私たちは働く.生きるため,お金のため,社会のため.雨の日も,風の日も.
それは資本主義のルール.でも---.
NHKBS
「欲望の資本主義2018 闇の力がよみがえるとき」
世界経済のフロントランナー達が紡ぐ,お金と欲望をめぐる物語
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2225527/index.html
欲望の資本主義2018(4) 第4章フォースの覚醒-第5章前半
欲望の資本主義2018(5)第5章イノベーションの呪縛 後半
[以上,前編]
後編
「私たちは欲望と恐怖からできている.だから『もっともっと』となってしまうんだ
「お金が道具ではなく,目的になってしまうんだ.お金はあらゆるものと交換可能だから,人はお金を欲望する.いつのまにか,貯めこむ事が喜びになってしまう」
欲望の資本主義2018(7)第7章 二つの欲望が世界を覆った
「レーガンとサッチャーが革命を起こした.それまでの社会の型を破壊し,変形させたのだ.彼らは『奥徳の栄え』を引き起こす事になる.彼らは強欲を成長の原動力として解き放った」「何十億ドルも扱える投資家.彼らがどんな決定をするかが市場を動かす」
資本主義=資本主義+社会主義? 昨日の資本主義≠今日の資本主義?
「マクロ経済の統計を見ても,イノベーションによる生産性の上昇は認められない.われわれの測定法が間違っているのか.大げさに騒いでいるだけなのか?」「インターネットが何を生み出しているかを考えると,一つは生産者と消費者のマッチングだね.誰もが競争圧力にさらされている.GAFAを除いてね」
「『タデ食う虫も好き好き』と言うように,『価値』というのは難しい.『価格』は分かりやすいが,価値というのは謎だ」
「その昔,ルーティンワークの世界では,『搾取』されるのは体力だった.今ではイノベーションの能力だ.テクノロジーによって,ルーティーンワークは消えつつある.今度は創造力の追求が新たな義務になったのだ」
"生産の形態・条件が社会の構造を決める.テクノロジー,そして,経済の在り方が,社会の,ひいては,人間の有り様を決める" シュンペーターがマルクスの書に見いだした「闇の力」とはこれなのだ.
第10章 ゲームは終わらない 前半
《言葉》
▽ロバート・スキデルスキー(イギリス 経済学者)
「働かない事は,人々を解放するのか.それとも生きる意欲を喪失させるのか.大きな問題だからこそ,誰も正面から向き合おうとしない」
「労働時間が短い事で,所得が減るなら,反対されるだろう.だから,代わりになる所得が必要になる.一つの案は,ベーシックインカムだ.すべての人に無条件で基本給を配る」
▽ルトガー・ブレグマン(オランダ 歴史家・ジャーナリスト)
「実はニクソン大統領は,70年代のはじめベーシックインカムを施行させる寸前だった.当時は,ほとんど誰もがベーシックインカムが施行されることを信じきっていた」
「だが民主党は,もっと高いベーシックインカムにすべきだと主張して折り合わなかった」
「(社会実験の結果では)社会保障費は下がり,犯罪は減少.子供の成績は上がり,人は労働をやめなかった.だけど一つ離婚率は上昇した.50%ほどね.
すると共和党の保守は皆『ベーシックインカムは採用しない』と決めた.---だが,わずか10年後,ある研究者が当時の統計の誤りを発見した.離婚率は上昇してなかった.時すでに遅しだ」
▽カビール・セガール(アメリカ 電子決算サービス企業戦略担当)
「人はいくらかのお金を払って,水を使わせてもらう.公園や空気もそうだよね.なぜお金だけがそうならないんだろう」
「将来,きっと政府がお金を全部持っていて,誰でもそこから直接お金を引き出せるようになるかもね」
「『自由な時間』ほど,豊かに感じる物はない.それこそ,自由な人間だ」
《内容の記録》
第10章 ゲームは終わらない 前半
▽生きること=働くこと を越えて
ロバート・スキデルスキー(イギリス 経済学者 ウォリック大学政治経済学名誉教授 ケインズ研究の権威)
Robert Skidelsky, Baron Skidelsky - Wikipedia
「人は働かない事に対する『恐れ』がある.働かない事は『余暇』ではなく,『失業』と捉えられる.人々にとって,働かない事は所得が減り,生きがいがなくなる事と同じ.仕事でアイデンティティーを得ている人が多いから,大きな問題だ.
