日本社会のあり方を根本から問い,犠牲者に報いるために. 藤井克徳 ( 4 )
(生きたかった 相模原障害者殺傷事件が問いかけるもの 大月書店)より
現代の日本社会を投影した事件 障害当事者の声
死後まで続く差別 普通の感覚ではありえないこと
重なったナチス・ドイツのT4作戦
「(事件に分け入って)まず第一に,この事件にかかわる問題として,優生思想の観点を挙げたい」」藤井克徳さん ''日本社会のあり方を根本から問い,犠牲者に報いるために''(3) (生きたかった 相模原障害者殺傷事件が問いかけるもの 大月書店)より - yachikusakusaki's blog
後を絶たない為政者の優生思想的発言
たとえば
兵庫県では1966年から74年にかけて「不幸な子どもの生まれない県民運動」が県主導でおこなわれ,
2007年4月には,愛知県の神田真秋知事(当時)が職員の新任者教育のなかで「いい遺伝子・悪い遺伝子」と発言しています.
また,2009年11月には鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(当時)が,「高度医療のおかげで,以前は自然に淘汰された機能障害を持った者を生き残らせている」と述べています.
有名なところでは1999年9月,石原慎太郎氏が都知事在職時に,重度心身障害者施設の都立府中療育センターを訪れた際,「ああいう人たちには人格があるのかね」と言いました.
さらに記憶に新しいのは,昨年(2015年)11月に茨城県教育委員会の委員であった長谷川智恵子氏が「妊娠初期に(障害が)わかるようにできないか」「県では(障害者を)減らしていく方向にできればいい」と発言するなど,
公人による優生思想と関連した発言は後を絶ちません.
植松容疑者の言動は絶対に容認できませんが,一方で,彼にような思想を生んだ社会の土壌にも目を向けなければなりません.
法案の上程にまでは至っていませんが,国会などでは尊厳死の問題も議論されています.ここでは尊厳死と重度障害の関係がグレーゾーンになっています.
最近では出生前診断の受診率が上昇し,異常とわかった人の大半が妊娠中絶をしているとの報があります.
これらは優生思想と同根とみるべきであり,もっと言うと,私たち一人ひとりに備わるものかもしれません.
だからこそ,
個々に理性が求められ,
社会的には法的な規範など,社会的なシステムとしてこれを抑制する仕組みがつくられているのです.
個々にも社会的にも,絶えず戒めあうことが重要です.
鶏始乳(にわとりはじめてにゅうす にわとりはじめてとやにつく)ニワトリが卵を産み始める頃