春の野で花を摘んでいたペルセポネー(農耕と大地の女神デーメーテールの娘)が,ハーデース(プルートーン 冥界の王)によって冥界に連れ去られる「ペルセポネーの略奪」.
関連した話題を
昨日http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/04/08/005915
及び
エロース/キューピット2http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/03/31/010810
で取りあげてきました.
▽「変身物語」と「ホメーロス風讃歌」
「ペルスポネーの略奪」は,ギリシャ神話でとてもよく知られた話で,ウェブ上でも読むことが出来ます.
例えば,
「一話5分で読めるギリシャ神話 ペルセポネーの略奪」
http://greek-myth.info/Hades/Persephone.html
greek-myth.info上記ウェブサイトのあらすじは,
とほぼ同じ.
物語は“エロースの矢がハーデースを射たこと”から始まります.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/03/31/010810
一方,
「ウィキペディア ペルセポネー」ペルセポネー - Wikipedia
と同じく
“ゼウスが初めから了承した略奪劇だった”としています.
ギリシャ神話は,多くの詩人/作家が書き残した物語で,細部はそれぞれ異なっています.
「ペルセポネーの略奪」は取りあげている詩人/作家が特に多いようで,そのうち,
ラテン語で書かれた「変身物語」
が有名とのこと.
RAPE OF PERSEPHONE - Greek Mythology
RAPE OF PROSERPINA - Classical Mythology
少なくとも書き出しの部分だけで比較すれば,(残りは英語に訳し切れていないので,不明)----
「一話5分で読めるギリシャ神話 ペルセポネーの略奪」
http://greek-myth.info/Hades/Persephone.html
及び,
は,ラテン語で書かれた「変身物語」と同様.
一方,
「ウィキペディア ペルセポネー」ペルセポネー - Wikipedia
及び
の書き出しは,ギリシャ語で書かれた「ホメーロス風讃歌」と同じです.
そして,昨日記載した,「ペルセポネーのブーケ」は,この「ホメーロス風讃歌」に書かれた花々.
日本の神話は,日本書紀・古事記にあたれば良いように思いますが,ギリシャ神話はやっかいです.
▽ザクロ
「トマス・ブルフィンチ ギリシア・ローマ神話(角川文庫)」と「山室静 ギリシャ神話(キンドル版)」にある「ペルセポネーの略奪」は,上記以外に異なった描写がいくつかあります.
例えば,
ゼウスの仲裁で,ペルセポネーが母親デーメーテールのもとへ返されることになった時,重要な役割を果たす「ザクロ」.
「トマス・ブルフィンチ ギリシア・ローマ神話(角川文庫)」では,
デーメーテールは,もう一度娘をとりかえせるよう仲立ちをしてほしいとゼウスに哀願しました.
ゼウスは承知しましたが,一つだけ条件を出しました.それは,ペルセポネーが冥界にいるあいだいかなる食べ物も口にしていなかったらなば,というものでした.もし口にしていたら,運命の女神たちが彼女を自由にすることを許さないからなのです.
そこでヘルメースが使者として送られ,彼は春の女神をつれて,ハーデースからペルセポネーをもらい受けにいきました.狡猾な冥界の国王は承諾しました.
しかし,ああ!ペルセポネーはハーデースがすすめた柘榴(ざくろ)の実をとって,そのわずかな粒から甘い果汁を吸ってしまっていたのです.
ハデス(ハーデース)は,ペルセポネ(ペルセポネー)をかえしてやるまえに,ざくろの実を一つ与えた.
それというのも,ペルセポネがいつまでも自分をおきざりにしないことを願ったからで,なにしろ地下の国のざくろの実を一粒でも味わった者は,誰でもまた,地下へ戻ってこなければならなかったのだから,
ペルセポネは言った.「わたしはハデスがくれたざくろの実を,いく粒か食べてしまったんです.この実を味わった者は,六ヶ月後にはあの人のところへ帰らなければならないのです」
ザクロは
フトモモ目 Myrtales,ミソハギ科 Lythraceae,ザクロ属 Punica,
ザクロ P. granatum
日本語のザクロは,中国語「石榴」「柘榴」の字音(呉音?)からと考えられており,
英語ではpomegranate(ラテン語 沢山の種を持ったリンゴ から).