エウリュノメー1 ディオーネ,メーティス同様,ゼウスと結ばれたオーケアニデス. 有名な3人の女神カリス(複数形はカリテス)の母.カリスは古代ローマではグラティア. The Three Gracesとして,古代ギリシャローマ,そしてルネサンス以降にも絵画や彫刻に.このThe Three Gracesの絵画/彫刻を集めてみました.よく知られているものだけでも沢山あるようです.おとめ座 4. テュケー 番外編:姉妹「オーケアニデス(オーケアニス)」(7)

おとめ座の候補テュケーは

運命(fortune),運/巡り合わせ(chance),摂理(providence),宿命(fate)を司る女神.

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TYCHE CULT - Ancient Greek Religion

ヘーシオドスによれば

その数三千人の女神/ニンフ,オーケアニス(オーケアニデス)の一人がテュケー.

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オーケアニデスには名がよく知られた女神たちが幾人もいます.

ドーリス  http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/04/20/003942

クリュメネー http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/04/21/000500

ディオーネ  http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/05/18/005509 http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/05/19/024202

メーティス  http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/05/27/010513

 

今日取り上げるのは

エウリュノメー

ディオーネ,メーティス同様,ゼウスと結ばれたオーケアニデス.

 

有名な3人の女神の母として知られています.

女神の名はカリス(複数形はカリテス).古代ローマではグラティア(Gratia、複数形グラティアエ, Gratiae).

ここまでは知らなくても,英語ではグレイス(Grace、複数形Graces)と聞けば「聞いたことある」という方は多いのでは?私同様.

 

カリスは,三美神(The Three Graces)として,古代ギリシャローマでも,そしてルネサンス以降にも絵画や彫刻で取り上げられていることで有名です.

 

今日はまとめる時間がなかったので,このThe Three Gracesの絵画,彫刻を集めてみました.よく知られているものだけでも沢山あるようですね.

 

 

三美神(The Three Graces)の絵画・彫刻

CHARITES (Kharites) - The Graces, Greek Goddesses of Pleasure & Joy

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Primavera (painting) - Wikipedia 三美神 (ラファエロの絵画) - Wikipedia

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私を含め多くの方の記憶にあるのは,おそらくボッティチェリ「春」.

ラファエロ古代ギリシャ彫刻をみてインスパイアされたと考えられているとのことですが,なるほど,古代ギリシャの作品そっくりな構図です.

 

The Three Graces (Rubens) - Wikipedia The Three Graces (sculpture) - Wikipedia

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ネット上の画像を見る範囲ですが,私が好きになったのは,このカノーヴァの彫刻.同じ作者のプシュケ像も気に入っています.アントニオ・カノーヴァ - Wikipedia

 

 最後に

「春」の解説を「アールアートギャラリー」のサイトからからそのままお借りして転載します.(とてもわかりやすく書かれているように思いました.内容に関して,美術に疎い私には評価する資格はありませんが,納得させられる解説でもありました)

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ボッティチェリ 「春 (プリマベーラ)」 解説

ボッティチェリの『春』は,テーマは「愛」である.

中央に,位置を高くして君臨しているのは,愛の女神ヴィーナス(アプロディテ)である.

ヴィーナスの誕生』のヴィーナスと比べると,衣装を身に着け,慎み深い姿である.このヴィーナスは理想的な「人間性」のシンボルである,という説もある.

20世紀に生きる我々は,容易に理解できるかもしれない.

どんなに科学が発展しても,遺伝子を操作できようとも,宇宙へ行けようとも,その高度な技術を繰るのは人間である.

その人間に「愛」がなければ,どんなに優れた技術であろうとも,悪魔の道具と化してしまう.20世紀の戦いの歴史の中で,我々が学んだことではないか.

ボッティチェリの描く,この優しげではかないヴィーナスほど,広い意味での「愛」を表現しているものはないかもしれない.

この寓意画には,ギリシャ神話の神々が登場している.

右端には西風のゼフュロスがいる.頬をふくらませ,青い顔をして,西風を吹かせ,春を運ぶ神である.

ゼフュロスが抱きつこうとしているのはニンフのクロリスである.ゼフュロスはクロリスに恋してしまったのである.二人は結婚する.

クロリスの口元から,花があふれ出てきている.クロリスは,ゼフュロスの手が触れると,フローラという花の女神に変身する.

フローラへの変身の途中である.そして,クロリスの左隣には,変身し終わった女神フローラが,今にも足を踏み出そうとしている.

ゼフュロスはフローラに花園を与える.「春」の到来である.

左側の三人の女性は「三美神」である.左の女神は「愛欲」,中央は「純潔」,右が「愛」の女神である.

左の「愛欲」と中央の「純潔」は,互いに見つめあい,対立しあっている.右の「愛」が二人の仲を取り持っているのである.

「愛欲」と「純潔」のあい反する性質を,「愛」で統一しているのである.

キューピッド(エロス)は目隠しをしているが,狙いを定めている場所は,「純潔」の頭上である.この目隠しが,愛の不確かさや,愛の負の部分を暗示している.

左端には神の使いであるマーキュリー(ヘルメス)がいる.右端のゼフュロスが暖かな愛の風を吹かし,神の世界に春をもたらすのに対し,マーキュリーがいることで人間と神の間に道を作ってくれて,人間界にも春の訪れを告げてくれる.

ヘルメスは上を向いて,頭上の霧を杖で払っている.理性の神でもあるヘルメスは,霊魂を曇らせる情念の闇を取り払っている,とも考えられる.

作品の題名は『春』であるが,内容は「愛の賛歌」的である.