5月の連休に入りましたが,新型コロナウイルス感染は更に拡大しつつあります.
今日の報道では,全国の重症者患者が過去最高を更新したとのこと.変異株の広がりが1番の理由と考えられています.(下記引用:NHK News Web “新型コロナ重症者 全国で1050人に 1月27日を上回り過去最多”)
もう何ヶ月も前から,変異株の脅威については語られてきたのに----
(アドバイザリーボードの資料には4月7日になってようやく変異株の資料が加わった!それまでは回収されていたそうです.何故?
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/04/11/020747 )
昨秋以降,後手後手を踏んでいる日本の感染対策が恨めしい---.
https://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2021/04/26/233504
世界でも感染は拡大し,感染者数は5月1日現在1億5千万を超え,死亡者は329万人(Our World in Data COVID-19 Data Explorer - Our World in Data ).
特にインドでの感染拡大が注目を集めています.
(下記引用:BBC “なぜインドの感染危機は世界全体の問題なのか”)
このインドの感染拡大にも新たな変異株が関与しており,このインド型変異株はアジア人の免疫からのがれる性質を持つとの仮説も出されています.
(下記引用:東京新聞 “インド変異株の発現は「アジア人の免疫から逃れるため」? 日本人6割で免疫低下か”)
ただし,この仮説は日本の研究者によるもので,世界的なレベルでは余り話題になっていません.現在のところ.
加えて---
この仮説は,細胞性免疫が弱くなるという仮説で,免疫を持たない人のかかりやすさ/かかりにくさとは無関係(=一部の人が唱える“ファクターエックス”とは無関係).また,感染した後の重症化率は世界でそれほど大きな違いはなく,アジア人が重症化しにくいというエビデンスは存在しないと思います.
一方,日本で現在猛威を振るっている“イギリス型”変異株と従来株では,重症化率が異なるという報告が相次いでいます.
なお,ファイザーのワクチンは,インド株にも有効とのこと.
ワクチン、インド変異株に効果 独ビオンテックCEO:時事ドットコム
mRNAワクチンは,今のところどの変異株にも有効のようです.優れものですね.
変異ウイルスの特徴
フィリピン変異株の特徴は?イギリス、南アフリカ、ブラジル変異株の特徴や国内での状況は?変異株Q&A(忽那賢志) - 個人 - Yahoo!ニュース
https://www.tokyo-np.co.jp/article/101453
新型コロナ重症者 全国で1050人に 1月27日を上回り過去最多
NHK News Web 2021年5月2日 18時46分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210502/k10013010231000.html
厚生労働省によりますと,新型コロナウイルスへの感染が確認された人で,人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどしている重症者は,2日時点で1050人となりました.1日から30人増え,ことし1月27日時点の1043人を上回ってこれまでで最も多くなりました.
専門家は変異ウイルスの影響を指摘
国内の新型コロナウイルスによる重症者の数がこれまでで最も多くなったことについて,専門家は変異ウイルスの影響を指摘しています.
感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「変異ウイルスが広がっていることが一番の理由ではないかと思う.これまでは,感染してから重症化するまで2週間ほどかかり,重症者の数は遅れて増えてくるという認識だったが,最近はいきなり重症化するケースも多いようだ」と指摘しています.
濱田特任教授によりますと,変異ウイルスが重症化しやすいかどうかについては,まだ,確立した科学的な証拠はないということです.
一方,4月,ヨーロッパの公衆衛生に関する専門誌に掲載された論文では,イギリスで最初に確認された変異ウイルスは若い世代でも,従来に比べて重症化しやすくなっていることを示唆するデータが報告され,注目されているということで,濱田特任教授は「変異ウイルスは,感染力が強いだけでなく重症化しやすいという見方が多くなっている」と話していました.
また,このほかの要因について,濱田特任教授は「感染者数が増えたことで軽症者や無症状者をキャッチできておらず,いわば氷山の一角しか捉えられていないため,重症者が多いように見えている可能性も否定できない」と話していました.
西村経済再生相「重症者 さらに増えること想定し国も支援」
以下略
変異ウイルスの特徴
フィリピン変異株の特徴は?イギリス、南アフリカ、ブラジル変異株の特徴や国内での状況は?変異株Q&A(忽那賢志) - 個人 - Yahoo!ニュース
https://www.tokyo-np.co.jp/article/101453
なぜインドの感染危機は世界全体の問題なのか
2021年4月28日
BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/56876349
インドの新型コロナウイルス感染拡大の惨状が,世界に衝撃を与えている.だが,危機はインドだけの話ではない.
「新型ウイルスは国境や国籍,年齢,性別,信仰をまったく配慮しない」と,世界保健機関(WHO)の主任科学者ソミヤ・スワミナサン博士は言う.
「いまインドで起きていることは,残念ながら,他の国々でも起きている」
新型ウイルスのパンデミックは,世界各国がいかに絡み合っているかを知らしめた.1つの国で感染が急拡大すれば,他の国にも広がる可能性が高い.
渡航制限や複数の検査,隔離を実施しても,他国への感染拡大は抑え込めない.感染者が多い国からやって来る人は,一緒に新型ウイルスも連れて来る可能性が高い.インド・ニューデリーから香港に向かった最近のフライトでは,乗客50人ほどが新型ウイルス検査で陽性と判定された.
インドの感染拡大では,気がかりなことが他にもある.変異株だ.
「B.1.617」という名の新たな変異株がインドで発生している.ウイルスのスパイクタンパク質で2つの主要な変異が起きていることから「二重変異株」とも呼ばれている.わずかに感染力が強く,抗体の防御力が効きにくいとする研究結果が出ており,科学者らは免疫力がどれだけ失われるかを調べている.
