私たちは働く.生きるため,お金のため,社会のため.雨の日も,風の日も.
それは資本主義のルール.
でも---.
『資本主義は,その成功ゆえに,自壊する』ヨーゼフ・シュンペーター
やくしまるえつこさんによる,このようなナレーションで始まった
NHKBS「欲望の資本主義2018 闇の力がよみがえるとき」
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2225527/index.html
経済ど素人の私.
しかし,この「世界経済のフロントランナー達が紡ぐ,お金と欲望をめぐる物語」を興味深く視聴しました.
一章ずつ,気になった発言等を《言葉》として取り出しつつ,音声部分を《内容の記録》として再録していくことにします.整理がつくように見出しを私が選びながら.
後に読み返すことで,私でも何とか理解できることを期待して.
《言葉》導入&第一章
▽「欲望は満たされることを望まない.欲望は増殖を望む」
▽『資本主義は,その成功ゆえに,自壊する』『創造的破壊』ヨーゼフ・シュンペーター :資本主義のエンジンを突き止めた男
▽『資本主義は最強の怪獣だ』『革命を起こせ』カール・マルクス :資本主義の矛盾を突いた男
▽ジョナサン・ストラル(ベンチャー投資家)
「僕らの投資哲学は『デジタル化による効率化』だ.世界をどうもっと効率的にするか.部分的にではなく,一気に.仕事の流れはどう改善するか?お客の生活をどう改善するか?時間とコストの削減に基づいて計測するんだ.そこに絶対的な価値がある」
▽ダニエル・コーエン(経済学者 フランス)
「1つのパラドックスがあることを認めなくてはならない.まず一方に新しいテクノロジーの広がりがある.デジタルの世界はとても活気があり,そのブームは経済を席巻しつつある.だがその一方で,先進国の経済成長はずっと停滞している.
一方にはテクノロジー分野の発展.そして一方には低成長.両者は,この10年間分断されていることが分かる.この逆説はミステリーだ」
「新しいテクノロジーがもたらす果実は,賃金体系のトップにいる一握りの人たちが圧倒的な恩恵を受けている」
「新しいテクノロジーは,大多数の生産性を向上させるどころか,職を奪う.つまり,人々の生産性が失われていくのだ」
「これこそ,今の私たちが直面している状況かもしれない.第三次産業,サービス業の人々は,新しいテクノロジーによって職を奪われ,その後生産性が高い仕事にも就けていない.そこに大きな格差が生まれる.なぜなら,自分の能力が発揮できる仕事が見つからないからだ」
《内容の記録》導入&第一章
私たちは働く.生きるため,お金のため,社会のため.
雨の日も,風の日も.
それは資本主義のルール.
でも---.
『資本主義は,その成功ゆえに,自壊する』ヨーゼフ・シュンペーター
人 モノ 情報
世界が回る お金が回る
やめられない 止まらない
欲望が欲望を生む
欲望の資本主義
ダニエル・コーエン(哲学者 フランス)「創造的であれ.さもなくば,死だ」
『創造的破壊』ヨーゼフ・シュンペーター :資本主義のエンジンを突き止めた男
https://nestoravendano.wordpress.com/page/53/?app-download=ios https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2225527/index.html
トマス・セドラチェック(経済学者 チェコ)「マルクスは,『資本主義は最強の怪獣だ』と言った」
『革命を起こせ』カール・マルクス :資本主義の矛盾を突いた男
https://www.cinra.net/news/20171228-yakushimaruetsuko https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2225527/index.html
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作って使って,作って壊して.
私たちは,何を求めて働いているのか.
「欲望は満たされることを望まない.欲望は増殖を望む」
闇の力が目覚める.
世界経済のフロントランナー達が紡ぐ,お金と欲望をめぐる物語.
第1章 分断する世界
▽資本の増殖をめぐるリアルゲーム
アメリカ・ニューヨーク
STARTUP SPECUTACULAR :起業家と投資家のイベント
資本主義の最前線,資本とアイデアが出会う場所.
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ここからまた新たな富が作り出されるのか?
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ジョナサン・ストラル(ベンチャー投資家 アメリカ 広い人脈を生かしてお金とアイデアを結ぶ.およそ30のベンチャー企業に投資している)
「僕たち投資家は,資金面や経営面でサポートできる」
「投資した会社が買収されれば,大金を得られる.アップルやグーグルやマイクロソフト.あとアリババ.は,そこら中の会社を買いあさっている.そうやって僕ら投資家と企業家は稼ぎをあげるんだ.
そして,大きいアイデアと事業は生き続ける」
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「一日中起業家と会ってるけど,それもカフェでやるんだ.カジュアルにやりたいからね」
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▽作られるのはモノではなくシステム.至上命題は「効率化」.
「僕らの投資哲学は『デジタル化による効率化』だ.世界をどうもっと効率的にするか.部分的にではなく,一気に.仕事の流れはどう改善するか?お客の生活をどう改善するか?時間とコストの削減に基づいて計測するんだ.そこに絶対的な価値がある」
「こんなふうにテクノロジーは世界を変えられる.でもそれができるには基本的なテクノロジーであって,写真シェアのアプリとかではないよ.インターネットを利用すれば,コストも低いし,拡張性も高い.それでトップ1%だけでなく,99%の人々が恩恵を受けられる」
▽資本主義のエンジン,創造と破壊
資本主義とは破壊の連続,日々,新たな技術,新たなビジネスモデルをめぐって競争が続く.
