紅葉のシーズン.
鎌倉の紅葉は今年はあまり期待できませんが---
yachikusakusaki.hatenablog.com
それでも台風の潮風を免れた場所の若木は,頑張って色づいてきています.
(写真は鶴岡八幡宮トイレの後の若木たち)
モミジと共に秋の紅葉シーズンの主役イチョウ.
しかし,
モミジが万葉時代から鑑賞の対象になった---
yachikusakusaki.hatenablog.com
のに対し----
日本への伝播と世界への拡散
イチョウが鑑賞対象になったのはかなり遅れたようで
(:「中生代から新生代第三期までにわたり世界中で多くの先祖の化石が見つかっていたが,100万年ほど前に化石の記録は絶える」樹木図鑑(イチョウ). )
は,一種のみが中国で生き延び----
▽日本へは,
その名前と共にやってきました.
音
中国語「鴨足樹(ヤーチャンシュー)」から→ヤーチャオ→イーチャオ→イチョウ
漢字
中国語「銀杏」「公孫樹」から
http://www.nara-wu.ac.jp/core/nara/img/pdf/jikken/icho.pdf
伝来の時期は13世紀〜14世紀と推定できるとのこと.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/plmorphol1989/13/1/13_1_31/_pdf
「10~11世紀頃に中国南部で再発見され,18世紀には再び世界に広まった樹木図鑑(イチョウ)」ということですから,
ヨーロッパよりはかなり早い時期に渡来していた事になります.
そもそも
▽英語のginkgoは日本語ginkyo(=銀杏の音読み)由来!
ginkgo (n.) 1773, from Japanese ginkyo, from Chinese yin-hing, from yin "silver" + hing "apricot" (Sino-Japanese kyo). ginkgo | Origin and meaning of ginkgo by Online Etymology Dictionary
銀杏の木そのものも日本からヨーロッパに,言葉と共に広がっていった!
このとき,yがgに間違えられて,英語のスペルがおかしくなったらしい(英語の語源辞典にはありませんでしたが).
エッセイ ― イチョウ:(このエッセイを見つけたのは検索がほとんどすんでから.私がまとめようとしていたことのほとんどをうまくまとめてあって---.やや,めげました.)
特別な樹木として,その後,愛されてきました
何百年もの歳月を生きてきた各地の巨木が物語るとおり.
京都のイチョウは前回記載しましたが,
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/11/04/022848
更に年月を経たイチョウが各地に.
http://www.kyoboku.com/top50/ イチョウ - 東北巨木調査研究会 法量のイチョウ|青森県観光情報サイト アプティネット
生活に関わる言葉にも取り入れられ--
「銀杏切り」が,いつの頃から使われたかは知りませんが,
「銀杏返し」「銀杏頭(がしら)」は,それぞれ,江戸時代に流行った女性の髪の結い方,男性の髷(まげ)のこと.
近年になってからは,
東北大学、東京大学、大阪大学、熊本大学のシンボルマークはそろいもそろってイチョウ.
人気がありますね.
この「生きた化石」銀杏.
イチョウ科の唯一の植物で
イチョウ科 Ginkgoaceae イチョウ属 Ginkgo イチョウ G. biloba
(他の種は絶滅したと考えられている)
雌花(胚珠錘)は裸子植物の典型のように見え,
http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/gymnospermae/ginkgoaceae/icyou/icyou5.htm
イチョウ科は
裸子植物門 Pinophyta イチョウ綱 Ginkgoopsida イチョウ目 Ginkgoales
に属するとされてきたのですが----.
異論が続出し,裸子植物門を外れるとする考え方が一端主流になり---
また新たな分類が提唱され,今に至っているようです.
さすが生きた化石.植物学者の方々を悩ませ続けているようですね.