イチョウ: 鎌倉の紅葉は,見頃まで,もう少しですが,秋の深まりを感じさせる色にはなってきています.先日はギンナンが落ちているのに出会いました.ギンナンもイチョウも,最もよく使われる漢字は「銀杏」.いきなり「銀杏」と書かれると読み方に困ります. 名前の由来,使われている漢字もやや変わっていますが,そもそも,イチョウはとても不思議な木. 一度取り上げた内容ですが,改めてイチョウ・ギンナンについてまとめてみました.「生きた化石・イチョウ」「イチョウという言葉・漢字」「イチョウ葉の薬効,安全性について」

秋の紅葉の代表的な樹木,イチョウ

鎌倉では,見頃とはなっていませんが,秋が深まってきていることを感じさせる色合いにはなっています.

 

英勝寺のイチョウ

 

浄智寺イチョウ

 

浄智寺では,落ちているギンナンにも出会いました.

 

ギンナンイチョウも,最もよく使われる漢字は「銀杏」.いきなり「銀杏」と書かれると読み方に困ります.

名前の由来,使われている漢字もやや変わっていますが,そもそも,イチョウはとても不思議な木.

以下,一度取り上げた内容ですが,

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/11/05/041813

https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/11/06/014232

改めてイチョウギンナンについてまとめてみました.

 

 

文字通り「生きた化石」.

中生代から新生代第三期までにわたり世界中で多くの先祖の化石が見つかっていたが,100万年ほど前に化石の記録は絶えた.しかし,一種のみ中国で生き延びていた. 

https://www.jugemusha.com/jumoku-zz-ichou.htm

ペルム紀(約2億9890万年前〜2億5190万年前)の約15属からなるイチョウ目(イチョウ科)の唯一の現存代表種(ブリタニカhttps://www.britannica.com/plant/ginkgo-tree).

そして,現在世界に広がっているイチョウの元をたどれば,全てが浙江省天目山を代表とする中国東部個体群を起源としていることが分かっています.https://www.nature.com/articles/s41467-019-12133-5

 

イチョウという言葉・漢字

▽日本語の「イチョウ」もかなり変わった名前で,中国語の「鴨脚:葉の形から」の唐宋音(中国の宋以降の中世音に拠る音)が変化した名前.(ヤーチャオ→イーチャオ→イチョウ).日本国語大辞典 他)

▽いくつもの漢字で書かれる:

・銀杏

(:読み方が多様「イチョウ」「ギンキョウ」「ギンナン」)

・公孫樹(コウソンジュとも読む) 

・鴨脚樹(オウキャクジュとも読む)

▽英語では:ginkgo または maidenhair tree

・ginkgoは日本語ginkyo(=銀杏の音読み)由来!

 ginkgo (n.) 1773, from Japanese ginkyo, from Chinese yin-hing, from yin "silver" + hing "apricot" (Sino-Japanese kyo). ginkgo | Origin and meaning of ginkgo by Online Etymology Dictionary

・maidenhair treeは,イチョウの葉がクジャクシダ(maidenhair)の葉脈に似ているからとのこと.イチョウからmaiden(少女)が連想されたわけではないようです.

 

イチョウ葉の薬効,安全性について

米国NIHから,詳細な情報が発表されていて,その日本語版が厚労省から出されています.

https://www.nccih.nih.gov/health/ginkgo

https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c04/25.html

中国や欧州では,古くからイチョウ葉が薬として用いられ,一時期その効果について世界中でかなり詳細に調べられた経緯があります.

残念ながら「いかなる健康状態についてであれ、イチョウが有用であるという決定的な科学的証拠(エビデンス)は存在しません。一部の研究ではイチョウ認知症の症状をわずかに改善させることが示唆されていますが、この知見は信頼性が低いと考えられています。また、ほかの研究では相反する結果が得られています。」とのこと.

なお,安全性については,アレルギー反応などに注意する必要があるものの,「ほとんどの人にとって、適量のイチョウ葉抽出物(エキス)を経口(口から)摂取した場合、安全であると考えられます。」とのことです.

 

ギンナンの毒性について

とても美味しいギンナンですが,以前からアレルギーを起こしやすい(ギンナン皮膚炎)として注意が促されてきました.

http://www.derm-hokudai.jp/jp/shinryo/pdf/7-02.pdf 接触皮膚炎|皮膚疾患 症状 対策 治療|品川シーサイド皮膚・形成外科クリニック|

 

また,最近は食中毒の危険性も喚起されてきています,

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/dokusou/18.html

ギンナンに含まれるメチルピリドキシンという物質が、ビタミンB6と構造がよく似ており、中毒を引き起こす原因との説が有力.脳内で神経伝達物質がうまく代謝できなくなり、けいれんや目まい、嘔吐などの神経症状を起こすと考えられている」とのこと.

決して食べ過ぎてはいけません.特に子供は注意が必要.