おでんの命はうまいだし.
琥珀色の世界に浮かぶ,目にもうれしいおでん種(だね).
そして心もなごむおでん空間.
さあ一緒に味わい尽くしましょう.
NHKBSプレミアム 美の壺「おでん」
おでんは今や日本人のソウルフード.地方ごとにご当地おでんを生み出してきました.
静岡は,牛スジで出しをとった濃いおでん.主役は黒はんぺん.青のりとだし粉がアクセントです.
こちらは金沢のおでん.だしをいっぱいに吸い込んだ大きな車麩(くるまふ)と赤巻きという鮮やかな色の蒲鉾が特徴です.
https://twitter.com/nhk_pr/status/931156174128517121?lang=ar https://icotto.jp/presses/11166
日本料理に詳しい奥村 彪生(あやお)さん
おでんのルーツは室町時代に京都で生まれたという豆腐田楽.それが宮中に伝わり「お」がつけられ,「おでん」と呼ばれるように.
歴史:おでんの歴史 【おでん】教室 紀文アカデミー 紀文食品
江戸時代になると豆腐に代わってコンニャクに味噌をつけたものに.
そして,
「しょうゆ.この醬油の技術が関西から伝わり,大量生産が行われ江戸の出回る」
「江戸は何と言ってもかつお節.そして濃い口しょうゆ.しょうゆを使うこと自体がごちそう.そこにみりんが加わりよりごちそう.砂糖が加わってよりよりごちそう.甘いがうまいという甘辛に仕立てた」
江戸のおでんだねは,里いも,コンニャク,豆腐にはんぺん.串に刺して--.
ファストフードのように好まれたと言います.
おでんの味は歴史と共に変わっていきました.
壺一 時の流れを染みこませ
お江戸日本橋.ビルの谷間に老舗のおでん屋があります.
客「味が濃くてビールが進みます」「味の濃い豆腐を食べる機会はめったにない」「お出汁がめちゃうまいです」
関東を代表する甘辛いおでん.
http://s.webry.info/sp/manpuku.at.webry.info/200905/article_10.html http://narashi.blog.jp/archives/51519770.htm お多幸 日本橋 安いけどお多幸 日本橋「お多幸本店」 : 習志野習志の食日記 ※休止中※
大正時代に関西へ.関東から来たので関東炊き(かんとだき,あるいは,かんとうだき)と呼ばれ味の濃さが人気.この店も関西が発祥で,大正12年,東京にやって来ました.そのきっかけが関東大震災.震災の炊き出しで大量の料理人が東京へ.身も心も温まるカント炊きは復興の力に.
この店の自慢はおでんつゆ.継ぎ足し継ぎ足し受け継がれた「たからだし」.毎日この宝だしを昆布とかつお節のだしで割って使う.昆布を使うようになったのは関西に伝わってからのこと.
そこにたっぷりの砂糖と薄口しょうゆ.味が染みこみにくい種から順番に入れていく.
大根はいったん取り出して冷ますことで味を染みこませる.
おでんのオールスター達!
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つゆをまとって,あめ色に輝きます.
おでんのつゆ.それは時代と共に美味しさを増していったのです.
壺二 あの人が愛した個性派たち
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そして,作家開高健が足しげく通った店.江戸の終わりから居酒屋を営んでいたという長い歴史を刻む.
作家のお目当てはクジラのおでん.
道頓堀 おでん 老舗 http://takoume.jp http://www.minami-takoume.com/kodawari.html
コロ:クジラの皮,スジ,
そして,サエズリ:舌.「シコシコしたの,クニャクニャしたの.やや固い噛み切りやすいの,とろとろになったの.(中略)串の一本一本がまことに小憎く複雑であって,一切れ一切れが楽しみである (開高健 新しい天体)」
お初天神の名で知られる,大阪露天神社.終戦からわずか3ヶ月後に一軒のお店が店開き.池永イサさん/鶴松さんのご夫婦.
森繁久彌「これは関東炊きちゃう.独特関西煮(だき)やって名乗ったらええ.独特はちょっと重たいから,軽く関西炊きって名乗ったらええわ」
現在は息子の伸さんが跡を継いでいます.
おでんの老舗、かんさいだき「常夜燈」の掲示板 常夜燈 豊崎本家 (じょうやとう とよさきほんけ ) (茶屋町・中崎町/おでん) - Retty
そのおでんは独創的.
鍋の底には,なんと天然物の鯛の頭.昆布をたっぷりその上へ載せ,母親から受け継いだ濃厚なつゆを入れます.そこに加えるのが鶏のスープ.極め付きは白味噌を加える.これがみそ.
厨房ではこの店自慢のおでん種,高級魚ハモを使った特製蒲鉾がつくられます.
「森繁さんは,鱧,ロールキャベツ,そういうのが好きでした.おでんの中にロールキャベツ入れるのは,うちのおふくろが,多分,初めてやと思います」
https://twitter.com/NHK_PR?lang=ar
壺三 目でも味わう至福のひととき
京都麩屋町.ビルの奥に隠れ家のようなお店があります.
アサメラという木でつくったカウンター.レンガ造りのモダンなかまど.京都で言うおくどさん.おでん鍋は湯煎.伝統にモダンさを加えた新感覚のお店.
出す直前に,別に用意した仕上げ用のつゆをかけます.器は若手の陶芸家に注文しました.おでんをいかに引き立てさせるか.器選びにも心を砕きます.
https://co-trip.jp/article/108434/ 店舗のご案内 - 【無添加おだし】京都 おだしの うね乃-公式サイト
東京湯島.細い坂道を下ったところ.
古民家ふうのたたずまい.カウンターのどこからも見えるのが店の顔,銅色(あかがねいろ)に輝くおでん鍋.ひょうたん型の大鍋.胴の打ち出しでつくった特注品.
「おでんで天下が獲れたらと思って,秀吉公にあやかってひょうたん型にしました」
昆布にさば節,かつお節,そして干し椎茸の茎を使った特製のつゆ.
ひょうたん型の鍋には利点があります.
「煮すぎないように,ちょっと上の方の浅いところに預けておきまして,温めてお出ししています」
ひょうたん型のお鍋には優しい心配りがありました.
大根には店のシンボルひょうたんを型抜き.
まん丸い種には季節ごとの味が.秋はカボチャにクリ,サツマイモ.
https://macaro-ni.jp/8738 おでん こなから 本店 - 湯島の和食店
おでんを囲む豊かな一時.
湯気がさんざめきに揺れています.