ようやく秋らしい気候になってきました.
春ほどではありませんが,秋になると,沢山の花が咲き,鎌倉のお寺でも多くの種類の花々を楽しむことができます.
海蔵寺 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/15/235429
妙法寺 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/19/234740
安国論寺 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/26/204048
宝戒寺 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/27/193847
光則寺 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/28/203214
おんめ様(大巧寺) https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/10/03/235742
秋の花は,短歌の歌題にもなっています.
最近取り上げた秋の植物を詠んだ短歌は,
萩 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/15/235429
秋海棠 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/20/234045
彼岸花 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/26/204048
秋草 https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/09/30/001637
最近見た植物の中に,他にも短歌に詠まれているものがないか,改めて調べてみました.まずみつかったのは.光則寺で見た,ホトトギス(杜鵑草).
今日は,ほととぎすを呼んだ短歌を取り上げます.
植物のホトトギスは,漢字では,鳥のホトトギスに草をつけて「杜鵑草」と表される場合が多いかと思います.
(鳥のホトトギスには,他に,時鳥・子規・郭公・不如帰などがありますが,これらは植物ホトトギスには用いられない?)
漢名は,油天草.こちらは日本でもホトトギスとルビがつけられて用いられています.
「白地に紫斑(しはん)入りで、鳥のホトトギスの胸模様を思わせるので、その名がついた」とされ,日本には,10種ほど自生しているとのこと(ニッポニカ).
ほととぎす(杜鵑草,油天草)を詠んだ短歌
(古今短歌歳時記より)
杜鵑草黄なるを見れば物干に時雨の雨はぬれつつぞ降る 土屋文明 山谷集
君が家に十年を経つつ十津川のほととぎす黄ばみ露もつもよし 土屋文明 山下水
引きずり出し見れば油天草はいまぞ萌ゆかむれる落葉いちいちとりぬ 鹿児島寿蔵 新冬
ほととぎす花もつかげに虔(つつま)しき夕日がのこる土もにほひて 生方たつゑ 青粧
打ち伏して時雨降るままほととぎす花の終りはいづれ身に沁む 福田たの子 桐壺
老年の見るによしなき夢ならば白杜鵑草そよと咲きてよ 築地正子 鷺の書
かき消えて草ほととぎす枯れしかば涸れたる土のほとり虔(つつ)しむ 安永蕗子 藍月
秋いまだ暑き斜面に滲みいづる水に垂りつつ咲くほととぎす 三国玲子 晨の雪
街角の一鉢ながらほととぎす秋のゆくへは風となりゆく 雨宮雅子 悲神