ギリシャ神話に数多く登場するニンフ(ニムフ,ニュンペー).
山,水,森,木,場所,地方,都市,国などに固有な神的力を擬人化した精で,若い乙女の形をとって現れます.
yachikusakusaki.hatenablog.com
今までとりあげたニンフは
エコー
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/11/19/224809 〜 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/11/21/234542
ガラテイア
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/12/16/235000 〜 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/12/19/235000
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/01/28/234613
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/01/29/235000
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/01/30/235000
エウリュディケー
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/03/09/002400
また,アポローンの最初の恋人で,月桂樹になったダプネー(ダフネ Daphne)もニンフ.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2018/03/02/021323
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/01/30/235000
エコーはキサイロナス山のニンフで,オレイアス(Oread=山のニンフ).
ガラテイアは海のニンフで,50人いるネーレーイス/ネーレーイデス(ネレイド)の1人.
Cyclopes - Wikipedia キュクロープス - Wikipedia
葦になったシュリンクスは,ラドン川のナーイアス(ナイアドNaiad).
竪琴の名手オルペウス(オルフェウス)の妻エウリュディケーは,ドリュアス(ドライアド/ドリアード):木や森のニンフと考えられています.
https://www.metmuseum.org/toah/works-of-art/10.63.2/ Eurydice - Wikipedia
そして,
月桂樹になったダプネーは,河神ネーペウスの娘でナーイアス(ナイアドNaiad)になります.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/01/30/235000
オウィディウスの転身物語で,ダプネーの物語に続いて描かれた"牝牛になったイーオー(イオ)”もナーイアスニンフで,河神イーナコス(イナコス)の娘.
http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/01/30/235000
ニンフ(ニムフ,ニュンペー)って何者? 2
オレイアス,ネーレース,ナーイアス,ドリュアスはギリシャローマ神話でのニンフの各タイプに与えられた名前ですが,一体どれぐらい数があるのでしょうか.
ギリシャローマ神話を扱った数多くのサイトに既に掲載されていますが,改めてthe Theoi projectの記載をDeepLの助けを借りて和訳してみました.
なお,
ニンフたちは「神でも人間でもない存在」(日本大百科全書)で,
「歌と踊りを好む若く美しい女性で,ホメロスの叙事詩ではゼウスの娘とされるが,神と異なって不死ではなく,そのかわりに非常な長命の存在と考えられた」(世界大百科事典)
とされています.
ただ,女神とニンフの境界は極めて曖昧で,例えば下記の「Nymphのタイプ」中,オーケアニスには,ゼウスの妻となったメーティス,エウリュノメーや,やはりゼウスと結ばれてアプロディーテーの母となったディオーネが属しています.
また,ポセイドーンの妻アムピトリーテーはネーレーイデス.
そして,彼女たちがニンフと呼ばれることはなく,格上の存在として扱われています.
Nymphのタイプ
Nymphs | Theoi Greek Mythology
NYMPHS (Nymphai) は自然界のマイナーな女神や精霊(daimonaissai).多くのタイプが重複している:例えば,泉のそばに生えている木のニンフは,多くの場合,泉のナイアードでもあった.
アントゥサイ
Anthusae (Anthousai) 花のニンフ.オーケアニスの1タイプであるレイメニデスLeimenidesとおそらく同一だったと思われる.
オーラ(アウラ)
AURAE (AURAE) 涼しいそよ風のニンフ.風(北風)の神ボレアスまたは地球をめぐる海の神オーケアノスの娘.
バッカイ
BACCHAE ディオニュソス(バッカス)の侍女でバッコス神を崇拝するニンフ.ティヤデスThyiadesとも呼ばれていた.
ブコラエ
BUCOLAE (Boukolai) 牧草地の,または田園のニンフ.エピメリデスの別称.
クレネア
CRENAEAE (Krenaiai) 井戸や泉のナーイアス(ナイアド)のニンフ.
ドリュアス(ドライアド/ドリアード)
DRYADS (Dryades) 木や森のニンフ.彼女たちの中には特定の木,通常は森の中で最も高い木,または神々の神聖な木立の中にある木に生命力を縛られているものもあった.山の松のドリュアスはオレイアス(オリアドOread),トネリコの木のドリュアスはメリアデス(メリアエMeliae)と呼ばれ,また,ハマドリュアデス(Hamadryads)はオーク(カシ,ナラの類),メリアデス(Meliades 単数形Melias)は果樹のドリュアスでした.
エピメリアデス
EPIMELIDES (Epimeliades) 高地の牧草地のニンフで,羊の群れの保護者.彼らはおそらくオーケアニスの中に含まれていた.
ハリアド
HALIAE (Haliai,Haliad or Halias)海,砂地,岩場のニンフ.彼女らは魚の群れや他の海の生き物を飼っていた.その中で最も有名なのは,50人のネーレーイス/ネーレーイデス(ネレイド).
ランパス
LAMPAS/LAMPADES 冥界の松明を持つニンフ.おそらくエレウシスの秘儀,女神ペルセポネとヘカテの従者と思われる.
LEIMENIDES 青々とした草や花が生い茂る湿地牧草地のニンフ.彼女たちはおそらくオーケアニスOceanidの一タイプ.
リュムナデス
LIMNATIDES(Limnad/Limnatides) 湖のニンフ.ナーイアスの一タイプ.
マイナス
MAENADS (Mainades) ディオニュソスの列に加わる熱狂したニンフ.テューイアスThyiadsの別称.
メリアデス
MELIADES エピメリアデスEpimelidesの別称.
メリアエ/メリアデス/メリアス
MELIAE (メリアイMeliai) ハチミツ,ミツバチ,ミツロウのニンフ.トネリコのドリュアスでもあった.
メリサイ
MELISSAE ハチミツのニンフ,メリアエの別称.
ナーイアス
NAIADS (Naiades) 新鮮な水の源である泉,小川,川,湖のニンフ.彼女たちは通常,オーケアニスと河神の娘と呼ばれていた.
ネペライ
NEPHELAE (Nephelai) 雲の精霊.彼女たちは通常,オーケアニスの中で番号が付けられていた.
ネーレーイス
NEREIDS (Nereides) 50人のハリアド(海の精霊)たち.
オーケアニス
OCEANIDS (Okeanides) 新鮮な水の源--地上の小川や泉,天の湿った風や雨雲--を司るニンフ.彼女たちは大地を取り囲む淡水の流れであるオーケアノスの娘であり,川の神々の姉妹でもありました.複数形オーケアニデス.
オレイアス
OREADS (Oreiades) 山の精霊.彼女たちはドライアドのニンフで,その生命力は高い山の松やモミのそれと密接に結びついていた.
ペガイア/ペガイアイ
PEGAEAE (Pegaiai) 温泉のナーイアスニンフ.
ポタメイド/ポタメイデス
POTAMEIDES 川のニンフ.ナイアードの一タイプであった.
ティヤデス
THYIADS (Thyiades) ディオニュソス神の系統につらなる狂乱・乱行のニンフ.彼女たちはマイナスMaenads,バッカイBacchae,Bacchantesとしても知られていた.ThyiadはDryadとNaiadのニンフの混成でした.