報告されていて,夏休みに入り減少することが期待されているとの報道(テレビ朝日報道ステーション)がありました.

 

https://covid19.mhlw.go.jp/