ドングリの季節ですね.
私が子供の頃拾ったドングリは,ほとんどコナラ.当時は,植物名は知らず,これこそドングリだと思い込んでいましたが.
どこにでもあるとされているクヌギは,子供の頃の狭い活動範囲には見られず.
マテバシイは遠くのお寺の境内にあることを知っていたので,特別な場合だけ拾いに行った覚えがあります.
辞書でドングリを引くと,「狭義にはクヌギ」とあります.クヌギがナラ属植物の代表ということでしょうか?大きくて丸い実がドングリらしい形と思われたからでしょうか?
今でこそ漢字は「団栗」が一般的ですが,「橡」または「橡実」も用いられていたようです.
どんぐり[団栗・橡]
くぬぎ【櫟・橡・櫪・椚・椢】
ブナ科の落葉高木。本州、四国、九州の山野に生え植林もされる。
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樹皮は染料に用いられ、種子は食用または糊料に、材は薪炭用および、シイタケの培養原木に使われる。漢名、櫟・橡。くにぎ。ふしまき。かたぎ。ふしくれぼく。つるばみ。
ただし,「万葉集にも詠われている」というのは正確ではないかもしれません.
たしかに「橡 つるばみ」はクヌギの古名なのですが,ドングリの実または殻斗(うけ)からとった植物染料の名前でもあります.
橡 つるばみ
ニッポニカ 橡とは - コトバンク
植物染料の一種。またその色名。橡はクヌギ(ブナ科の落葉高木)の古名で、その実(どんぐり)を砕いたものまたは実の殻斗(うけ)(傘形のもの)を煎(せん)じ、灰汁(あく)媒染して薄茶色、鉄媒染して焦げ茶色や黒色に染める。
つるばみ【橡】 (古くは「つるはみ」)
① 団栗(どんぐり)の古称。《季・夏》¥
② 団栗の梂(かさ)を煮た汁で染めた色。媒染液によって色相が異なり、白橡、赤橡、青橡、黒橡などがある。また、その色の衣。
(イ) 古代では、身分の卑しい人の着る衣服の色。
(ロ) 平安中期頃から、四位以上の人が着用する袍(ほう)の色。
(ハ) 藤衣(ふじごろも)の色。喪服の色。墨染めの色。
万葉集で詠われているのは,衣服の色または染料としての橡(つるばみ: 万葉仮名では都流波美と表記されています)と言った方が正確かもしれません.
紅は うつろふものぞ 橡の なれにし来ぬに なほしかめやも
紅(くれない)は、うつろふものぞ、橡(つるばみ)の、なれにし来ぬに、なほしかめやも
意味
たのしい万葉集 https://art-tags.net/manyo/eighteen/m4109.html
紅(くれない)で染めた衣はきれいでしょうが、色があせやすいものです。橡(つるばみ)で染めた衣は地味でも慣れ親しんでいるので、やはり良いものですよ。