ギリシャ神話の神々の中でも,最も美しい神アポローン(アポロン Apollo ).
Apollo Belvedere アポローン - Wikipedia Greek Mythology: Apollo
ゼウスとレートー(レト)の子.
古くから牧畜と預言の神,また竪琴の名人で,芸術(あらゆる知的文化的活動)の守護神とされる.ミューズの女神たちが,彼に従っている.
また,弓の名人でもあり金の矢を持つ「遠矢の神」.
人間に初めて医術を教えた医者でもある.
その上,フォエボス(光り輝く)アポローンと呼ばれるように,光明の神であり,真理の神である.太陽の神ヘーリオス(ヘリオス)と同一視され,ローマ時代にはすっかり太陽神と化した.
ニーチェは,理性を司る神としてディオニューソスと対照的な存在と考えた.
月桂樹が聖木.イルカとカラスがお気に入り.
できないことは何も無い?ギリシャ神話一のカッコイイ神です.
が,そこはギリシャ神話.もちろん(?)かなり惨い仕打ちも.
「母を侮辱したニオベー(ニオベ)の子供を,双子の兄弟,アルテミスと共に片端から射殺した ニオベー - Wikipedia 」
「音楽の腕を競ったマルシュアースを生きたまま皮膚を剥いで殺した. マルシュアース - Wikipedia Marsyas - Wikipedia」
女性にもてることでもギリシャ神話一.
英語版ウィキペディアには(Apollo - Wikipedia)恋人/配偶者の名前が60以上掲載されています.
その中には,月桂樹に変わったダフネの名前も.
月桂樹になったダフネ
(以前一部をこのブログでも取りあげましたが,http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2017/02/08/021219再掲します)
テッサリアのペネイオス川の神の娘(アルカディアのラドン川の神の娘,ともいわれる)ダフネは美しいほがらかな乙女だった.
ところがこの乙女は,野山をかけまわって狩りをするのが何よりもすきで,若者たちには目もくれなかった.
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「わたしはアルテミス様のような暮らしがしたいの」
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アルテミスはアポロン兄妹(*)の美しい女神で,狩りが大好きで弓矢をもって野山をかけめぐり,一生を処女で過ごしていた.
(*)生まれたのはアルテミスの方が先,とされています.
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ある日ダフネは,両腕をむきだしにし,膝までしかない短い服をきて,髪をふりみだしながら,獣をおって林をかけぬけていた.
通りかかったアポロンが,ふとそれを見つけた.男のような姿をしていたけれど,ダフネはすばらしく美しかった.
あの娘にきれいな服をきせ,髪をきちんとゆわせたら,どんなに美しいだろう.
そう思ったときには,もうアポロンはダフネを愛してしまっていた.彼はいそいでダフネを追いかけた.
それを見てダフネはあわてて逃げ出した.
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「おとうさん,助けて!」
こう叫びながら,ダフネは川のほうへ走りおりた.とたんに,全身がしびれるような感じにおそわれると同時に,ダフネの足はそこの川岸で動かなくなってしまった.とみるまにダフネの足からは,根がのび,からだは一本の木になって,二本の手からは,青々と葉や枝が芽をふきだした.ダフネは一本の月桂樹にかわっていたのである.
アポロンはびっくりしてこのありさまを見つめていたが,美しい娘が永久に失われてしまったのを嘆いて,やがてこういった.
「美しい娘よ,ぼくはきみをとうとう失ってしまった.
でもきみはやっぱりぼくのものだよ.ぼくはこの木をぼくの木として,この枝で冠をつくり,ぼくのすきな音楽や物語のわざで勝利をえた者を飾ってやるとしよう.そうすれば,きみの名も永久に残るわけだ」
すると,きらきらと輝く美しい月桂樹(ギリシャ語でダフネ)の枝を葉は,よろこんでそれに答えるかのように,しずかに頭をふってさらさらとそよぐのだった.
こうして月桂樹はアポロンの木となり,その後は音楽や物語の技にすぐれた芸術家たちの頭に,この樹の枝をあんでつくった月桂冠をかぶせることになったのである.
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上記の山室静版では触れていませんが,
多くの「ダフネとアポローン」の物語では,導入部分にエロース(キューピット)が出てきます.
また月桂冠は「凱旋する将軍の額を飾る」とされるのが一般的なようです.
例えば,
ギリシア・ローマ神話(トマス・ブルフィンチ,大久保博 訳 角川文庫) の導入では
ダプネーはアポローンの初めての恋人でした.
しかしその恋は偶然生まれたのではなく,エロース(キューピット)の恨みによって生まれたものだったのです.
ある時,アポローンは少年のエロースが自分の弓矢をもてあそんでいるところをみつけました.
アポローンはつい最近ピュトーン(パルナソッス山の大蛇の名前)を退治したばかりで得意になっていた時期でもあったので,少年に向かってこう言いました.
「おい,いたずら坊主.おまえはそんな危ない武器をもってどうしようというのだ.そういうものは,それを持つにふさわしい者にわたすがよい.----
おれの武器に手出しなんかするんじゃない」
アプロディーテーの息子(エロースのこと)は,この言葉を聞くと答えました.
「アポローンさん.あんたの矢はすべてのものを射貫くことができるかもしれませんが,ぼくの矢はあんた自身だって射貫くでしょうよ」
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エロースは鉛の矢(恋をはねつける矢)で河の神ペーネイオスの娘ダプネーというニュンペー(ニンフのこと)を射貫きました.
それから黄金の矢(恋をそそる矢)でアポローンの胸を射貫いたのです.
すると,たちまちアポローンはその処女に対する恋の思いにとらわれてしまいました.
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キューピットの恨みで生まれたとすると,なんだか物語が安っぽく思えないでもありませんが----.
全ての恋心はキューピットの矢のおかげという考え方もあるので,これはこれでOK?
この神話の良いところは,月桂樹に変わったダフネが,アポロンの言葉に喜んでいるところ.
そして,ダフネがアポローンの恋人の1人に数えられていることに納得できます.