カステラ1 カステラは和菓子? 1681年創業の長崎松翁軒のウェブサイトによれば「ぜいたくな砂糖と禁断の卵をたっぷり使った菓子を,長崎の菓子職人たちはさまざまな工夫を加えて,異国風味の和菓子に育て上げました」. 英語版ウィキペディアCastellaでは「カステラとは,安土桃山時代に海外から日本に伝わった『南蛮菓子』をもとに日本で生まれた和菓子の一種」.事典和菓子の世界では,「確かに南蛮菓子という性格上,西洋起源であることは事実.しかし,長い歴史を経て,カステラはすっかり日本独自のものに変化している」

文明堂のカステラを買い求め,久しぶりに食べました.子供の頃から大好きなお菓子の一つです.

 

カステラ1

文明堂という名前の菓子店は,長崎で誕生した1900年創業の老舗ですが,日本全国に広がり,それぞれの地で別会社を立ち上げているとのこと.

私が購入したのは横浜文明堂の品物.

https://www.bunmeido.co.jp/contents/357

「3時のおやつは文明堂」のキャンペーンもあって,カステラといえば文明堂とすり込まれている方も多いかと思いますが,創業は明治.

https://yokohama-bunmeido.co.jp/

精選版日本国語大辞典には,「日本での製造は,長崎本博多町和泉屋長鶴本家が最初といわれ」とありますが,いつ頃作られたかの記載はなし.また,現在ある長崎和泉屋は1956年創業で,カステラ発祥のお店との関係は,ネット上からは不明.https://www.n-izumiya.com/company/companyprofile/

 

江戸時代の前期に創業し,現在まで作り続けている店も知られていて:

 1624年創業:福砂屋

 1681年創業: 松翁軒

それぞれ「カステラ本家」「カステラ元祖」を名乗っていますが,いずれも長崎のお店.

https://www.fukusaya.co.jp/

https://shooken.com/

 

松翁軒のウェブサイトによれば,

https://shooken.com/

:長崎といえばカステラ,カステラといえば長崎.

そのカステラが,遠く遥かなポルトガルからこの国に伝えられたのは,戦国時代もようやく終わろうという1500年代半ば.

ぜいたくな砂糖と禁断の卵をたっぷり使った菓子を,長崎の菓子職人たちはさまざまな工夫を加えて,異国風味の和菓子に育て上げました.

やがてカステラは京,江戸へとひろがり,当時併用へただひとつ開いた窓,長崎の代名詞となってゆきます.

 

そして,この紹介文にあるように,カステラは「異国風味の和菓子」.

洋菓子ではない!

 

和菓子であることは,世界的にも認知されていて,例えば,英語版ウィキペディアには,

castella”の項目が立てられていて,解説の冒頭には次のような文章が:

Castella (カステラ, kasutera) is a kind of wagashi (a Japanese traditional confectionery) developed in Japan based on the "Nanban confectionery" (confectionery imported from abroad to Japan during the Azuchi–Momoyama period).

deepL翻訳

カステラとは,安土桃山時代に海外から日本に伝わった「南蛮菓子」をもとに日本で生まれた和菓子の一種.

 

 

事典和菓子の世界(中山圭子 岩波書店)によれば:

「カステラは和菓子です」というと,同意を得られないことがままある.

その形,食感から,まず洋菓子が連想されてしまうからだろう.確かに南蛮菓子という性格上,西洋起源であることは事実.しかし,長い歴史を経て,カステラはすっかり日本独自のものに変化している.

今や原形とされるスペインのBizcocho(Biscocho)や

https://www.google.com/search? Bizcocho

ポルトガルのPão de Lóとは,味わい・形も全く違うのだ.

https://www.google.com/search? Pao-de-lo

というのも明治時代以降,水飴や蜂蜜を入れ,異国にはないしっとりとした食感のものがつくられるようになったためだ.

形についても,日本ではスペイン・ポルトガルでよく見られる丸形が普及せず,直方体が定番となった.