今日は朝の内雨の予報でしたが,降ることはなく,昼間は晴れ.
鎌倉での用事のついでに,大巧寺(おんめさま)へ行ってきました.鎌倉に住んでいた頃には,一週間に一二回は訪れていたお寺.通り道として利用できる境内の小径では,手入れの行き届いた植物たちが迎えてくれます.
八幡通側の門の手前にはツツジがきれいに咲いていました.
フェンスに這わせてあるテイカカズラの花は満開.珍しい植物,コバノズイナ(ユキノシタ目,ズイナ科ズイナ属).
こちらも他では余り見かけない,コボウズオトギリ(ツバキ目オトギリソウ科オトギリソウ属)とイワフジ(ニワフジ マメ目マメ科コマツナギ属).
季節を感じさせる花,ホタルブクロ.
近くには八重のドクダミが咲いていました.
ハクチョウゲも大好きです.
大花の普通のアジサイは,まだ色づいていませんでしたが,ヤマアジサイはしっかり開花し,色づいていました.
同じアジサイ属でつる性のイワガラミ.こちらも余り見かけない花ですね.
そして,和紙の糊料として用いられるノリウツギも一つだけ開花しはじめていました.こちらもアジサイ属.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/06/18/235218
すれすれに夕紫陽花に来て触(さや)る揚羽蝶(あげは)の髭(ひげ)大いなる 北原白秋 雀の卵
あじさゐの蕾ほぐれず 粒だちて、うてなの上に みち充ちにけり 釈迢空 海やまのあひだ
まかがよふ光りのなかに紫陽花の玉のむらさきひややかに澄む 太田水穂 螺鈿
紫陽花のうちたふれつつ花咲くは苦しからむと夜半にさめをり 青柳節子 四季の森
森駆けてきてほてりたるわが頬をうずめむとするに紫陽花くらし 寺山修司 空には本
紫陽花のふふむ雨滴を揺りこぼす言はば言葉がすべてとならむ 河野裕子 はやりを
お隣の本覚寺では,センダン(オウチ:双葉より芳しのセンダンは別の植物白檀)の花が満開.大好きな花です.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/05/03/235820
妹(いも)が見し 楝(あふち)の花は散りぬべし我が泣く涙いまだ干(ひ)なくにも 山上憶良 万葉集 巻五・798(802)
(妻の死を悲しんで,わが涙の未だ乾かぬうちに,妻が生前喜んで見た庭前の楝の花も散ることであろう.憶良が旅人の心に同化して旅人の妻を悼んだものである. 斎藤茂吉)
我がやどにあふちの花は咲きたれど名にしもおはぬ物にぞ有りける 紀貫之 古今六帖
あふちさく北野の芝生さ月来ぬみざりし人のかたみばかりに 藤原定家 夫木抄
ゆふぐれになりつつのこる明るさに楝花咲く下にて遊ぶ 岡麓 朝雲
羽根そよがせ雀楝の枝に居り涼しくやあらむその花かげは 北原白秋 雀の卵
楝の木うすむらさきの花のかげに美しき鵙(もず)がとまりをるなり 若山牧水 黒松
楝の花あふれ咲く季を旅行きて駅々に会ふいくたりの友 阿部静枝 冬季
栴檀のうすむらさきに咲きつげる窓おしひらきしばしの息つぎ 長沢美津 雪
花楝むらさき深く咲きゆらぐ夕べの道に人をかなしむ 岡野弘彦 異類界消息
栴檀はうすむらさきの雪のごと花咲きてしあわせなりしかの日よ 石川不二子 牧歌