ノブドウ3  (虫こぶの話題2) ノブドウの虫こぶは他に比べて,圧倒的に美しいといえるのでは?虫こぶ同好会のトップページもノブドウです.この虫こぶをつくるノブドウミタマバエは不思議な生態を持つことが知られています./ 虫こぶは植物には迷惑ですが,これを利用してしまうのも人間.没食子・五倍子がよく知られています.もちろん作物に甚大な被害をもたらす虫こぶも.

送ってもらったノブドウの写真.

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この写真から,とりとめもない話でつなぐ今回の一連のブログ.

今日は,第一回目に取り上げた虫こぶ(虫えい)の続きです.

 

ノブドウ〜虫こぶの話題2

(私が十分理解できていない少し専門的な内容や,ノブドウとはかなり離れた虫こぶについても触れながら,二回に分けて話題を進める予定)

 

虫こぶは,昆虫や野草を愛する方々の間では,とても興味深い観察対象となっていることが,ネット上の話題からも分かります.

「虫えい同好会」というサイトも立ち上げられ,観察記録やQ&Aが掲載されていることを発見.

http://gallersclub.coo.net/home/home-rd.html

私が前二回で取り上げた疑問も,このサイトに投稿すれば専門家の方の回答が得られたでしょう.

そしてこのサイトのトップページに掲載されている画像は,なんとノブドウの虫えい:ノブドウミフクレフシ!

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虫えい同好会

ノブドウの虫えいは他に比べて,圧倒的に美しいといえるのでしょうね.

この掲示板や,他の図鑑的なサイトの虫こぶをみて,そう思います.

虫こぶ図鑑 樹木図鑑 虫こぶ

 

ノブドウミタマバエの不思議な生態

この,ノブドウに虫こぶを作るこのタマバエ.かなり不思議な生態を見せるようです.

以下,

徳田 誠 農業および園芸 88(6), 635-646, 2013-06

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010852417.pdf

からの引用です.

ハコネウツギメタマフシ 

ノブドウミタマバエによりタニウツギハコネウツギ,ツクシヤブウツギなどタニウツギ属植物(スイカズラ科/タニウツギ科)の芽に形成される芽キャベツのような形状の虫えいである.

本種は季節によって異なる植物を利用することが知られており,タニウツギ属には秋に成虫がやってきて産卵する.虫えいは翌年の5月頃から急速に成長し,7月頃に成虫が羽化する.

羽化した成虫はノブドウ(ブドウ科)の実に産卵し,次世代はノブドウに虫えい(ノブドウミフクレフシ)を形成する.本州以南ではノブドウ上で数世代を繰り返し,秋にタニウツギ属に戻ってくる.

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010852417.pdf

 

役に立つ虫こぶ

虫こぶは,当然,植物にとっては迷惑至極.

とはいえ,そこは人間の知恵で,「役立つもの」を取り出している.

多くのサイトで,ほぼ必ず役に立つ虫こぶの例として紹介されているのが,没食子・五倍子.

没食子・五倍子

株式会社平凡社世界大百科事典 第2版 等より

没食子(もっしょくし)とは - コトバンク  五倍子(ゴバイシ)とは - コトバンク 坂本貴史のおもしろ大辞典 五倍子(ゴバイシ、ごばいし):漢方薬、生薬の通信販売

インクタマバチ(Cynips gallaetinctoriae)の幼虫はナラ類の小枝に直径15~20mm,ほぼ球形の虫こぶをつくる.

この虫こぶは没食子(ぼつしよくし∥もつしよくし)と呼ばれ,とくにQuercus lusitanica var.infectoriaというナラにつくられた虫こぶは,タンニンを70%近くも含んでいる.このため古くから,イラン,トルコ,ギリシアなどからヨーロッパに輸出され,インク(没食子酸インク⇒⇒ブルーブラック)の製造,染色,皮なめしに用いられてきた.

また,ヌルデ属植物に作るアブラムシ類の虫こぶは五倍子と呼ばれ,やはりタンニンの原料となる.この5倍子の日本での別名「木附子」であり,生薬として,さらには,お歯黒(タンニン酸第二鉄塩)の原料として用いられた.

 

樹木・果樹に被害をもたらす虫こぶをつくる昆虫

クリタマバチ https://www.agries-nagano.jp/pest/228.html

 

リンゴワタムシ http://www.fmc-japan.com/Portals/FMCJapan/library%20PDF/fruittrees_pests.pdf

 

マツバノタマバエ https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk09/documents/000041335.pdf

 

ブドウミタマバエ http://fppa.sakura.ne.jp/pdf/20170915_GrapevineFruit%27sFly.pdf

(それぞれの簡単な説明は明日のブログで)