ヒアシンスのつぼみが色づいてきました.ギリシャ神話でアポローンに愛された美少年ヒュアキントスの生まれ変わり.他にも生まれ変わり候補の花は幾つかあるようですが.

ヒアシンス(ヒヤシンス)の蕾が色づき始めました.

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誰にも愛される元気な花.

でも私の面倒見が悪いので,花は咲いても小さいでしょう.

そんなヒアシンスの小さな芽や蕾がたくさん顔を出してきた冬の庭.

時々,大きいものも欲しくなって---.

球根の面倒見を良くするかわりに,つい新しいものを買いもとめる.そんな繰り返し---.

今年も新しく一つ購入してしまいました.

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冬の庭は寂しいですが,よく見れば,もうすぐ咲きそうな花の蕾,そして春咲く花の芽も.

元気づけられます.

(何度も繰り返しになりますが---.ビオラのタネをまくのが遅れたことがつくづく残念.まだ小さな苗の段階)

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ヒアシンスの名前

 ギリシャ神話に由来することは,よく知られているようですね.私は聞いたことがあるかな?程度だったので,改めて確認.

 

ギリシアローマ神話(上) トマス・ブルフィンチ,大久保博 訳 角川文庫 より

アポローンとヒュアキントス 

(抜粋,画像は他資料より)

アポローンはヒュアキントスという名の少年を非常にかわいがっていました.そこで,いろいろな運動にこの少年を連れて行きました.

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https://sites.google.com/a/syd.catholic.edu.au/boudica/12-ancient-history/12-ah-sparta/sparta-4c

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ある日のこと,二人は円盤投げの遊びをしていました.

アポローンは円盤を頭上たかく振りあげ,力に技を加えて,それを高く遠くへとばしました.

ヒュアキントスは円盤の飛ぶ様子をじっと見つめていましたが,この遊びに心を躍らせて,つい自分も投げてみたい一心から,その円盤を捕らえようと駆け寄りました.その時この円盤が地面からはねかえり,ヒュアキントスの額に当たったのです.

彼は気を失って倒れました.

アポローンは,少年と同じようにまっ青な顔をして,彼を抱きおこすと,その傷口から流れ出す血を止めて彼の去りゆく命を何とかとりもどそうと,自分のもっているあらゆる術を試みたのですが,すべて徒労に帰してしまいました.

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Hyakinthos – Wikipédia

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「 ---私はおまえに代わって死んでやりたい!しかしそれもかなわぬことゆえ,

おまえを記憶と歌との中で私といっしょに暮らせるようにしてあげよう.私の竪琴におまえを褒め讃えさせ,私の歌におまえの運命を語らせよう.

そしてまたおまえ自身は,私の嘆きを記した花にしてあげよう」

アポローンがこう話している間にも,どうでしょう,いままで地面に流れて草を染めていた血潮はもう血ではなくなってきました.

そしてテュロス染めの衣よりももっと美しい色をした花が咲きでてきたのです.その花は百合に似ていましたが,百合の花が銀白色であるのに,この花は深紅色をしていたのです.

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一説には,

ヒュアキントスが好きだったゼピュロス(西風の神)が嫉妬からわざと風を吹かせたため,円盤が進路を外れたと言われているそうです.ギリシャ神話らしい筋立てですね.しかし,アポローンの悲しみは上に引用したお話の方が深くなるような気が---.

 

そしてヒアシンスの由来としてもピッタリ当てはまる気がします.

 

しかし一つ問題が:

テュロス染めの衣よりもっと美しい色」

「百合に似ていましたが,百合の花が銀白色であるのに,この花は深紅色」

の部分が現在のヒアシンスとは合わない?ということになっているようで---.

 

▽ヒアシンスは,今でこそ濃い紫や深紅のものもありますが,やや淡い青紫色をさしてヒアシンス色というらしい.

テュロス染め:貝紫染め「地中海沿岸に生息するツブリボラという小さな巻貝を砕き、中の内臓(パープル腺)を取り出してその分泌物を糸や布に擦り込んで日光にかざすと綺麗な赤紫色に発色」貝紫染め ~帝王紫のこと | | tezomeya note

http://www.tezomeya.com/img/column/purple_img01.gif:帝王紫

 

そのため,このギリシャ神話に描かれた花が何か?と,「本物のヒアシンス探し」もなされているようです.

 

上記の引用の本では,

「アヤメ科の一種か,さもなければ,ひえんそう,あるいは,パンジーの一種でしょう」としています.

ランダムハウス英語辞典では,

hyacinthの【4】として,

美少年 Hyacinthus の血から生じたと伝えられる植物;アイリス,グラジオラス,ヒエンソウなど.

としています.

どれと断定は出来ない----.

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Iris (plant) - Wikipedia Gladiolus - Wikipedia http://www.okadanouen.com/zukan/hiensou.html

品種改良が進んだ現在のヒアシンスなら,色・花姿共に,ギリシャ神話のヒュアキントスになぞらえる資格ありとも思えます.

 

ヒアシンスは

キジカクシ目 Asparagales,キジカクシ科 Asparagaceae,

ツルボ亜科 Scilloideae,ヒアシンス連 Hyacintheae,ヒアシンス亜連 Hyacinthinae,

ヒアシンス属 Hyacinthus,

ヒアシンス H. orientalis,

 

近縁の植物としては,近年人気のムスカリが.

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キジカクシ科 - Wikipedia