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えっ 「鳴き合い」「求愛の輪」って何? グループで暮らす相島のネコたち:オスたちは雌ネコ ミュウに競って求愛中ですが,ミュウが一喝.恋の駆け引きはメス次第 

テレビ ドキュメンタリー,情報番組,ニュース等 自然・環境 / 動物等

前回の予告通り,11月20日の「ダーウィンが来た 生き物新伝説」は,ネコ視聴率トップをねらって? NHKBS「世界ネコ歩き」の岩合光昭さんも出演した,「潜入!秘密のネコワールド」!

夜明けです ネコの朝は早い もう一匹にゃんが来たみたい 「良いシルエットだね,親子でねえ」岩合さんうれしそう

「日の出を迎えるとやっぱり毛がふくらむのかな 良い感じです」

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11月20日はネコ大特集!『潜入!秘密のネコワールド』|ダーウィンが来た!

481回「潜入!秘密のネコワールド」│ダーウィンが来た!生きもの新伝説

相武紗季「岩合さんのまわりはネコだらけ(5匹) ここどこですか?」

近田雄一「はい,相武さん お答えしますよ ここは福岡県の相島(あいのしま).人とネコが仲良く暮らすネコの島として,世界中にその名を知られています.ネコの暮らしに迫るユニークな研究が続けられてきました.世界のネコ研究の最前線です」

 

島の周囲は八キロほど.このちいさな島に世界中からネコ好きがやって来ます.アメリカから 中国から フランスから.

ネコの正式な種名はイエネコ.島には100匹ほど居ます.ほとんどが飼い主のいないいわゆる野良ネコです.中には飼い猫も少し混じっています.首輪が目印ですよ.

それではネコたちの暮らしぶり覗いてみましょう.島は漁業を生業とする人が多く,ネコが頼りにしてきたのが,漁のおこぼれ.売り物にならない魚が大切な食料です.時にはこんな大物もお裾分け.大漁だったんでしょうか.人の暮らしに寄り添うネコ.昔から続くネコと人との共存の姿です.

そんなネコたちにはライバルが居ます.トビです.トビの視線の先にはネコ.上空から横取りをねらいます.トビにとってもおこぼれの魚は貴重な食料.おっと ネコが目を離した一瞬のすきに魚をかすめ取りました.

勝手気ままに暮らすように見えるネコたち.お互いの関係はというと.食べ物を得られる場所を中心にグループを作り,ある程度決まったメンバーで暮らしています.

おや,けんかが始まりました.同じグループのオス同士です.顔をつきあわせ太い声でなきあっています.オス同士の「鳴き合い」という争いです.

全身の毛を逆立て体を大きく見せて鳴く声の大きさや回数を競います.優勢なのは左のオス.右のオスは目をそらせました.そして緊張で体をこわばらせながら,ゆっくりと立ち去ります.これで勝負あり.

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こちらでも二匹のオスが鳴きあっています.鳴き続ける右のオスがこのあたりで最も強いクロモ.年齢は八歳.百戦錬磨の強者です.左の若いオスは,声が出せなくなってきました.相手に勢いがなくなったとみるや,クロモはたたみかけるように声を張り上げます.クロモの圧勝です.

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オスたちはこうした鳴きあいを繰り返し,グループ内での順位を決めるんです.

冬から春にかけてネコたちにとって一番大切な恋の季節がやって来ます.真っ白いネコが現れました.島の人からミュウと呼ばれる八歳にメスです.まわりにはオスがいっぱい.あのクロモの姿も.みんなミュウに求愛中.その数なんと八匹.ミュウは島一番のもてメスなんです.

まわりをオスに囲まれたミュウ.そろりそろりオスたちに気づかれないようそおっと歩き出します.

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しかし,オスたちはぞろぞろと後をついてきます.ミュウをただ追いかけているだけのように見えるオスたち.実は決めておいた順位がここで生きてきます.オスの位置にご注目.ミュウに最も近いのがクロモ.二番目はマルモ.三番目はオレンジです.ここでもクロモ・マルモ・オレンジ.順番は変わりません.

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これは,「求愛の輪」と呼ばれ,強いオスほどメスの近くに陣取り,求愛が出来る仕組み.

だからオスは順位を争っていたんです.突然クロモがうなり始めました.三番目のオレンジがクロモの前に出たんです.お昼寝中のミュウが「うるさい」と一喝します

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が,クロモの怒りは収まりません.クロモの執拗な威嚇を受け,オレンジは元の位置に下がります.オスには厳しい掟が存在するんです.

ミュウが歩き出しました.クロモがしびれを切らして急接近.逆に逃げられてしまいました.

まんまとオスたちをまいたミュウ

おや?一匹になると声を上げ始めました.どうしたんでしょうか.応えたのは飼い猫のシンノスケ.求愛の輪に加わっていなかったよそ者です.シンノスケが現れると,ミュウは先導するかのように歩き出しました.先ほどまでのつれない態度とは大違いです.

そして寝転がってシンノスケを誘います.積極的ですね

よそ者であるシンノスケと結ばれました.

それにしてもミュウはなぜよそ者を選んだんでしょうか.この不思議な行動に注目した研究者がいます.山根明宏さん.相島で200匹以上のネコを調べ,DNA鑑定で血縁関係を明らかにしました.

「野良ネコのオス.繁殖戦略と成功率」

Male reproductive tactics and rerproductive success of the group-living feral cats(Felis catus) AkihiroYamane, Bihavioural Processes  43 (1998) 239-249

その結果は世界中の研究者を驚かせるものでした.生まれてきた子どもの父親は,メスの近くで求愛の輪をつくるオスより,よそ者であることの方が,なんと2倍以上も多かったのです.

山根さん「同じグループ内では血縁度が高くなりますからね.遺伝的多様性を上げる動物的な本能からの行動と考えられます」

 

岩合さんは,あくびをしている顔,開けっぴろげなお腹を出して寝る姿,狩りの前の爪研ぎの様子など,ネコとライオンはよく似ている,と言います.中でも注目したのが,ネコもライオンもメスがリードする恋の駆け引き.

「力はオスの方が強いんですが,恋の駆け引きは別なんです.つまりメス次第なんですね.メスが許してくれないとオスは何にも出来ない」

 

 

後半は,母ネコ三匹で共同保育するミュウとその娘たち:ユキ/コガネの物語

ミュウは自分の子どもジュンだけではなく,ユキが産んだ孫のナズナにも授乳していました.

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