ポインセチア等トウダイグサ属の植物,ナンキンハゼ,マンチニール(トウダイグサ科の植物1/キントラノオ目の植物5) 見た目は全く違う植物ですが,強い弱いの違いこそあれ,毒性(皮膚刺激性,腫瘍誘発の恐れ)を持つという点は共通し,ホルボールエステルの作用と考えられています.ポインセチアに「死亡例がある」との都市伝説が広まりましたが,誤報と確かめられています.また,マンチニールは,強力な毒性を持つと信じられ,実際,皮膚刺激性は強力ですが,死亡例は報告されていません.

キントラノオ目の植物を取り上げ,簡単な解説を探して掲載しています.今日は

 

トウダイグサ科の植物1.

トウダイグサ属(トウダイグサポインセチア等),

ナンキンハゼ属(ナンキンハゼ),

ヒッポマネ属(マンチニール)の話題です.

この三つの属は,キントラノオトウダイグサ亜科に分類されています.

見た目は全く違う植物ですが---

毒性を持つという点は共通しています.特にマンチニールは強毒性を持つと広く信じられています.しかし,これは,リンゴのような果実を食べてしまう危険性から広まった可能性もあります.

皮膚刺激性がとても強いことは確かですが,死亡例はないようです.https://en.wikipedia.org/wiki/Manchineel

 

トウダイグサ科の植物の多くが,皮膚刺激性,発がん性を持つホルボールエステルを含んでいることが確かめられています.https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ptr.2650030507

毒性の本体が,このホルボールのみであるとすれば,強い毒性を持つと信じられているマンチニールを含めて,これらの植物を食べて死に至る可能性はそれほど高くないと考えてよいでしょう.ホルボールエステルは強い皮膚刺激性・炎症誘起作用と強力な発がんプロモーター作用が知られていますが,死に至る急性毒性はそれほど強くないからです.(マウスLD50は27.3mg/Kg https://www.sigmaaldrich.com/JP/en/sds/sigma/p8139

 

キントラノオ目は,形態としては関連がないように見える植物から構成されていますが,下位の各「科」の中においても,その傾向がみられます.

 

その代表がトウダイグサ科

中でも,

トウダイグサ属には,見た目が全く異なる植物が分類されています.

(昨年同様の話題を取り上げましたが,

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/09/02/233242 )

 

 

トウダイグサ属の植物

クリスマスの定番ポインセチア.わが家の定番で,人気のユーフォルビアダイヤモンドフロスト.

この2種が同属なのは,ギリギリ理解できますが---

https://ja.wikipedia.org/wiki/ポインセチア

次の5種はどうでしょうか?

ショウジョウソウはダイヤモンドフロストに近い気もしますが---

Euphorbia - Wikipedia トウダイグサ | Euphorbia helioscopia | かぎけん花図鑑 Euphorbia hypericifolia - Wikipedia ショウジョウソウ - Wikipedia

英語版ウィキペディアは次のように解説しています.

(DeepL翻訳)

ユーフォルビア属は,小さな一年草から大きく長寿の樹木まで様々な種類がります.おそらく最も背の高いものは,98フィート(30メートル)以上のユーフォルビア・アンピフィラでしょう.

この属にはおよそ2,000のメンバーがあり,顕花植物の最大属のひとつとなっています

https://www.wikidata.org/wiki/Q5851367

https://en.wikipedia.org/wiki/Euphorbia

トウダイグサ属の植物は,切断されると乳液を出しますが,この乳液は皮膚刺激性で組織傷害を起こすので,注意が必要です.

ポインセチアについては,一時「強毒説」が広まりましたが,他のユーフォルビア属の植物とあまり違わないとのこと.

英語版ウィキペディアポインセチアの記述は次の通り:

https://en.wikipedia.org/wiki/Poinsettia

(DeepL翻訳)「摂取した場合、軽度の流涎や嘔吐、まれに下痢が起こることがある.まれに,目に入ると炎症を起こすことがある.樹液が皮膚に付着すると,かゆみ,発赤,腫れを引き起こすことがある」

このポインセチアについては,「死亡例がある」との都市伝説が広まり(popularly, though incorrectly, said to be toxic),また,追い打ちをかけるように,1970年にアメリFDAから「強い毒性を持つ」との誤った情報が出され,大騒ぎになったことがあるそうです.これらは,後に誤報であることが確かめられています.

(日本版ウィキペディアに「死亡例」について記載がありますが,「都市伝説」をそのまま転載したものでしょう)

 

ナンキンハゼ

紅葉が美しいことで知られ,奈良公園などに植樹されています.

https://ja.wikipedia.org/wiki/ナンキンハゼ

ところが,この奈良公園のナンキンハゼは,現在伐採計画が立てられています,

https://www.pref.nara.jp/secure/246047/参考資料3.pdf

春日山の原生林を脅かしているためで,その生育区域の浸食的な拡大の主な理由の一つが「鹿が食べない」ためとのこと.

何故,鹿が食べないのか?

理由は分からないとするサイトもありましたが---

ナンキンハゼが有毒であるとの証拠はかなり集まってきています.

アメリカ農務省の記事によれば

https://www.fs.usda.gov/database/feis/plants/tree/triseb/all.html

(DeepL翻訳)ナンキンハゼの葉,果実,樹液は牛を含む多くの動物に有毒であるが,いくつかの鳥類は果実を食べ,昆虫は様々な部位を限られた量食べる.

人を含む多くの種に有毒で,含まれている化合物は皮膚を刺激し、腫瘍を発生させることがある.

 

マンチニール

https://ja.wikipedia.org/wiki/マンチニール https://en.wikipedia.org/wiki/Manchineel

強い毒性を持つと,広く信じられている植物です.

 

Encyclopedia Britannicaによれば,

https://www.britannica.com/plant/manchineel

(DeepL翻訳)

マンチーニール(Hippomane mancinella)はポイズン・グアバとも呼ばれ,その毒性で有名なトウダイグサ科(Euphorbiaceae)の樹木.フロリダを含むカリブ海とメキシコ湾の砂浜に自生する.

----高さは12メートル(40フィート)まで成長し,幹の太さは60センチ(2フィート)になる.----

甘い香りのする果実は,黄色から赤みがかった色で,1個または2個ずつつく.

植物のほぼすべての部分に毒があり,多くの毒素を含んでいる.その魅力的なリンゴのような果実は,スペインの征服者,難破した船乗り,そして現代の観光客を中毒にした.果実を食べると死に至る可能性があり,しばしば口や食道に火傷のような水ぶくれができる.

葉と樹皮の乳白色の樹液にはホルボールという刺激性の化学物質が含まれており,強いアレルギー性皮膚反応を引き起こす.----

木に触れるだけでも皮膚が水ぶくれになり,木が燃える煙が目を刺激する.----