柿の落葉を詠んだ短歌  おり立ちて今朝の寒さを驚きぬ露しとしとと柿の落葉深く 伊藤左千夫  霜にあひて柿の落葉の積れるを井の端に出でてけさはふむなり 岡麓  二尺にも足らはぬ柿のその落葉からくれなゐに染まりてゐたり 斎藤茂吉  柿の葉のちりしく庭にふる雨のたゆることなき音のさびしさ 尾山篤二郎  月夜ながら雨降り来り庭土の柿の落葉の濡れたる光 大屋正吉  桜落葉柿の落葉のただならずけふを限りの賑はひをする 角宮悦子

紅葉(こうよう)と言えば,まず浮かぶのがカエデ,

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/11/10/235625

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/11/22/235259

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/11/13/233326

そして,昨日も取り上げたイチョウ

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/11/05/041813

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2024/11/19/235409

ハゼノキやツタの紅さは際立っています.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/11/25/233343

ハゼノキ - 庭木図鑑 植木ペディア http://www.geocities.jp/tama9midorijii/ptop/yamap/yamahaze.html

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/11/18/010659

四季の山野草(ヤマウルシ) ウルシ - Wikipedia

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/11/24/230116

思はずによしある賤のすみかかな蔦の紅葉を軒に這はせて  西行 山家集

 

秋風の嵯峨野をあゆむ一人なり野宮のあとの濃き蔦紅葉  佐佐木信綱 山と水と

 

落葉樹の多い日本では,他にもよく知られた紅葉する木々があります.ナナカマド,ドウダンツツジ,ヌルデ.カツラ----

 

そして,昨日も取り上げた桜.どこでも見られるのにあまり話題にはなりません.

かなり早くから色づいて落葉となっていきます.全ての葉がきれいに紅葉するわけではなく,樹にあるときには所々が赤や黄に色づいていて風情がある.

そして,落葉の中にたまに驚くほど赤い葉が混じる---

桜落葉を詠った歌

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2022/11/30/235527

https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000063344&page=ref_view

 

落葉せる桜が下の青芝一群さびし白萩の花  長塚節 長塚節全集

 

あわただしき心をもてりおくつきの桜落葉踏む我の足音  島木赤彦 氷魚

 

音もなく落ちてさくらのくれなゐの幾葉か泛かぶみづうみの上  峯村国一 耕余集

 

いつとなき散れる桜の虫食い葉石の間に重なりにけり  土屋文明 ふゆくさ

 

 

桜と同じく,どこにでも(以前ほどではありませんが)見られる樹木で,やはり全ての葉が一様にきれいに色づくわけではないのが柿.

こちらも早くから散り始めますが,若い木はかなり遅くまで葉がのこっているように思います.

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2023/11/10/234854

https://www.google.com/search?柿落葉

 

柿の落葉を詠んだ短歌

(古今短歌歳時記より)

 

おり立ちて今朝の寒さを驚きぬ露しとしとと柿の落葉深く  伊藤左千夫 左千夫歌集

 

この朝(あした)降りける霜の深くして一時に柿の葉は落ちにけり  島木赤彦 柿陰集

 

霜にあひて柿の落葉の積れるを井の端に出でてけさはふむなり  岡麓 涌井

 

むら鳥の塒(ねぐら)(たか)むら下照りてにほう柿の木ちりにけるかも  長塚節 長塚節歌集

 

二尺にも足らはぬ柿のその落葉からくれなゐに染まりてゐたり  斎藤茂吉 つきかげ

 

柿の葉のちりしく庭にふる雨のたゆることなき音のさびしさ  尾山篤二郎 草籠

 

月夜ながら雨降り来り庭土の柿の落葉の濡れたる光  大屋正吉 夕陽集

 

風吹けばたやすく落つる柿の葉の一夜さ散りて庭をうづめぬ  松村光雄 清和

 

桜落葉柿の落葉のただならずけふを限りの賑はひをする  角宮悦子 はな