鎌倉瑞泉寺の山門近くで,ケイトウに出逢いました.小さいながら,雑草に覆われた一角で,鮮やかな赤が目立っていました.
ケイトウの以前の品種は「鶏頭」という名前が似合う姿でしたが---
最近の品種は,小さいながら美しく咲いてくれますね.
ニッポニカによれば,
万葉集に「韓藍(からあい)」として詠われているように,古くから移入されていて,はじめ食用だったとのこと(後述の,山田卓三先生によれば,はじめ「染料」だったとのことですが).
アジアの熱帯地方などが原産で,野菜から花卉(かき:観賞用被子植物)に改良された.
『万葉集』の「韓藍(からあい)」をケイトウとする見方に従えば,渡来は古い.江戸時代にはまだ食用の名残があり,貝原益軒は『菜譜(さいふ)』(1704)で「若葉をゆでて,しょうゆにひたして食べると,ヒユよりうまいが,和(あ)え物としてはヒユに劣る」と述べる.
近縁にアマランサス属.この属の植物アマランサスの種子は「穀物」.また葉と茎は「野菜」.
Amaranth - Wikipedia アマランサス - Wikipedia
ハゲイトウはこのアマランサス属で,こちらも食用になっていたことが知られています.
万葉集には,「韓藍(からあい)」として四首詠われています.
万葉集 巻10 2282
恋(こ)ふる日の 日(け)長くしあれば 我が園の 韓藍(からあゐ)の花の 色に出でにけり 作者不詳
▽楽しい万葉集
恋する日々が長く続いたものだから,私の庭の韓藍(からあゐ)の花のように,顔色にでてしまいました.
▽山田卓三「万葉植物つれづれ(大悠社)」
恋しく思い続ける気持ちを庭の鮮やかなケイトウの花に重ねています.
ケイトウは熱帯アジア原産で,日本には古く染料(韓藍)として移入され,写し染めの原料として,また,観賞用としても早くから栽培されていたようです.
ケイトウは鶏頭で,
花軸が帯化(石化)し,鶏のとさかのような形になるためにつけられた名前です.花色は「韓藍の色に出にけり」とあるように,目にしみるような目立つ鮮やかな濃い紅色をしています.このため,熱烈な恋や若い美しい女性を表すものとして詠まれています.
黄色の品種もありますが,赤が基本です.
ケイトウは
ナデシコ目 Caryophyllales, Amaranthoideae亜科
ヒユ科 Amaranthaceae,
ケイトウ属 Celosia