ギリシャ神話に数多く登場するニンフ(ニムフ,ニュンペー).
山,水,森,木,場所,地方,都市,国などに固有な神的力を擬人化した精で,若い乙女の形をとって現れます.
名が通ったニンフを取り上げていくシリーズ:
前回はエコー.
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今日から何回かに分けてガラテイア(ラテン名 ガラテア)について調べ,まとめてみたいと思います.
ガラテイア1
the Theoi project
GALATEA (Galateia) - Nereid Nymph of Greek Mythology
では,ガラテイア(ラテン名 ガラテア)を,下記のように解説してます.
この解説でやや戸惑うのは,ガラテイアをニンフではなくgoddess(女神)と記述している点.女神とニンフは,はっきり分けられているはずなのに---(⇒*).
ガラテイア
(拙訳)
GALATEA (Galateia) - Nereid Nymph of Greek Mythology
ガラテイアは,50人いるネーレーイデスのひとりで,静かな海の女神(⇒*).
彼女はシシリーの海辺を良く訪れ,キュクロープス(キュクロプス)のポリュペーモス(ポリュペムス)に恋慕されてしまいました.巨人は,素朴な笛の音で彼女を口説き,ミルクやチーズを差し出します.しかし,ニンフは彼の申し出ははねつけ,ハンサムなシシリーの若者アーキス(アキス)と寄り添うようになしました.ポリュペーモスは,嫉妬の駆られ,若者を岩で押しつぶしてしまいます.ガラテイアは悲しみに打たれ,アーキスを一本の流れに変身させました.
GALATEIA (Galatea) was one of the fifty Nereides and the goddess of calm seas.
She frequented the coast of Sicily and there attracted the attention of the Kyklops (Cyclops) Polyphemos. The giant wooed her with tunes from his rustic pipes and offerings of milk and cheese. But the nymphe spurned his advances and consorted instead with a handsome Sicillian youth named Akis (Acis). Polyphemos flew into a jealous rage and crushed the boy beneath a rock. Galateia was grief-stricken and transformed Akis into a stream. GALATEA (Galateia) - Nereid Nymph of Greek Mythology
(⇒*)
▽世界大百科事典 第2版の解説では,ニンフは「神と異なって不死ではなく,そのかわりに非常な長命の存在と考えられた」とあります.Galateaとは - コトバンク
しかし,ニンフは人間ではないことも確か.
山や海・川の神的な力の体現者で,狭い範囲ながら山や海・川等の支配者とも見なせます.表記としてはgoddessと記してしまうことがあるのかもしれません.
特に,ガラテイアは,人を変身させてしまう能力を持っています.女神に近い力があるということですね.
血筋から考えてもガラテイアは女神にとても近いニンフ.
父ネーレウスは,ガイアとポントス(いずれも原初神)の息子.母ドーリスは,オーケアノスとテーテュース(いずれもティターン十二神)の娘(オーケアニデス).
ガラテイアの姉妹,同じくネーレイデスのひとりアンピトリーテーは,ポセイドーンの正妻.(下記,神々の系譜参照)
the Theoi project内の引用記事では,ガラティアをニンフとしていますが,サイト全体としては海の神々の一人として扱っています.
ガラテイアが不死の身であったかどうかは,調べきれませんでしたが,恋人アーキスを変身させる力を持つことは確か.
なお,アーキスとガレテイアの恋物語は,オウィディウスの転身物語(変身物語)に記され,後世の画家,作家に題材として取り上げられています.
転身物語の内容については明日.