世界のシーフード89
世界中で食べられている牡蠣/オイスターの種は一つではありません.
日本でも真牡蠣と岩牡蠣がありますが---世界を見渡すと,主に3種類の牡蠣がメジャーな種で,
・Pacific oyster(パシフィックオイスター,真牡蠣)
・Eastern oyster / Atlantic oyster(イースタンオイスター,アメリカガキ)
・European flat oyster / Belon(ヨーロッパヒラガキ)
日本の岩牡蠣やオーストラリアの岩牡蠣など,マイナーながら存在感のある牡蠣もあります.
食用牡蠣の主要種:学名と呼称一覧 By ChatGPT
|
食用牡蠣の主要種:学名と呼称一覧 |
||
|
学名 日本語名 |
英語圏での呼称 |
備考 |
|
Crassostrea gigas 真牡蠣 |
Pacific oyster |
世界で最も普及. 英国で Rock oyster と呼ばれることも |
|
Crassostrea virginica アメリカガキ |
Eastern oyster / Atlantic oyster |
|
|
Ostrea edulis ヨーロッパヒラガキ |
European flat oyster / Belon |
欧州の在来種 |
|
Saccostrea glomerata ―(オーストラリア岩牡蠣) |
Sydney Rock Oyster |
豪州固有のロックオイスター |
|
Crassostrea nippona |
Japanese rock oyster |
日本の岩牡蠣(夏が旬) |
|
Ostrea lurida オリンピアガキ |
Olympia oyster |
北米の小型高級種 |
https://en.wikipedia.org/wiki/Pacific_oyster


https://www.tasteatlas.com/best-rated-dishes-with-oysters


(1)Pacific oyster(Crassostrea gigas)が世界で食べられるようになった歴史 ByChatGPT
以下では真牡蠣 Pacific oyster(Crassostrea gigas:太平洋牡蠣/真牡蠣) が世界各地で食べられるようになった歴史を,アジア/ヨーロッパ/アメリカ に分けて,できるだけ簡潔にまとめます.
- アジア(原産地:日本・中国沿岸)
- 歴史の要点
太古より東アジア沿岸に自生し,日本と中国が原産地とされる.
日本(特に広島,宮城)は古くから牡蠣養殖技術が発展し,筏(いかだ)式養殖・垂下式養殖の確立により大量生産が可能に.
20世紀初頭,日本の種苗(幼生・稚貝)が輸出されるようになり,以後世界の多くの国の養殖牡蠣がこの「日本産系統」を基礎に拡大した.
- 特徴
アジアでは「地元産の牡蠣」=Pacific oysterであり,最も一般的な食用牡蠣.
- ヨーロッパ
- 導入の流れ
19世紀末:フランスの固有種(Ostrea edulis=ヨーロッパヒラガキ)の資源が激減
(過剰漁獲・寒波・寄生虫による壊滅的ダメージ)
日本からPacific oysterの稚貝を大量輸入(主に広島系)
1900年代初頭〜1970年代にかけて段階的に導入.
養殖が定着し,現在ヨーロッパで「オイスター」と言えば大半はPacific oyster を指す.
- 特徴
強健で成長が早く,在来種よりも環境ストレスに強いため普及が容易.
「岩場に付く形で大きく育つ」→ 英国では “rock oyster” として販売.
- 現在
ヨーロッパ市場の 70〜80%以上が Pacific oyster とされる国も多い.
- アメリカ(北米)
- 導入の流れ
19世紀後半:西海岸原産の Olympia oyster(Ostrea lurida) が乱獲で激減.
1900年代前半:
日本からPacific oysterの種苗を大量輸入し,ワシントン州・オレゴン州・カリフォルニアで養殖が定着.
生育が早く大量生産向きなため,アメリカ西海岸の主力牡蠣に.
- 特徴
生産量のほぼすべてが食用太平洋牡蠣.
「Kumamoto oyster(Crassostrea sikamea)」も日本原産だが,現在は別の人気カテゴリーとして扱われる.
まとめ(超簡潔版)
|
地域 |
歴史のポイント |
結果 |
|
アジア(原産) |
元々の生息域.日本の養殖技術が発展し,20世紀に世界へ種苗を輸出. |
世界のPacific oyster の「源」. |
|
ヨーロッパ |
在来種減少 → 日本から稚貝を大量導入(20世紀). |
今やヨーロッパの主力牡蠣.「ロックオイスター」とも称される. |
|
アメリカ(西海岸) |
在来種枯渇 → 日本からの導入で養殖開始. |
西海岸の牡蠣のほぼ全てがPacific oyster. |
補足
オーストラリアで,Coffin Bay King Oystersや,Tasmanian Oystersと呼ばれているブランド牡蠣も,Pacific oyster.
https://en.wikipedia.org/wiki/Eastern_oyster