「これがワクチンで止められない変異だとする証拠はないと思う」と,英ウェルカム・サンガー研究所のCOVID-19遺伝子プロジェクトでディレクターを務めるジェフ・バレット博士は,BBCに話した.
「もちろん注意は必要だが,パニックに陥る理由は,今はない」
ただ,感染者が多いほど,新たな変異株が出現する可能性は高い.ウイルスは誰かに感染するたびに,進化のチャンスを得るからだ.いま,ワクチンが効かない変異が起きるのではないかと懸念されている.
「変異株の発生を抑えるには,私たちの間でウイルスを複製させないことだ(中略)変異株を制御する最善の方法は,現在の世界の感染者数を制御することだ」と,COVID-19ゲノミクスUK(COG-UK)のシャロン・ピーコック教授は説明する.
それを実現するには,ロックダウンと社会的距離の確保が有効だ.ただ,ワクチン接種も欠かせない.
インドではそれがスローペースで実施されている.1回目のワクチン接種を済ませたのは国民の10%に満たず,2回とも終えた人は2%にも届かない.
インドには世界最大のワクチン製造所であるセラム研究所があるにもかかわらず,これが現状だ.そしてその影響は,世界全体に波及している.
ワクチン輸出停止の影響
インドで感染が再び急拡大し始めた3月,当局はイギリスのオックスフォード大学とアストラゼネカが開発したワクチンの輸出をストップした.
これにより,国連の支援を受けたワクチン公平分配プログラムCOVAXによる,中低所得国へのワクチン供給も滞った.COVAXに関わっている「ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)」は26日,インドの供給再開を待っていると話した.
影響は多くの国のワクチン接種に及ぶ.インドは国内におけるワクチン製造のペースを速め,ワクチンを国民のために優先的に使おうとしている.
科学者らは,インドの切迫した状況を考えると,優先策は妥当だとしている.
「ワクチン接種を早急に強化しなければ,新型ウイルスはあらゆる手段で人から人への感染を拡大しようとする」とWHOのスワミネイサン博士は言う.
世界的にパンデミックは,勢いを弱める気配がない.新型ウイルスはいろんな国に次々と大打撃を与えている.
インドの状況は,誰もが安全になるまで誰も安全ではないという,厳しい事実を改めて思い起こさせている.
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https://www.bbc.com/japanese/56876349
インド変異株の発現は「アジア人の免疫から逃れるため」? 日本人6割で免疫低下か
<新型コロナ>
東京新聞 2021年5月1日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/101453
インド由来の新型コロナウイルス変異株が,英国株に続く「脅威」となると専門家が危ぶんでいる.日本人に多い白血球の型による免疫が効きにくくなると指摘されるからだ.インド株は既に空港検疫だけでなく,東京都内で見つかっている.感染力は英国株を上回るという報告もあり,政府は警戒を強める.(沢田千秋)
インドの感染,1日34万人
「毎朝,知人の誰かが亡くなったと知らされる」.英BBC放送は連日,インドの惨状を伝える.最近の1週間平均では1日約34万人の感染が判明し,約2600人が死亡.病院のベッドが埋まり,入院できない大勢が路上で酸素吸入を受けている.
大規模イベントの影響に加え,インド株の感染力の強さが関係した可能性がある.世界保健機関(WHO)は4月下旬,インド株を「VOI(注目すべき変異株)」に指定した.警戒対象としては,英国株が指定されている「VOC(懸念すべき変異株)」の一段階下の扱いだ.
日本でも同時期,国立感染症研究所がインド株を「VOI」に指定.感染研によると,国内でインド株は空港検疫で20人,都内では80代女性1人から見つかった.
「免疫細胞から逃れる能力」示す実験結果
インド株には「L452R」と「E484Q」という2つの特徴的な変異がみられる.東京大や熊本大などの研究チーム「G2P―Japan」は4月,L452R変異は,日本人の6割が持つ白血球の型「HLA(ヒト白血球抗原)―A24」がつくる免疫細胞から逃れる能力があるという実験結果を発表した.
これは,6割の日本人がインド株に対して免疫低下の可能性があることを意味する.研究チームによる別の実験では,L452R変異が人の細胞とくっつきやすく,感染力が高いことが分かったという.
L452R変異は,米カリフォルニア州から全米に広がった変異株からも見つかっている.研究チームは「HLA―A24は東アジア人に多く,カリフォルニア州は米国で最もアジア人が多い.L452R変異はアジア人の免疫から逃れるために発現したとも仮定できる」と指摘する.
インドからの水際対策に課題
インドのニュースサイト「プリント」の報道によると,同国ではインド株が英国株を凌駕し,置き換わりが起きたという.日本では関西圏で英国株による感染再拡大が起き,首都圏にも広がっている.インド株が英国株の感染力を上回れば,今後,国内でも拡大する可能性が出てくる.
政府は28日,インドからの入国者の水際対策を強化した.だが,現在行われている変異株PCR検査は,英国株などが持つ「N501Y」変異しか検出できない.インド株を見分けるには,結果判明まで1~2週間かかるゲノム(全遺伝情報)解析が必要で,感染実態を把握するためにも,感染研はインド株を検出できるPCR検査の導入を検討中だ.
研究チームを主催する東大医科学研究所の佐藤佳准教授は「日本はこれまで,欧米に比べて感染者数や死者は少なかったが,L452R変異が脅威となる可能性がある」と話し,徹底した調査を求めている.