先日,秋晴れの日,英勝寺前のススキを求めて散策.
ところが----
10月初めには見事なススキが生い茂っていた線路際の土手.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/10/04/234548
僅か2週間余りの間に,主役はセイタカアワダチソウに置き換わっていました.
恐るべしセイタカアワダチソウ.
花はそれなりに美しく,第一次大戦前に鑑賞用に導入されたとか( 世界大百科事典第二版 セイタカアワダチソウとは - コトバンク ).
しかし,現在は嫌われ者植物として一二を争っているのでは?
まず,背が高すぎます.威圧的に見えます.そしてどこへでも侵入して群生する.
一旦侵入を許すと,並大抵のことでは駆除できないという苦い思い出があります.
ただ,調べてみると,一旦嫌われるとあらぬ疑いをかけられてしまうという可哀相な一面も.
可哀相な例1.花粉症を引き起こす?
花粉症の犯人と疑われたことがあります.しかし,欧米の花粉症ナンバーワンのブタクサが風媒花であるのに対し,セイタカアワダチソウは虫媒花ということで,その疑いは濡れ衣とされています(例えば ニッポニカ セイタカアワダチソウとは - コトバンク).
セイタカアワダチソウ:風ではこばれるのは種子だけなんですね.
可哀相な例2. 毒を持って他の植物を排除?
「セイタカアワダチソウが繁茂して群落をつくり、他の植物を排除するのは、この植物の根から分泌される2‐シス‐デヒドロマトリカリアエステルによるものであり、遠隔作用(アレロパシーallelopathy /他感作用)の一例である」(遠隔作用(生物)とは - コトバンク)
かなり信頼性の高い百科事典にも記載されている「アレロパシーによる他の植物排除説」は当然ネット上でも広まっていて,当分改められないと思いますが---
日本植物生理学会のみんなの広場では,九州大学の久米篤先生が次のように解説しています.
セイタカアワダチソウのアレロパシーと自家中毒について | みんなのひろば | 日本植物生理学会
「 アレロパシーは、植物が隣接して生育している競争者に負の影響を与える現象と定義されることもありますが、『化学物質を介した植物と植物の間の相互作用』というように、より広い化学的相互作用としてとらえられるようになっています。
その理由は、化学物質による他感作用は特定の植物種だけにみられるものではなく、ほとんどの植物が、程度の差はあれ、何らかの相互作用をしていることが分ってきたからです。
また、その効果が経年的に継続することは稀で、その植物の生育期間中に限られることが多いようです。
アレロパシーによる自家中毒という話も、実験室レベルでは検出できますが、実際の野外ではその効果を検証することは、一般に難しい程度の影響がほとんどです」
そして,セイタカアワダチソウが群落を作る力が強い要因として次の2点を挙げています.
1.効率的な種子散布: 風散布種子を持ち、風によって広範囲に運ばれ、日当たりの良い空き地でいち早く芽を出す.
2.密生し、根茎で広がるため、他の種の侵入や生長がしばらくの間は抑えられる.
どこまでも広がってしまいそうに見えるセイタカアワダチソウですが,そもそも,冬越しの時に光を覆われると勢力が衰えやすいし,貧栄養の環境での競争力は高くないとのことです.
どうしても好きにはなれませんが,嫌いすぎないようにした方が良さそうですね.
キク科ですが,キクよりシオンに近い仲間.
ハルジオン,ヒメジョオン,アレチノギクなど,お馴染みの花たちが近縁植物.