「まだ口,サンショウですね.もうお茶っ葉の味がどっかいっちゃったもん」「ははははは.また,一からお茶味わえるから,いいじゃないですか」
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続いては
2軒目「元プロボクサー農家の簡単おいしい茶工場ごはん!」
迎えたのは
お茶農家53年の山下和夫さん,妻正子さん,長男光之さん.
「あん中に,元プロボクサーいます?」
「すみませんよろしくお願いします」「よろしくお願いします」
「あらら-----明るいお母さん.よろしくお願いします」「うわ〜ありがとう.いつもテレビで見させてもらって」
「あの誰が元プロボクサーなんですか?---(和夫さんが長男を指したので)えっ!」「(やせている)お父さんの方が---」「てっきり昔やっていたのかと.こっとが元プロボクサー?」「そうです.(お腹を抱えながら)ちょっとリバウンドで大きくなっちゃいました」
「成績は?成績」「成績はですね.9戦して6勝3敗1KOです」「あら.めちゃ強いやん」「一応,最後の試合の相手が,2対1の判定で,負けちゃったんですけど,その相手が日本チャンピオンまでいってる」「あ〜らスゴイ」
もともといつかは実家の農業を継ごうと思っていた光之さん.その試合をきっかけに,きっぱりボクシングをやめたそうです.
「そして,この後ろが茶工場でいいんですか?ちょっと案内してもらって説明してもらっていいですか?」「はい」「お願いします」
(皆より遅れて,わざわざ梅沢さんと握手しに駆け寄る正子さん)
ここは摘んできたお茶の葉を加工する工場.これも農家さんの仕事なんですね.
「すごいな,お茶の香り.わは.お茶の香りがスゴイじゃない」
「これが摘んできたお茶の葉っぱです」
葉っぱは,まず蒸気で蒸して青臭さを取り除き,香りを引き出していきます.
「あ〜あったかい.甘い香りがします」
蒸した葉は熱風で水分を飛ばしながら,数回に分けてもんでいきます.
もむことで,さらに香りを立たせ,うまみを引き出すことができるんですって.
機械任せではなく,手で感触を確かめながら,もむ時間を微調整しているそうなんです.
「人肌,35~37℃くらい.赤ちゃんのような肌になるようにもんでいく(もむ工程を四回行う)」
「これになるんですか」
「できあがったお茶でございます.もしよかったらこれも香りを.全然また---」「全然ちゃう」「ばっさばさになってる.おうこれですよ」「これぞお茶の香りでしょ?」
「これこれ,お茶の香り」「これですこれですこれです」
「昔はね,全部手作業でこれをやってたんですけれど」「こうやってね,手もみしてね」「これを今,機械化されて」
それでは早速,茶工場ごはんを頂きましょう.
つくってくれるのは,野菜ソムリエの資格を持つ長男の妻尚美さん.
「茶工場ごはんっていうのはどういうものなんですか?」
「そうですね.ふだん,やっぱ,今ご覧になっていただいたと思うんですけど,お茶仕事始まると休みがないんですね.機械が動いていると,そのお茶の様子を,常に気にかけてなきゃいけないので,茶工場の中にごはんを運んでいって」
「簡単に食べれる」「そうです」
「賄いみたいな感じなんですね」「そうですね」
「これ佃煮ですか?」「今から,ちょっと火にかけてつくりたいと思います」
一品目は
料理1: 茶殻のつくだ煮
材料: 茶殻(40g),干ししいたけ(20g),しょうが(10g),しいたけの戻し汁(100ml)
調味料: しょうゆ・砂糖(各大さじ3)
作り方:
(1)干ししいたけは水で戻しておく.
(2)(1)としょうがをみじん切りにする.
(3)鍋に全ての材料,しいたけの戻し汁を入れ,中火で汁気が少なくなるまで煮詰めれば完成.
「このあたりの人は,これやってるんですか?」
「お茶っ葉を食べようと思ったら,大体,まず佃煮っていうかんじですね」
「お茶っ葉を食べようっていう発想がすごい」
「お茶ってビタミンCが多いって有名じゃないですか.ビタミンCはお湯でこう出すとお茶に出てくるんですけど,お茶っ葉の中に水では溶けない脂溶性のビタミン(カロテン,ビタミンEなど)(+食物繊維)がたっぷり入っているので---」
「いいじゃないですか,体にいいじゃないですか」
茶殻を食べれば,お茶の栄養も丸ごといただけるっていうわけですね.
「お名前なんていうんですか?」「フフフフ」「山下泰輝です」「泰輝君はお茶好きですか?」(うなずく)
「水筒毎日もってくんですけど,水筒の中身は全部うちのお茶」「渋いな」「渋い子だね」
「この辺の地域は皆さんそうですね.お茶が当たり前なので」
できあがりました.
「茶殻の佃煮」
に加えて
「茶飯おにぎり」「茶殻のポタージュ」
料理2: 茶飯おにぎり
材料: 煎茶(10g),米(3合)
調味料: 塩(小さじ1強)
作り方:
(1)米をといで,通常の量の水を入れる.
(2)煎茶をミルで粗くひき,塩と一緒に(1)に入れて炊けば完成.
料理3: 茶殻のポタージュ
材料: 茶殻(40g),じゃがいも(100g),たまねぎ(40g),オリーブオイル(大さじ1),豆乳(350cc),重曹(少々),粉チーズ(適量),水(適量)
調味料:砂糖(1つまみ),塩こしょう(適量)
作り方:
(1)たまねぎを薄切りに,じゃがいもを薄いいちょう切りにする.
(2)オリーブオイルを入れてたまねぎを炒め,透き通ってきたらじゃがいもを入れて炒める.
(3)(2)にひたるくらいに水を入れ,じゃがいもに火が通ったら,茶殻,豆乳,重曹,粉チーズ,砂糖を入れて温める.
(4)(3)をミキサーに20秒ほどかけ,鍋に戻して塩こしょうで味を調えれば完成.
まずは茶殻の佃煮から.
「これ,うまい」「あ,おいしい」「初めてやな,お茶っ葉の佃煮.お茶っ葉を食べるっていう」
茶飯おにぎりはいかがでしょうか?
「お茶っ葉を食べてるって感じ」「茶飯,香ばしくって美味しいですね」
茶殻のポタージュ
「初めてですよ.ポタージュでお茶っ葉.あっ.ちゃんとお茶が主張しているよ」
「大人向けのポタージュですね」
「やりがいのある仕事ですか?」
「なんで,農家継いだかっていうのは,両親がほんとに楽しそうに仕事やってたっていうのと---
特にお茶をもんでるときの両親を見て,自分もこうなりたいなっていう憧れがあって---.
この農業継げたので」
「いい言葉だな〜」「いいじゃないですか」
「子供たちの中におばあちゃんがいてるの,今気づきました.意外と同化して分かんなかったですよ」
「おばあちゃんおったの?」
「またいい顔して笑ってますよ」
付録
お茶は乾燥の工程を経ているため,栄養素が濃縮されている.
この濃縮されている数字だけを見て.「お茶には栄養素が多い」とすると勘違いを生みかねないので,注意した方が良いでしょう.
しかし,生葉に換算しても,かなりの栄養素(ビタミンC,脂溶性ビタミン,鉄分,食物繊維)を含んでいることは確かです.