https://www.tasteatlas.com/best-rated-dishes-with-oysters

(2)Eastern oyster / アメリカ牡蠣(C. virginica) の料理史(アメリカ料理との関係)
◆(1)北米先住民の時代からの重要食材
大西洋岸(カナダ東部〜フロリダ〜メキシコ湾)に自然分布.
先住民は生食・焼き・煮込みなどで広く利用し,
“shell midden(貝塚)”が多数残るほど主要タンパク源だった.
◆(2)17〜19世紀:東海岸の料理文化を形づくる食材へ
ピューリタン入植後,ニューヨーク(当時のニューネーデルラント),ボルチモア,ボストンなどで大規模に消費.
19世紀には「アメリカ一番の庶民のごちそう」とされ,
**オイスターバー(oyster saloon / oyster cellar)**が都市に大量に登場.
代表的な当時の料理
Oyster stew(牡蠣のクリーム煮)
Fried oysters
Oyster pie
Oyster roast(バージニア・カロライナ)
Oyster chowder
生牡蠣(生食文化は欧州より先に一般化)
◆(3)19〜20世紀:乱獲による激減 → 養殖体制へ
チェサピーク湾・ハドソン湾は乱獲と汚染で激減.
20世紀には天然資源崩壊の危機もあったため,
水産養殖・人工稚貝が整備され,現在は回復傾向.
◆(4)ガルフ・コースト(ルイジアナなど)の料理文化への定着
ニューオーリンズの牡蠣料理はすべて C. virginica が基礎.
代表料理
Oysters Rockefeller(1899)
Oysters Bienville(20世紀初)
Charbroiled oysters(Drago’s 3世代目・1980年代)
Po’ boy(フライドオイスター)
→ これらの料理は C. virginica の特性に基づいて成立した料理 と言える.
補足
アメリカでDelaware Bay Oystersと呼ばれているブランド牡蠣もEastern oyster.
https://en.wikipedia.org/wiki/Ostrea_edulis

