ギリシャ/ローマ神話に数多く登場するるニンフ(Nymph ニムフ,ニュンペー).
山,水,森,木,場所,地方,都市,国などに固有な神的力を擬人化した精霊/マイナーな女神で,若い乙女の形をとって現れます.
様々なタイプがあって,それぞれに名前が付けられています.
例えば,
ニンフシリーズ前々回とりあげた泉,小川,川,湖のニンフは,ナーイアス/ナーイアデス(英語名ナイアド/ナイアデス Naiad/Naiads),
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2020/12/21/235421 等
前回とりあげた木や森のニンフはドリュアス(ドライアド/ドリアード).
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/01/26/235610 等
今日からとりあげるのは,オレイアス(Oreias 複数形はオレイアデスOreades).
山や洞窟のニンフ(ニュンペー)です(Oread | Greek mythology | Britannica).
the Theoi projectの解説では,オレイアスはドリュアスに属し,山のコニファーのニンフとされています.
DRYADS & OREADS (Dryades & Oreiades) - Tree & Mountain Nymphs of Greek Mythology
山と木々は一体化して,切り離せないものだったのでしょう.
山や絶壁を好むアルテミスと結びついているとされ,住んでいる場所によって別々の名前で呼ばれます.( Oread - Wikipedia )
英語版ウィキペディアに挙げられている名前を何人かか挙げておきます.
キュレネ Cyllene (Mount Cyllene)
エコー Echo (Mount Cithaeron)
イーデー Ida (Mount Ida)
アドラステイアー Adrasteia
オトレーイス Othreis
この中で,最もよく知られているのは,本ブログでも取り上げたエコー(エーコー Echo)でしょう.
ドリュアスでもありますが.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/11/20/235546
ナルキッソスへの恋でよく知られたエコーはキサイロナス山Mount Cithaeronのオレイアス.
また,
イーデーとアドラスタイアーは,幼子ゼウスを養育したニンフです.
偽アポロドーロスのビブリオテーケーでは,次のように記載されています.
しかし,彼(クロノス)は再び彼ら(ティターン)を縛してタルタロスに幽閉し,姉妹のレアーを妻とした.
大地(ゲー/ガイア)と天空(ウーラノス)とが彼に予言して,自分の子によって支配権を奪われるであろうと言ったので,彼は生まれた子供たちを呑み込むのを常としていた.
まず最初に生まれたヘスティアーを呑み,ついでデーメーテールとヘーラー,その後プルートーン(ハーデース)とポセイドーンとを呑み込んだ.
これに怒って,レアーはゼウスを孕んだときにクレータに赴き(おもむき),ディクテーの洞穴でゼウスを生んだ.そして,クーレースたちおよびメリッセウスの娘でニムフなるアドラーステイアーとイーデーにその子を育てるように与えた.
Amalthea (mythology) - Wikiwand
そこで彼女たちはアマルテイアの乳で子供を養い,クーラースたちは武装して洞穴内で嬰児を守りつつ,クロノスが子供の声を聞かないように,槍を以て盾を打ち鳴らした.
レアーは,石を襁褓(むつき)にくるんで生まれた子供のごとく見せかけ,クロノスに呑み込むように与えた.