わらび餅 わらび餅は,本来は,ワラビの根から採った「わらび粉」を用いて作られてきたものですが--- 江戸時代から既にわらび粉以外の材料も用いられていました.わらびもち粉には 「①本わらび粉100%②本わらび粉を数パーセント配合(残りは芋系でん粉)③本わらび粉ゼロで芋系でん粉100%」があるとのこと.有名和菓子店でもわらび粉ゼロの商品もあります.わらび餅の歴史も踏まえれば,わらび粉100%にこだわる必要はないとはいえ,わらび粉100%,もしくはそれに近いものの味だけは確かめておきたいですね.

今日は,日が沈んでから買い物.少し足を伸ばして勝たせ片瀬東浜へ.

曇り空でしたが,夜の江ノ島は,灯台の光と,大橋〜ヨットハーバーの道路を照らす光,そして,引いたあとの砂浜がこれらの光を反射させていて,美しい光景を作り出していました.

帰りにセブンイレブンへ寄って,明日の朝食用のサンドイッチ(車で出かけるので)・飲み物を購入.

お菓子コーナーにわらび餅(商品名は「とろもちわらび」)を発見.今日のブログの題材にしようとしていたので,これも購入.

原材料は?とみると:

味付けは,「きな粉,加工黒糖,精製糖,黒蜜」

わらび餅部分の材料は,「デンプン,わらび粉,寒天/加工デンプン,糊料(加工デンプン,増粘多糖体)」.

一応,わらび粉も入ってはいるものの,コンビニ商品として並べるための工夫が多数詰まった材料が用いられていました.

 

わらび餅は,本来は,ワラビの根から採った「わらび粉」(ワラビでん粉が主成分)を用いて作られてきたものですが---

https://ja.wikipedia.org/wiki/ワラビ

https://www.google.com/search?ワラビの根

 

わらび餅は,江戸時代から盛んに食べられていて(料理物語1643年にレシピが載っている!),この時から既に,わらび粉以外の材料(例えばくず粉)も用いられていました.

儒者林羅山の丙辰紀行(1616)によれば,東海道の日坂の宿の名物のわらび餅はくず粉を混ぜたもので,きな粉に塩を加え,まぶしたものだという」(事典和菓子の世界 岩波書店

 

現代のわらび餅のレシピにも,わらび粉は高価で手に入りにくいこともあり,他の材料を用いたものが掲載されています.

「わらび餅」での検索トップのレシピ(白ごはん.com)は「わらびもち粉」(わらび粉ではない!)を用いていて,その解説は次の通り:

https://www.sirogohan.com/recipe/warabimoti/

わらび餅の材料  (3~5人分)

わらびもち粉(※)…60g  •砂糖 … 80~100g  •水 … 300ml  •きな粉 … 大さじ3~4

※わらびもち粉の市販品には

【①本わらび粉100%】【②本わらび粉を数パーセント配合(残りは芋系でん粉)】【③本わらび粉ゼロで芋系でん粉100%】があります.

①は粘りが強くて黒っぽい仕上がりに。

②は5~10%配合のものが多く、適度にわらび粉の香りも感じられて粘りもしっかりめ(我が家ではこのタイプを愛用しています)。

③がいちばん流通しているもので、もちもちした食感。「わらびもち粉」という商品名でも本わらび粉が入っていないものもたくさんあるので要注意です!

 

わらび餅は,奈良の名物として名が通ってきましたが,本場奈良の和菓子店でもわらび粉100%の商品はそれほど多くないようで,例えば,次の「千壽庵吉宗」では,2種類の商品を販売していて,一方のみ(純本生わらび餅)がわらび粉100%.人気トップの商品(生わらび餅)は,「天日干し甘藷でん粉(さつまいもでん粉)を主体とし,国産本わらび粉をブレンド」とあります..


わらび餅として,わらび粉以外のものを用いる時には,さつまいもでん粉が多いようですが,中にはコンニャク成分を活用しているものも見られました.

 

消費サイドとしては,美味しければ良いので(もちろん安全でなくてはいけませんが),わらび餅の歴史も踏まえれば,わらび粉100%にこだわる必要はないといえます.ただ,わらび粉100%,もしくはそれに近いものの味だけは確かめておきたいですね.

実は,はっきりとわらびこ100%と確認してわらび餅を食べたことはありません.近日中に試さなくては.

 

月餅家直正,文の助茶屋,叶匠寿庵のわらび餅.

https://www.google.com/search?月餅家直正

https://www.google.com/search?文の助茶屋 わらび餅

https://kanou.com/gnaviplus/item/souanwarabi/

 

付録

菓子材料の基礎知識

創業明治43年 御菓子処・宇治駿河屋[うじするがや] 

https://www.surugaya.co.jp/school/kisogaku/denpun.html

わらび澱粉 (蕨粉 わらびこ)

蕨は地下に直径1㎝位の太く長い根茎を有し、横に伸びて繁茂している。

わらび澱粉の製造は、秋の九月から十一月ごろにかけて、わらびの根を掘り出し、まず30センチくらいの長さに切断し、臼(木製もたは石製)の中でよく粉砕し、これに水を加えてでんぷんを洗い出し、何回も水洗いと沈殿を繰り返して精製し、製品にする。

精製法は、葛澱粉と同様に処理して行なう。

収量は、生原料に対して21%前後である。生産は比較的僅少であるが、わらび餅、その他に用いられる。

国産わらび澱粉は非常に高価なものなので、最近は国産わらび澱粉の代わりに、片栗粉、ジャガイモ、甘藷でんぷん、タピオカ澱粉などで調合・混合された物が殆どである。

国産わらび粉

純正国産わらび粉は灰汁も強いが、その分風味も優れている。精製段階でもこの風味を大切に残すためにも純白には仕上げていない。

国産のわらび粉かどうかは、熱を加えて練り上げると、茶褐色の独特の腰のある粘りが出てくる。冷えると強い粘りがありながら歯切れと口溶けの良さ、独特の野性的な風味はその他の澱粉質とは明確に異なる。

(仕上がり比較)

国産わらびの仕上色は黒っぽくて見た目も悪い。

代替えわらび粉(タピオカ澱粉や甘藷澱粉などでのミックス製品)は色も浅く、食味も進む色合いだが、食すると味はまるで無い。