https://everydayfrenchchef.com/recipes/starters/assiette-dhuitres/

https://www.breizh-amerika.com/blog/belon-oysters

(3)ヨーロッパヒラガキ(European flat oyster / Ostrea edulis) の料理史
①料理史 ②味覚・調理特性 ③現代の料理 ④真牡蠣導入以前に存在した他の牡蠣
を体系的にまとめます.
🧭 1. 料理におけるヨーロッパヒラガキ(Ostrea edulis)の歴史
◆(1)古代ギリシャ・ローマ時代から食べられた最古級の“養殖牡蠣”
古代ローマでは最も高級な海産物のひとつ.
「牡蠣の養殖」を世界で最初に体系化したのはローマ人とされ,
紀元1世紀の文献に Ostrea edulis の養殖法 が記述されている.
名産として有名だったのは ガリア(現フランス)・ブリテン島南部・地中海沿岸.
ローマ帝国の貴族の宴席での高級食材 → 中世・近世も貴族階級に愛好.
◆(2)中世〜18世紀:西欧で“唯一の牡蠣”だった
当時,真牡蠣(C. gigas)はまだヨーロッパに存在せず,
「牡蠣料理=すべてOstrea edulis」 だった.
イギリス,フランス,アイルランド,オランダ,デンマーク,ノルウェーなどで
大量に漁獲され,日常食でも高級食でも使われた.
この時代に成立した伝統料理はすべてヒラガキが前提.
◆(3)19〜20世紀:乱獲・病害・環境悪化で激減
19世紀のイギリスでは“牡蠣通り(Oyster Street)”が出来るほど大流行.
→ しかし乱獲と病気(Bonamia,Marteilia)で激減.
20世紀には壊滅状態となり,需要を満たすため
日本産の真牡蠣(C. gigas)が導入(フランス:1970年代)
→ ヨーロッパの牡蠣市場が一変.
◆(4)21世紀:マイクロ・ラグジュアリーとして復権
生産量は少ないが,
**「フランス最高級の牡蠣:フュメ・オストレア」「ブロン(Belon)」**など
ブランド化して復活.
シーフードのテイスティング文化(plateau de fruits de mer)が再注目され,
プレミアム生牡蠣として位置付けられている.
🎨 2. ヨーロッパヒラガキの味覚・調理特性
◆味の特徴(世界の他種との比較)
強いミネラル感(metallic minerality)
濃厚な旨味
特有のヨード香(iodine aroma)
後味にナッツのようなコク
塩味は中〜強程度
甘味は少なく,Pacific oyster(真牡蠣)より“キレのある旨味”
→ 「シャープで高貴な味」 と評される.
◆食感
真牡蠣より身が締まっており,
噛んだときの弾力と凝縮感 が強い.
◆調理特性
身がしっかりしているため加熱に耐えるが,
味の個性を活かすため 基本的には生食が最も評価される.
合う料理
シンプルな生牡蠣(レモン,シャロットビネガー)
軽いグリル(軽火で香りを閉じ込める)
海藻・クリーム・タイムなどの“ヨードを引き立てる香り”
🍽 3. 現在でもヨーロッパヒラガキを使う代表的料理
現代では多くのヨーロッパ料理店が「特定銘柄の生牡蠣」として提供している.
◆生牡蠣(生食)— 最重要
Belon(フランス・ブルターニュ) ← 世界的ブランド
Flat Oysters(UK, Ireland)
Gallagher Special, Kelly Galway(アイルランド)
Norwegian flat oysters (Flate østers)(ノルウェー)
Mali Ston oysters (Malostonske kamenice)(クロアチア)
など
Plateau de fruits de mer(魚介盛り合わせ)に必ず登場する.
◆軽い火入れ料理(現代フレンチなど)
Huîtres plates grillées(ヒラガキの軽いグリル)
Huîtres plates pochées(ポシェ)
Huîtres plates à la crème d’algues(海藻クリーム添え)
主目的は“香りを立たせ,適度に身を締める”こと.
◆スープ・蒸し料理(伝統的だが現在は少数)
Oyster stew(イギリス)
Irish oyster soup(アイルランド)
※ただし現在は,価格・希少性から高級店でしか使用されない.
🌍 4. 真牡蠣導入以前にヨーロッパにいた牡蠣は?
ヨーロッパの「在来種の大型食用牡蠣」は ほぼ Ostrea edulis のみ だった.
ただし他にも“食べられた可能性のある小型種”は存在する.
◆(A)主な在来種 — 事実上の唯一種
Ostrea edulis(ヨーロッパヒラガキ)
→ 古代から近代まで,西欧料理に使われたほぼ唯一の牡蠣.
◆(B)その他:食用とされることはあっても“主役ではなかった”
以下はヨーロッパ沿岸に自然分布するが,
小型・殻が薄い・漁獲効率が低いため歴史的に主食材とはされなかった.
Ostrea stentina / O. equestris(小型ヒラガキ類)
地中海〜北アフリカ沿岸に生息
食用記録は一部あるが,商業的価値はほぼなし
北米西海岸が原産でヨーロッパには自然分布せず
“同じ属の小型種”として比較されるがヨーロッパ原生種ではない
→ よって,
ヨーロッパの歴史的な牡蠣文化は「ほぼ純粋に Ostrea edulis の文化」 と表現できる.
⭐まとめ(最重要ポイント)
Ostrea edulis は古代ローマ以来の最古の養殖牡蠣.
19世紀までヨーロッパで食べられた牡蠣はほぼ全てこの種.
味は「ヨード香+濃厚な旨味+締まった身」という独特の高貴な風味.
現代ではBelonを中心に高級生牡蠣として提供.
真牡蠣(C. gigas)は20世紀に導入された“比較的新しい移入種”.
ヨーロッパで真牡蠣導入前に一般的に食べられたその他の牡蠣は ほぼ存在しない.



