が5月5日に放映されました(NHKBSプレミアム)
岩合光昭の世界ネコ歩き - NHK(プロローグ) 岩合光昭の世界ネコ歩き - NHK
「京都の四季 プロローグ」(4月29日)を見て,迷わず録画予約.予想通りの美しい愛らしい映像.素晴らしい語りは宮崎あおいさん.
予想を超えたネコの世界を堪能しました.
ネコ好きの方々はすでにご覧になっているでしょうが,それ以外の方にも是非見ていただきたい映像です.
特に心に響いた京都丹南市美山町編を抜き出して再録します.
春美おじいちゃんに命を助けられたオスネコ「義経」.なんと母親が死んでしまった子ネコを育て始めます.更に,迷子の弱ったオスネコ「クロ」を連れてきて一緒に暮らし始めます.
おじいちゃんの愛情がネコに引き継がれていく京都美山の人とネコの暮らしです.
京都 美山ナビ | 日本の原風景が残る山里、美山町の観光情報サイト
京都の四季に取り組んだ岩合さん.
撮影地に選んだのは京都市内だけではありません.
京都 美山ナビ | 日本の原風景が残る山里、美山町の観光情報サイト 南丹生活〜南丹市総合ガイド〜アウトドア
5月.沈下橋の上をネコと人.(遠景)
あっ.橋の左で,ネコ,止まっちゃった.
戻ってくれたみたい.(ネコを抱き上げる)
仲良く散歩は,オスネコの義経と春美さん.90歳.義経がペースをつくり,春美さん,それに合わせる.
(田んぼの畦を歩く映像)
義経が春美さんと出会ったのは5年前.竹林で迷子になり,弱っていたところを春美さんに助けられました.
春美さん曰く「昔は目が切れ長でほんまにええ男やった」.
それで名前は義経.
春美さんに命を救われ,育ててもらった義経です.
今や,春美さんにとっても,義経はかけがえのない存在です.
撮影中,遠くにいた義経を,岩合さん,見失ってしまいます.すると春美さん.
「あんたらにしたらネコでも,ワシにしたら家族やでな.その家族がおらんようになったらどうするないや?」
返す言葉もない岩合さん.春美さんの義経に対する深い愛情を感じ取りました.
岩合さん「一匹と一人なんですけど,僕はあえて二人って言わせてもらいたいような気がしてしょうがないですね.
お互いに距離感ていうのが分かっていて,その距離がグッと近いんですね.おじいちゃんが義経を思いやるって言うか,見つめる.それをすかさず義経が見ているような,見破っているような気がするんです.感情の動きだとか,言葉だとかそういう事も,ネコならではの,まあ小ちゃな頭ですけど,その中で一生懸命考えて,動いているんじゃないかと.
今回,義経に,人間の感情が分かるネコっているんだな,と思って,すごいと思いましたね」
縁側に義経.春美さんは?
「義経そこに居るのか?」
春美さんが座ったら義経も安心したようです.でも,ちょっとこの並び?
岩合さん「やさしいね.自分の座布団を譲ってしまってる.ネコに」
そうか,義経が何より大事.90歳の春美さんです.
8月
岩合さん「よしつねー.こんな所に隠れてたのかー.どおりで見つからないはずだよね」(大きな土管のなかにねそべって眠る義経)
美山の義経.ぐっすり寝ています.
義経が暮らす家のすぐ裏にある用水路.暑さをしのぐ絶好の場所.ちょくちょくやってくるようです.
(起き上がって,足下にいたカエルを見つめる義経)
もうちょっと休んでいたいのかな.
春美さん「義経よ,おい」
春美さん,なかなか帰ってこないので迎えに来ました.
「そこに寝とんのか.(土管の身体を入れ,義経を抱えて)ネンネしとった.義経,ネンネしとった?ほーれ,ほれ義経.お前,はいってこい(=帰ってこい).お前もえらいやん(=大変だな)」
義経が休んでいたのには訳があります.家で義経を待っているのは,春美さんだけではありません.そのためちょっと疲れていたのかもしれません.
待って居たのは,なんと3匹の子ネコでした.義経,お父さんになったの?
岩合さん「この子達のお母さんは死んでしまいました.そして今,子ネコの面倒を見ているのが義経なんです」
子ネコは義経の子どもではありません.4月末,お腹の大きいメスネコがこの家に迷い込み,子ネコを産みます.母ネコが死ぬと,春美さん,残された子ネコをそのまま家に置きました.
すると,義経がその子ネコの面倒を見はじめたのです.
義経,ただいま子育て中!
母親がいなくなってしまった子ネコたち.
岩合さん「ひょっとしたらおっぱいをねだってる?」(すわっている義経のお腹に頭を突っ込みまさぐる子ネコ)
出るはずのない乳房をまさぐる.切ない----.けれどあったかい.
(子ネコをなめる義経)
岩合さん「義経の優しさは,おじいちゃんの優しさを義経が引き継いでいるというか,もらっている気がしますけど.子ネコだけが残されたんで,義経は,自分が母親にならきゃいけないと思うんですね.多分.子ネコの面倒を見るのは僕---.俺しかいない,みたいなことを,義経は感じたんじゃないか.それが義経の,何か,オスなんですけど,母性が生まれたんじゃないかみたいな」
(縁側の前の大きな石の上の子ネコ.義経のうなり声.子ネコを連れて歩き出す義経)
春美さんがいて義経がいて,そして三匹の子ネコたち.
夏,京都・美山の人とネコの暮らしです.
2月
(一面雪に覆われた田んぼの中を歩く義経.雪は降り続いています)
おやっ?義経何だか顔つき変わった?キリッとして名前の通り武将のよう.
広い縄張りをもつ義経.パトロールはどんな寒い日も休みません.
岩合さん「義経.お帰り」
家の前で一休み.子ネコは暖かい部屋の中.
おやっ?ネコがもう一匹.義経と仲よさそうです.
なんとこのネコ.義経の弟分.名前はクロ.
12月,パトロールに出た義経が,真っ黒に汚れて衰弱しきったクロを連れて帰ってきました.普通,オスネコは自分の縄張りに,他のオスを入れたりはしないといいます.ところが義経はクロを見守るように,そばに置いたのです.
それからというもの,クロは義経を慕って,ついてくるようになりました.
義経とクロ.寄り添う二匹.
岩合さん「義経自身が,おじいちゃんのことを命の恩人だと思ってるなと思いますね.まず,それが,おじいちゃんが絶対的な存在だと言うことは,確かなんだと思うんですけど.
そこにクロという新たな登場人物というか---があらわれたことによって,何かネコの方によっていったような----.今までおじいちゃん寄りだった義経が,また,ネコに戻っていったような.おじいちゃんとの関係は特別だけど,おじいちゃんの関係とは切り離したところで,また,義経の新たなネコ生が始まるというか.
それがとても興味深かったです」
岩合さん「蔵の下,義経と仲良く寝てしまった」
(義経とクロ.寄り添って頭を互いにくっつけながら眠っている)
義経を探しに出かけていた春美さんが帰ってきました.
春美さんに気づいた義経.
岩合さん「義経,コタツの中へ」
クロはストーブの前に.
美山の冬.思い思いに暖をとる人とネコの暮らしです.