仕事を減らす自動化が進む一方,人々はどうすべきか.働かない事は,人々を解放するのか.それとも生きる意欲を喪失させるのか.大きな問題だからこそ,誰も正面から向き合おうとしない」
▽国家が「最低限」の保証をする時.「自由の国」の幻のプラン.
ロバート・スキデルスキー(イギリス 経済学者)
「予測では今存在する仕事の4〜5割が機械に代替される.長期的には,人々の労働時間が減って,20〜25時間になるのだろう.それは,ケインズが1930年代に予想した事だ.彼らの所得はどうなるのだろう.
労働時間が短い事で,所得が減るなら,反対されるだろう.だから,代わりになる所得が必要になる.一つの案は,ベーシックインカムだ.すべての人に無条件で基本給を配る」
ルトガー・ブレグマン(オランダ 歴史家・ジャーナリスト 「週15時間」「国境の開放」など斬新な提案を次々に)
「アメリカの歴史の中で,誰もが忘れている,ある逸話があるんですよ.
実はニクソン大統領は,70年代のはじめベーシックインカムを施行させる寸前だった.当時は,ほとんど誰もがベーシックインカムが施行されることを信じきっていた.有名な左派の経済学者ガルブレイスも賛成していたし,右派では新自由主義者のフリードマンも賛成していた.
誰もが賛成していたから,ニクソンは『僕が大統領になったら,実行する』とね.彼の提案は,二度議会を通過した.だが民主党は,もっと高いベーシックインカムにすべきだと主張して折り合わなかった.二度ともね」
「もう1つの歴史の皮肉は,行われたベーシックインカムの社会実験だ.結果は文句のつけようがなかった.社会保障費は下がり,犯罪は減少.子供の成績は上がり,人は労働をやめなかった.だけど一つ離婚率は上昇した.50%ほどね.
すると共和党の保守は皆『ベーシックインカムは採用しない』と決めた.女性が独立してしまったら,男性は良い結婚生活を送れなくなる.ダメだとね.
こうしてベーシックインカムはアメリカで忘れ去られる事になった.だが,わずか10年後,ある研究者が当時の統計の誤りを発見した.離婚率は上昇してなかった.時すでに遅しだ.
偶然が絡み合った奇妙な歴史だ.もしアメリカがベーシックインカムを採用していたら,影響は計り知れないだろう」
▽時間 有限の貨幣?
カビール・セガール(アメリカ 電子決算サービス企業戦略担当)
https://www.youtube.com/watch?v=EW7YigyxLIM
「水は『公共の資源』だよね.蛇口をひねれば水が出てくる.人はいくらかのお金を払って,水を使わせてもらう.公園や空気もそうだよね.なぜお金だけがそうならないんだろう.
お金は今銀行から配られてるよね.お金を借りられるかどうかを,銀行員が決めるのは,本当にフェアかな?
将来,きっと政府がお金を全部持っていて,誰でもそこから直接お金を引き出せるようになるかもね.皆がユニバーサルインカムのクレジットカードを持っているんだ.誰もが年に5万ドルをもらえていくらかのルールの下に使用できる.自動化で仕事が減る社会では,富を生み出すために皆が働く必要はなくなる.結局,自由に使える時間こそが富だ.まさに有限の貨幣だからね.
『自由な時間』ほど,豊かに感じる物はない.それこそ,自由な人間だ」
欲望の資本主義2018(4) 第4章フォースの覚醒-第5章前半
欲望の資本主義2018(5)第5章イノベーションの呪縛 後半
[以上,前編]
後編