春の野を詠んだ短歌  春の野にすみれ摘みにと来しわれぞ野をなつかしみ一夜寝にける 山部赤人  春の野にあさる雉(きざし)の妻恋(つまごひ)に己があたりを人(ひと)にしれつつ 大伴家持  春の野に萌えづる草を白銀(しろがね)の雨を降らして湿(うる)ほすは誰ぞ 長塚節  春の野のなづな清白(すずしろ)花に咲けど仏の座こそあはれなりけり 尾山篤二郎  春の小野(をぬ)黒くふくれし土ふみてわが郷愁のわくといはめやも 結城哀草果  そそくさとユダ氏は去りき春の野に勝ちし者こそ寂しきものを 寺山修司

今日は,曇〜午後からは雨模様の一日.

ただ大気は暖かく,春.

鎌倉扇ヶ谷の友人宅にお邪魔しました.谷戸の更に奥で日あたりはそれほど良くないせいか.まだ日本水仙が花盛り.

庭の所々に植えられたクリスマスローズが見頃.

 

庭の斜面には椿が沢山植えられていて,こちらも満開.

特に,門の横と庭の奥の木はかなりの大木で見応えあり.

木瓜もしっかり花を咲かせていました.

 

春の野を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

春の野にすみれ摘みにと来しわれぞ野をなつかしみ一夜寝にける  山部赤人 万葉集巻八 一四二四

 

春の野にあさる雉(きざし)の妻恋(つまごひ)に己があたりを人(ひと)にしれつつ  大伴家持 万葉集巻八 一四四六

 

春の野にわか菜つまむと来しものを散りかふ花に道にまどひぬ  紀貫之 古今集

 

春の野の繁き草場の妻恋ひに飛び立つ雉のほろろとぞ鳴く  平貞文 古今集

 

春の野に小松植うると玉梓のたより聞くだに心浮くものを  伊藤左千夫 左千夫歌集

 

春の野に萌えづる草を白銀(しろがね)の雨を降らして湿(うる)ほすは誰ぞ  長塚節 長塚節歌集

 

春の野のなづな清白(すずしろ)花に咲けど仏の座こそあはれなりけり  尾山篤二郎 平明調

 

春の小野(をぬ)黒くふくれし土ふみてわが郷愁のわくといはめやも  結城哀草果 まほら

 

真日赤き春野を走る貨車のなか流刑びとの心湧きくる  大野誠夫 薔薇祭

 

そそくさとユダ氏は去りき春の野に勝ちし者こそ寂しきものを  寺山修司 空には本