成長の原動力はイノベーション.起業家のイノベーションが生む,創造と破壊.そこに,資本主義の生命力を見いだしたのが,ヨーゼフ・シュンペーター(1883ー1950).
あのケインズ(1883ー1946)と並び称される20世紀の巨人だ.
資本主義のダイナミズムの本質を,生涯,追求し続けた彼がたどりついた資本主義のエンジン---.
『創造的破壊』
創造のためには破壊し続けなくてはならない.それこそが資本主義の掟.
▽世界経済の逆説?
テクノロジーの発展が経済成長をもたらさない?
フランス エコール・ノルマル=パリ経済学院.
安田洋佑(経済学者 日本)
「今,世界経済は多くの問題に直面していますね.先進国の低い低成長率,不平等の広がり,反グローバリズムなど.今最大の問題は何だと思いますか?」
ダニエル・コーエン(経済学者 フランス)
「1つのパラドックスがあることを認めなくてはならない.まず一方に新しいテクノロジーの広がりがある.デジタルの世界はとても活気があり,そのブームは経済を席巻しつつある.だがその一方で,先進国の経済成長はずっと停滞している.
一方にはテクノロジー分野の発展.そして一方には低成長. 両者は,この10年間分断されていることが分かる.この逆説はミステリーだ」
https://www.cinra.net/news/20171228-yakushimaruetsuko https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2225527/index.html
▽強者をさらに強者にする
「楽観的な人はこう言う.『テクノロジー革命はまだ始まったばかり.10年経てば景気促進効果が明らかになる』.
しかし別の見方もある.アメリカをはじめ世界で広がる格差と関連があるというのだ.
新しいテクノロジーがもたらす果実は,賃金体系のトップにいる一握りの人たちが圧倒的な恩恵を受けている.なぜなら,かれらはiPhone1台で,世界中に指示を出したり,クリック1つで金融資産を動かしたりする.
こうしたトップ層は以前よりもはるかに力を増している.いわば,世界を見渡せるようになった」
▽1%の生産性↑,99パーセントの生産性↓
安田洋佑
「新しいテクノロジーが新たな雇用を生むこともあります.全体的な評価はどうですか?」
ダニエル・コーエン
「人口の中核をなす中産階級の人々.つまり.サービス業,銀行,保険会社,役所に勤める人々---.これらは,50-60年代に生まれた仕事だが,かられ中流層は,新しいテクノロジーの恩恵を受けていない.それどころか,テクノロジーは彼らの仕事を時代遅れにし,職を奪っている.かろうじて生き残れるのは,飲食業など比較的賃金の低い仕事だけだ.ロボットやソフトウェアで簡単に置き換えられないからね.
これらを考え合わせると,至る所で新しいテクノロジーが盛況だからといって,経済成長に結びつくわけではないと分かるだろう.新しいテクノロジーは,大多数の生産性を向上させるどころか,職を奪う.つまり,人々の生産性が失われていくのだ」
8人の総資産(約4,268億ドル)
≒ 36億人の総資産(世界人口約74.3億人の約半分の総資産)
加速するテクノロジーの発達.それは,持つ者と持たざる者.その差を広がる一方なのか?
▽失業は社会に緊張をもたらす.
ダニエル・コーエン
「(新しいテクノロジーは,大多数の生産性を向上させるどころか,職を奪う)恐れは常にあった.絶好の例がある.農業を見て見よう,新しテクノロジーにより,世界中の農民の職が奪われたのは明らかだ.先進国の農民は激減した.フランスでは1〜2%ぐらいだろうか.日本でもフランスと同程度だろう.生産性の向上により,労働力が必要なくなったのだ.農民は仕事にあぶれてしまい,彼らは農村を離れ都市部に移ってきた.
それでどうなったか.都市で産業革命が起きていたのだ」
あの時はうまくいった.
欲望の経済史のターニングポイント.産業革命.
蒸気,紡績--- 次々と誕生した産業機械.
工場が農民の受け皿となった.
ダニエル・コーエン
「人々の地方から都市への移動が,経済成長に拍車をかけた.もし都市で産業革命が起きていなかったら,相当な社会的緊張が生まれていただろう.働き口がなかったらどうなっていたことか.
これこそ,今の私たちが直面している状況かもしれない.第三次産業,サービス業の人々は,新しいテクノロジーによって職を奪われ,その後生産性が高い仕事にも就けていない.そこに大きな格差が生まれる.なぜなら,自分の能力が発揮できる仕事が見つからないからだ」
欲望の資本主義2018(4) 第4章フォースの覚醒-第5章前半
欲望の資本主義2018(5)第5章イノベーションの呪縛 後半
[以上,前編]
後編
欲望の資本主義2018(7)第7章 二つの欲望が世界を覆った
欲望の資本主義2018(10)第10章ゲームは終わらない 前半
欲望の資本主義2018(11)第10章ゲームは終わらない 後半
了