送ってもらったノブドウの写真.
この写真から,とりとめもない話でつなぐ今回の一連のブログ.
今日は,第一回目に取り上げた虫こぶ(虫えい)の続きです.
ノブドウ〜虫こぶの話題2
(私が十分理解できていない少し専門的な内容や,ノブドウとはかなり離れた虫こぶについても触れながら,二回に分けて話題を進める予定)
虫こぶは,昆虫や野草を愛する方々の間では,とても興味深い観察対象となっていることが,ネット上の話題からも分かります.
「虫えい同好会」というサイトも立ち上げられ,観察記録やQ&Aが掲載されていることを発見.
http://gallersclub.coo.net/home/home-rd.html
私が前二回で取り上げた疑問も,このサイトに投稿すれば専門家の方の回答が得られたでしょう.
そしてこのサイトのトップページに掲載されている画像は,なんとノブドウの虫えい:ノブドウミフクレフシ!
ノブドウの虫えいは他に比べて,圧倒的に美しいといえるのでしょうね.
この掲示板や,他の図鑑的なサイトの虫こぶをみて,そう思います.
ノブドウミタマバエの不思議な生態
この,ノブドウに虫こぶを作るこのタマバエ.かなり不思議な生態を見せるようです.
以下,
徳田 誠 農業および園芸 88(6), 635-646, 2013-06
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010852417.pdf
からの引用です.
ハコネウツギメタマフシ
ノブドウミタマバエによりタニウツギやハコネウツギ,ツクシヤブウツギなどタニウツギ属植物(スイカズラ科/タニウツギ科)の芽に形成される芽キャベツのような形状の虫えいである.
本種は季節によって異なる植物を利用することが知られており,タニウツギ属には秋に成虫がやってきて産卵する.虫えいは翌年の5月頃から急速に成長し,7月頃に成虫が羽化する.
羽化した成虫はノブドウ(ブドウ科)の実に産卵し,次世代はノブドウに虫えい(ノブドウミフクレフシ)を形成する.本州以南ではノブドウ上で数世代を繰り返し,秋にタニウツギ属に戻ってくる.
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010852417.pdf
役に立つ虫こぶ
虫こぶは,当然,植物にとっては迷惑至極.
とはいえ,そこは人間の知恵で,「役立つもの」を取り出している.
多くのサイトで,ほぼ必ず役に立つ虫こぶの例として紹介されているのが,没食子・五倍子.
没食子・五倍子
株式会社平凡社世界大百科事典 第2版 等より
没食子(もっしょくし)とは - コトバンク 五倍子(ゴバイシ)とは - コトバンク 坂本貴史のおもしろ大辞典 五倍子(ゴバイシ、ごばいし):漢方薬、生薬の通信販売
インクタマバチ(Cynips gallaetinctoriae)の幼虫はナラ類の小枝に直径15~20mm,ほぼ球形の虫こぶをつくる.
この虫こぶは没食子(ぼつしよくし∥もつしよくし)と呼ばれ,とくにQuercus lusitanica var.infectoriaというナラにつくられた虫こぶは,タンニンを70%近くも含んでいる.このため古くから,イラン,トルコ,ギリシアなどからヨーロッパに輸出され,インク(没食子酸インク⇒⇒ブルーブラック)の製造,染色,皮なめしに用いられてきた.
また,ヌルデ属植物に作るアブラムシ類の虫こぶは五倍子と呼ばれ,やはりタンニンの原料となる.この5倍子の日本での別名「木附子」であり,生薬として,さらには,お歯黒(タンニン酸第二鉄塩)の原料として用いられた.
樹木・果樹に被害をもたらす虫こぶをつくる昆虫
クリタマバチ https://www.agries-nagano.jp/pest/228.html
リンゴワタムシ http://www.fmc-japan.com/Portals/FMCJapan/library%20PDF/fruittrees_pests.pdf
マツバノタマバエ https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk09/documents/000041335.pdf
ブドウミタマバエ http://fppa.sakura.ne.jp/pdf/20170915_GrapevineFruit%27sFly.pdf
(それぞれの簡単な説明は明日のブログで)