「奥原さえ子さんと,その支援者の皆さんにお越しいただきました.よろしくお願いします」「よろしくお願いします.ありがとうございました」「終わってない,終わってない」「聞いてないようで,すごく聞いてて,自分も参加してるよ,みたいな」「刺された.『それ,当たり前やろ』.世間がね.そんなことになるのはおかしいし,さえ子さん知らへんから,そんなことが言えるんちゃうん?」「楽しかったら手を上げて下さい」「は〜い」(拳を握ったまま)NHKEテレ/バリバラ 障害者殺傷事件3年 まちで暮らす 4

障害者殺傷事件3年 まちで暮らす NHKEテレ/バリバラ

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NHK バリバラ | 番組紹介

初回放送 2019年7月25日(木)夜8:00

アンコール 2019年12月5日(木)夜8:00

 

 今から3年前(2016年7月26日),相模原市の障害者入所施設で,19人が殺害される事件が起きた.「障害者は不幸しか生まない」 元職員の男の言葉が,衝撃を与えた.

障害のある人は,事件をどう思っているのか?「バリバラ」は取材をしてきた.

 

NHKEテレ/バリバラ 障害者殺傷事件3年 まちで暮らす 1

( + NHK首都圏ネットワーク「やまゆり園」運営法人見直しへ)

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/12/06/234622

重傷を負った尾野一矢さん.ある決断を迫られている.「施設に戻ることは考えていない?」「ないです.ぜひ,一矢にも健常の人と同じようなね,暮らすことをさせてあげたいな」ここへは戻らないことにした尾野さん.

実は2年前に取材したときには,全く逆の考えだった.

 

NHKEテレ/バリバラ 障害者殺傷事件3年 まちで暮らす 2

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/12/07/224151

一人暮らしに向けて,一矢さんは,去年夏から,定期的にヘルパーと過ごしている.施設で暮らしてきた一矢さん.食事を自分で選べる生活ではなかった.一矢さん「これ」 ヘルパー「前は言わなかった自分の意思を,やりとりする場面が出てきたりしているみたいですよ」 

自立に向けて〈point 本人の意思を確かめるのが難しい!〉〈point “一人暮らし”の理解,選択が難しい.⇒まず体験させる〉〈point 子ども時代から“ヘルパー付き自立”を体験〉

 

NHKEテレ/バリバラ 障害者殺傷事件3年 まちで暮らす 3

http://yachikusakusaki.hatenablog.com/entry/2019/12/08/234127

一人暮らしを選んだ後,実際どうやって生活を作っていくのか? 奥原さえ子さん.重い知的障害と自閉症があり,言葉で意思を伝えるのが難しい.ヘルパーが交代で付き添うさえ子さんの自立生活. 19年前に始まった.母親が亡くなり,父親も体調を崩してしまった.急きょ始まった自立生活では,問題が続出.答えが見つからなくても,さえ子さんの生活は続く.日々,現場で試行錯誤をくり返してきた.

ヘルパー「フフフフフフ.魅力的な人なので,楽しい」

 

 

NHKEテレ/バリバラ 障害者殺傷事件3年 まちで暮らす 4

 

大西瞳(番組MC/義足のパラリンンピアン)「今日は,奥原さえ子さんと,その支援者の皆さんにお越しいただきました.よろしくお願いします」

大西瞳・山本シュウ(番組MC/おせっかい運動推進中・ラジオDJ)「よろしくお願いします」

山本シュウ「さえ子さん.レモンさんこと,山本シュウと申します」

さえ子さん「よろしくお願いします.ありがとうございました」

山本シュウ「終わってない,終わってない,終わってない,終わってないよ.

さあ,藤原さんは,さえ子さんが自立する前,なんと,20年以上のつきあいやって」

藤原刀季子さん(ヘルパー/元作業所スタッフ)「自立生活,始めたころは,もう,ヘルパーは噛む,毎日噛まれるみたいな感じだし,外に行けば,全然知らない人も噛むというのもあって,もう,訳が分からない---」

山本シュウ「訳が分からないですね」

藤原さん「(そういう)状態が続いたのが,今は,本当に,1年に1回,噛むか噛まないかくらいまで.甘えてきたりもされるし---」

さえ子さん「それでいいの!それでいいの!」(笑い)

山本シュウ「それでいいと思います」

藤原さん「すごく----」

さえ子さん「それでいいの!」

山本シュウ「それでいいのだ!それでいいのだ!」

さえ子さん「それでいいの!合格!」

山本シュウ「合格ですか.よかったです.

