様々な楓の種 & 紅葉(もみじ/こうよう)を詠った短歌[3] ハウチワカエデ,イタヤカエデ,トウカエデ,ウリハカエデは,葉の切れ込みが浅いため「カエデ」,とネット上にありますが,「ハウチワカエデはモミジと呼んでいる」(ニッポニカ)とも.紅葉の見事さから,ニッポニカ解説に軍配を挙げたいのですが--- 木がらしにふきなびかへりかへるでの紅葉の諸葉葉先ちぢれて 三ヶ島葭子  秋ふかくかへで全身もみぢしてこのはげしさはこゑ伴わず 高野公彦

160種あると言われるカエデ(=ムクロジ目 Sapindales,ムクロジ科 Sapindaceae,カエデ属 Acerの植物)は,古来から日本で愛され続け,今では世界でも重要な観賞用樹木になっています.

今日は,「様々な楓の種」&「楓/紅葉(楓の紅葉に限らない)を詠った短歌」の3回目.

今まで取り上げたイロハモミジ,オオモミジ,ヤマモミジ以外の日本のカエデをいくつか取り上げます.

なお,ネット上には,カエデについて沢山の情報が溢れていますが,網羅的かつ詳細なものが,林田甫氏のHPに掲載されています.参照する価値のある力作ですhttp://mohsho.image.coocan.jp/top11.html

 

楓の品種(3)ハウチワカエデ,イタヤカエデ,トウカエデ,ウリハカエデ

この四つの園芸種は,名前に「モミジ」は使われず,いずれも「カエデ」.園芸の世界では,「葉の切れ込みが深いものをモミジ,浅いものをカエデ」とよぶ習慣があるとネット上にありますがhttps://www.shinrin-ringyou.com/topics/kaede.php),ニッポニカでは「ハウチワカエデはモミジと呼んでいる」としています.慣習的なものなのでどちらが一般的なのか,私には判断がつきません.紅葉の見事さから,また植物分類上の近さから,ハウチワカエデを「モミジ」と呼ぶ慣習に軍配を挙げたいように思うのですが.

日本語版ウィキペディアの記述には誤りがよくあります.モミジ/カエデの呼び方の慣習についても,ウィキペディア「カエデ」(https://ja.wikipedia.org/wiki/カエデ)の内容が,ネット上の多くのサイトに無批判に広まった可能性がかなりあるのではないかと思っています.

 

いずれの品種も,オオモミジ,ヤマモミジを含めたイロハモミジ(Acer palmatum)の仲間に比べて,見る機会はずっと少ないと思いますし,植物にうとい私は自覚して見た覚えがありません.

紅葉したときの見事さという点では,ハウチワカエデはイロハモミジに負けていないようです.

またハウチワカエデの「舞孔雀」という園芸品種はとても有名で,イギリス王立園芸協会ガーデン・メリット賞を獲得しています.

https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Award_of_Garden_Merit_maples

ただし,舞孔雀という名前より,

‘Aconitifolium’という名前で知られているとのことhttps://www.rhs.org.uk/plants/95808/acer-japonicum-aconitifolium/details )ラテン語の意味からするとトリカブト(Aconiti)の葉(folium).確かにトリカブトの葉っぱ(⇒https://www.google.com/search?トリカブト )に似ていますが----

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/ハウチワカエデ http://mohsho.image.coocan.jp/kaede04.html https://www.discovernippon.jp/autumn/autumnbook/hauti.html

https://www.uekipedia.jp/落葉広葉樹-ア行/イタヤカエデ/

https://item.rakuten.co.jp/g-chicory/10000215/

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウリハダカエデ

http://www.yasashi.info/to_00027.html

https://store.shopping.yahoo.co.jp/kinako-8-shiro-6/0521.html

 

 

「楓/紅葉/黃葉を詠った短歌」(3)

 

松を植ゑ楓を移し新室の庭のたくみは今成りにけり  正岡子規 子規歌集

 

 

夕光(ゆうかげ)ののこる楓の照紅葉木むらの外は霧たちにけり  岡麓 小笹生

 

 

老楓深きくれなゐ重ねてはほとほと隠す澄む山の空  窪田空穂 さざれ水

 

 

木がらしにふきなびかへりかへるでの紅葉の諸葉葉先ちぢれて  三ヶ島葭子 三ヶ島葭子全歌集

 

 

身近くの一木の楓枝ぐみのみやびやかさよもみじ葉つけて  木下利玄 みかんの木

 

 

しづかなる初冬の山を恋くれば楓のもみぢ赤くのこれり  古泉千樫 青牛集

 

 

楓(かへるで)のプロペラ型の実を見れば南風(みなみ)うけつつそよがぬぞなき  宮柊二 群鶏

 

 

秋ふかくかへで全身もみぢしてこのはげしさはこゑ伴わず  高野公彦 水行