いろんな言葉,バーッと吐くけど,何か,一応の筋は見てますよ的な空気感ありますね」

藤原さん「聞いてないようで,すごく聞いてて,自分も参加してるよ,みたいな」

山本シュウ「レモンさん,OKだと思う人」

さえ子さん「レモンさん.OK.は〜い」

山本シュウ「今,誘導したやろ.これが難しい」

さえ子さん「湯豆腐」

山本シュウ「湯豆腐!楽しいやん.一緒におったら」

 

大西瞳「後ろにですね,いらっしゃる水上さんは,ヘルパーの中で一番若くて,今年,なんと7年目なんですよね」

山本シュウ「でも,ぶっちゃけ,『腹立つな〜』って時もあるでしょ?

水上さん「そうですね.何で,今,こんな,困ってるんだろとかいうことも,やっぱ,たくさんあって,それで,不穏になられたりすることも,やっぱり,あるんです.

でも,表情とか,しぐさとか見て,それを分かった時,分かった瞬間とかは,やっぱ,通じ合えたとか」

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http://www6.nhk.or.jp/baribara/lineup/single.html?i=1109

山本シュウ「うれしい?」

水上さん「はい,そうですね」

 

櫻原さん(20年以上,知的障害者の自立を支援)「実際にあったエピソードで,すごく行動障害のある方と,いつも,通所作業所から土手道を歩いて帰る.で,その方は,通行人の人と,すれ違うときに,パッとつかんじゃうみたいなことがあって,その人が言葉が出ないので,大体『パッパッ』ていうふうに声を出して.

ある時,ヘルパーの一人が,どうも通行人とすれ違うときも,パッと声をかけることがあるみたいだよ.もしかしたら,それは,本人が,通行人に挨拶をしたいんじゃないか.

じゃあ,通行人に対して,彼がパッという声かけをしたら,ヘルパーがその相手に対して,『こんにちは』って挨拶をしようっていうことをやってみたら,彼の行動障害は,グッと減ったんですね」

一同「へ〜」

櫻原さん「ちゃんと,本人が,どこに意思があるんだろうか,どんなことを思ってるんだろうかって考えながら,表現をサポートしていくっていうような,そんな,エピソードが,ありました」

 

地域で当たり前に暮らせるようにするには,社会の側にも課題があるそう.

さえ子さんを支援する事業所の太田さんにも話を聞いてみたわよ.

太田さん「別の方で,自立生活をしている方の件なんですけどね.家のドアの隙間に,手紙が差しこまれてましてね.

見て見ると,『専門的な施設に行かれた方がいいんではないでしょうか』と書いてあったと.

これは,おそらく近隣の方でね,悪意無くね,よかれと思ってされたのかなという風に思うんですけど,まだまだ,障害のある人が,地域に当たり前に存在するということが,まあ,認められていないというかね」

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http://www6.nhk.or.jp/baribara/lineup/single.html?i=1109

山本シュウ「なるほどね.まあ,とは言えですよ.その手紙入れた人の気持ちっていうのも,分かるよなっていうのも分かるんですよね」

太田さん「人間の心理として,分からないものに対しての不安とか恐怖心っていうのがあるので.

挨拶をするっていう,日常的なコミュニケーションをどれだけ頻繁にやるかっていうところが,結構大きいのかなって」

 

山本シュウ「あの〜,本当に相模原の事件から3年ということで,何を伝えたいですか?」

藤原さん「例えば,その施設じゃなくっても,一人暮らしをしてても,そういうことがありえるかもしれないじゃないですか.そんな声出されたら,もう,居てもたってもいられへんわっていう人が,沢山いるかもしれない.で,刺された.『それ,当たり前やろ』みたいな.世間がね.そんなことになるのはおかしいし,知らへんから」

山本シュウ「知らへんやん」

藤原さん「そう,さえ子さん知らへんから,そんなことが言えるんちゃうん?みたいなことは言いたい」

 

玉木幸典(バリバラご意見番/障害者相談支援専門員)『一緒に生きる』っていうことは,どういうことなのか,とか,4年5年たっても同じモチベーションで考え続けていくことで,いい方向に変わっていけばいいのかな,って僕は思うけど」

井上シュウ「最後になりましたけども,さえ子さん,今日は楽しかったですか?」

さえ子さん「楽しかったですか?」

井上シュウ「楽しかったら手を上げて下さい」

さえ子さん「は〜い」(こぶしを握ったまま,手を上げる)

井上シュウ「イエ〜イ.もう,ぐうできました」

(拍手)